2018年の映画『マジンガーZ / INFINITY』の公開に合わせ
ダイナミックプロの公式サイトでWEBコミックとして連載された
衣谷遊氏による『マジンガーZ アルターイグニッション』の単行本(2017年12月発売)。
星和弥氏の『ダイノゲッター』や風忍氏の『鋼鉄ジーグ 飛龍伝』など
ダイナミックプロの公式サイトで発表された作品は
ページ数はあるのに書籍化されない(しかも公開終了してしまう)作品が多かったので
こうして単行本化してくれるのは素直に嬉しいですね。

というわけで今回の「アルターイグニッション」は
映画『マジンガーZ / INFINITY』がTVアニメ版の直接の続編、ということで
映画の予習として「初見の人にもマジンガーZという物語の始まりを知ってもらおう」
的なコンセプトで描かれたような作品。
マジンガーZの導入部はメディアによってかなりの違いがありますし
映画用に統一された設定がほしかった、みたいな事情もあったのかもしれませんね。

そんなこんなでTVアニメ版をベースにその他の設定の美味しいとこ取り、
といった感じの「アルターイグニッション」ですが
過去話となる十蔵とヘルの交流、ミケーネ文明の発掘調査に
1話をまるまる使っているのが最初に印象的だったところ。
(全5話なので1/5が過去話ということになりますね。)。
十蔵とヘルの過去というと桜多吾作氏の異色短編『闘え!!Dr.ヘル』は欠かせませんが
バードス島での事件はそのあたりをリスペクトしているようにも見受けられますね。

続く第2話では十蔵が『真マジンガー』の十蔵さながらに
超合金を用いて激しく抵抗するなどおじいちゃんが大活躍。
第1話でヘルに撃たれた伏線を解消しつつのまさかのロケットパンチは非常に巧い描写です。
TVアニメ版の「顔がそんなに怖くないおじいちゃん」が
アグレッシブなアクションを見せる様子はかなり新鮮に感じますね。

そして後半はマジンガーZを受け継いだ甲児の初戦が描かれる展開。
衣谷遊氏は『AMON デビルマン黙示録』でのデーモンがグチャグチャドロドロに融合する
気持ち悪いほどの生物的な表現が印象的だったため
「ガッシリとしたメカアクションには向いてないんじゃないか」と勝手に思っていたんですが
「しっかりと重量感のあるマジンガー」が描かれていてそこのところはひと安心。
特にパイルダーオンやロケットパンチといった見せ場を数ページかけて
じっくり見せてくれるなどのメリハリがついた演出が良かったですね。

また操縦の方法が分からず四苦八苦する様子や
後のパイロットスーツの開発へと繋がる生身の人間が乗るからこその弱点、
甲児の怒りによって暴走しかけるマジンガーなど
原作アニメの「パイオニアでありながら現在でも通じるリアルで画期的だった設定」を
しっかりと押さえてくれているのも嬉しいところ。
本筋とは関係ないはずの甲児の父、剣造の存在を随所で匂わしてくれるなど
細かなファンサービスもしっかりあります。

というわけでいろんなバージョンがあるマジンガーZの導入部から
美味しいところだけをすくって高レベルでまとめ上げた『アルターイグニッション』。
単行本一冊で綺麗にまとまっていますし
これを今後のマジンガーにおける導入部のスタンダードにしてしまってもいいんじゃないか、
とすら思ってしまいますね。
映画『マジンガーZ / INFINITY』のメディアミックスの一つとして
片付けてしまうのはもったいないくらい良く出来てますよ本当。
マジンガー知らない人にもこれだけ見せておけばプロローグはバッチリです。

あ、それと内容とは全く関係ないところでの不満なんですが
WEB連載から単行本発売までのスケジュールは
もっと余裕をもってほしかったなあ、と思いましたね。
本書の刊行が2017年12月、『マジンガーZ / INFINITY』の上映が2018年1月で
「映画の公開に間に合うように本を出したかった」
「WEBでタダで読める状態だと単行本が売れなくなってしまう」
という商業的な事情は分かるんですが
本作はWEB連載時に最終話の公開期間だけ目に見えて短かったんですよ。
なにぶん数年前のことなのではっきりとは覚えていないんですが
たぶん最終話の公開期間は2週間もなかったんじゃないでしょうか。
ちょっとそこだけが不親切だった気がしますね。はい。

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  アニメ・漫画, ダイナミック系

永井豪先生の画業50周年を記念して2017年に発売された短編集『豪画沙』。
上巻同様に下巻も作品ごとのちょっとした感想を書いてみたいと思います。

上巻の感想はこちら。
永井豪 「幻選短編集 豪画沙」 上巻 感想
https://tktkgetter.com/blog-entry-1435.html


○バイオレンスジャック~戦国魔人伝~
永井豪先生の最長作品である『バイオレンスジャック』の1エピソードでありながら
現在まで単行本化に恵まれなかった「戦国魔人伝」が待望の収録。
巨大なエネルギーの塊とも言えるジャックの身長は作中でもちょこちょこ変わっており
「ジャックの2m20cmという身長はありそうだけどあり得ないくらい、と
思っての設定だったが現実に2m超えのスポーツ選手等が登場してきたことで
ジャックも対抗するようにどんどん大きくなっていった」と豪先生は言っていましたが
それを反映してか21世紀に蘇った今回のジャックの身長はなんと2m80cm。
うーん、でかい。
そして『魔王降臨編』や『新バイオレンスジャック』など、完結後に描かれたジャックは
「ジャック=デビルマン」というその正体を前提とした演出や展開が多いのに対し
こちらの『戦国魔人伝』ではそのあたりへの言及は一切なし。
「ジャックは戦国時代をやりたかった」と言っていた内容そのままに
本作の舞台はまんま戦国時代だったり、
「ジャックは狂言回しであり、彼が動くことで周囲の人間が暴力の渦に巻き込まれていく」
という全体の流れなども含めてジャックの原点に回帰したストーリー、といった感じですね。
ラストは完全に尻切れなんですがこれはこれでジャックらしいのかもなあ、と。


○夢幻戦士
原因不明の奇病で眠り続ける恋人を助けるため
主人公が夢の世界で化け物と戦うアクション作品。
シチュエーションやストーリー自体はよくある話、と見せかけて
ラストに恋人が目覚めてハッピーエンド、とはならないビターさに
一筋縄ではいかない永井豪先生らしさを感じますね。
夢の中で変身した主人公のビジュアルが「いかにも古めかしい神話の英雄」で
そのあたりにチープさを感じてしまうのはご愛敬。
病院の壁から別の世界が、というのは『手天童子』をちょっと思い出しますね。


○カイケツ風呂頭巾
「顔を隠してれば恥ずかしくないもん!」をテーマに
カイケツ風呂頭巾が江戸の町で活躍する勧善懲悪痛快アクション。
乳とケツが連続で障子を破ったかと思うと
その次のページで「カイケツ風呂頭巾参上!」のテンポの良さが大好きです。
ラストの「もう一回やらせてくれたら~」などの文言など
作品全体に『けっこう仮面』の要素が散りばめられており
永井豪先生も続編というか自己パロディのように描いてみた、と言っていましたが
『けっこう仮面』自体がパロディ要素を多分に含んでいたことを考えると
パロディのパロディである意味三次創作、と呼べるのかもしれないなあ、と。


○ワンだ君
二本足で歩くことが出来る犬、ワンだ君(コロ)が
飼い主の気まぐれで学校に通うことになるドタバタギャグ作品。
冷奴先生がゲストキャラというよりも完全に主人公として活躍していたり
犬が完全に被害者じゃないか、という不条理さにモヤモヤしたりと
良くも悪くも2006年の作品とは思えないフリーダムさに
コミックボンボン末期の迷走っぷりが感じられて
ボンボン派としてはいろんな意味で涙が出る作品ではあります。


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  バイオレンスジャック, アニメ・漫画, ダイナミック系

永井豪先生の画業50周年を記念して2017年に上下巻で発売された短編集『豪画沙』。
いろいろあって発売してから数年後の感想記事になってしまいましたが
この短編集の売りは何と言っても「全収録作が初単行本化」という大盤振る舞い。
永井豪先生のような有名作を多く排出している漫画家さんになると
短編集はどうしても再録ばっかりの「傑作選」みたいになってしまいがちなので
本書の「初単行本化のみ!」というコンセプトは非常にありがたいですね。

特に各巻の表紙にもなっている『悪魔騎士』と『バイオレンスジャック 戦国魔人伝』は
まさに待ちに待った単行本化。
『悪魔騎士』は鎧を着たアモンたちの姿など
『デビルマンサーガ』のプロトタイプ(?)としても押さえておきたい話ですし
『戦国魔人伝』は『新ジャック』の単行本が出た時にも収録されず
「あれが最後のチャンスだと思ってたのに」と半ば諦めていただけに
今回こうして収録されたのが本当に嬉しいです。

そして収録作の多くが2000年以降の作品、というのも注目すべきところ。
2017年にもなって単行本未収録作品だけの短編集を2冊も出せる、
しかも多くが2000年代以降の作品、というのが
現在進行形で精力的に活動を続けている永井豪先生のすごさ、多作さを感じますね。
本短編集のタイトルを大きな数の単位「恒河沙」になぞらえた「豪画沙」としたのも
そのあたりの理由からでしょうか。

そんなわけで一つ一つの作品の感想を簡単に書いていこうと思います。
(初出年は巻末の記載を参考)


○悪魔騎士 Demon Knight(2007~2009)
『デビルマン』の過去の世界を舞台にデーモンたちの誕生を描いた3話構成の作品。
3話目では明や了も登場し『デビルマン』の1エピソードっぽい雰囲気になっているものの
・鎧を着たアモンやシレーヌが隊長と副官となっている設定
・「それはサーガの始まり」という第1話での文言
などどちらかと言えば『デビルマンサーガ』のプロトタイプ、のほうが近い印象。
「本作のアモンたちがデーモンとなった世界→デビルマン」
「融合せず鎧を着たまま神々に反逆した世界→デビルマンサーガ」と
捉えることも出来るのかなあ、と。
しかしどこの世界でもやっぱり明(アモン)を戦いに導くのは了(サタン)なんですね。


○娘中天(2004)
『後漢書』の秘術によってお調子者の男性が過去を省みながら
自分を本当に思ってくれていた女性に思いを馳せる、というストーリー。
20Pほどの短編にもかかわらず綺麗にまとまっており
テーマが普遍的なものであることを考えても
導入部のちょっとエッチな描写さえなければ少年向け作品としても成り立つ気がしますね。
作品全体に漂う「すこしふしぎ」な雰囲気はドラえもん的でもありますが
エッチな描写によってそうならないのは永井豪作品っぽい感じです。


○シレーヌちゃん(2012)
シレーヌや明、了といった『デビルマン』の面々をとにかく下品に、
とにかくくだらなくしたギャグ作品。
方向性は雑誌「デビ×ハニ」に掲載されていた四コマ漫画「デビハニ4コマ劇場」に近いけど
あちらを遥かに越えるくだらなさ(誉め言葉)。
いやこれはもう原作者の永井豪先生だからこそ出来ることですね。
第1話の弁当と称して卵を産むシーンなんてほんと
「こいつはひでぇや!(誉め言葉)」って言いたくなりますよ。
家族がいるのに家の表札が「シレーヌちゃん」だったり
もう全編突っ込みどころしかなくて最高ですよ。ああひどい(誉め言葉)。
でもこれ許せない人は絶対許せないんだろうなあ、とも思ってしまったり。


○霊界ドアー(2009)
療養のために別荘である年代物の屋敷で過ごすことになった主人公が怪異と出会う物語。
次に収録されている『ヴァンパイアコップ』なども含めて
永井豪先生のこの手の妖怪・異形モノは主人公が男性であることが多いんですが
本作は主人公やその親友、物語の解決役として登場する雪女など
主要キャラがほぼ女性で構成されているのが珍しいところ。
ここで主人公が男性だとアクション要素が増えるんですが
今回はその代わりに「あら^~」というか「キマシタワー」というか
猟奇ミステリー、エロホラーなどの要素が全編に漂っているのが印象的。
正直こういう雰囲気は大好きなのでこの短編集の中で一番好きな作品ですね。はい。


○ヴァンパイアコップ(1999)
ドラッグ犯罪がはびこる近未来の東京を舞台に
刑事の男性とヴァンパイアの女性が活躍するバイオレンス・アクション。
本作『ヴァンパイアコップ』みたいな
刑事や探偵、ジャーナリストの男性が怪異を調査する上で
人間じゃない女性とバディを組む、というシチュエーションは
2000年前後の永井豪先生の作品ではけっこう見かける感じがしますね。
『デビルマンレディー』の早見刑事なんかもその系譜かなあ、と。
中華系移民が多い近未来の東京、というのは作中でも言われているように
完全にブレードランナー的な世界観ですが
舞台となっている2009年が既に10年以上昔になってしまっているのに時代を感じます。
ところで永井豪先生の作品って未来の東京を「TOKYO」と表記するのが多いですね。
最新作『デビルマンサーガ』でもそうですし。


○ハレンチママさん(1985)
タイトル通りに「何をしてもハレンチになってしまうママさん」の一日を描いた掌編作品。
『ハレンチ学園』で一世を風靡した永井豪先生なので
「ハレンチ」をテーマに一本描いてください、みたいな感じのオファーが
あったんじゃないかと思いますね。
初出が1985年と本短編集の中では一番古いので
絵柄的にも作風的にも他の収録作とはちょっと違う雰囲気の作品な気がします。


下巻の感想はこちら。
永井豪 「幻選短編集 豪画沙」 下巻 感想
https://tktkgetter.com/blog-entry-1436.html

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  バイオレンスジャック, アニメ・漫画, ダイナミック系

というわけで先日公式サイトのリニューアルと共に突如発表された
ツクールシリーズ最新作『RPG Maker Unite』。

RPG Maker Official | Gotcha Gotcha Games
https://rpgmakerofficial.com/

公式サイトに「ツクールシリーズからMakerシリーズに」とあるように
約30年の歴史がある「ツクール」の名を捨てて
海外版と同名の「RPG Maker」へと生まれ変わったわけですが
どうもこの一大リニューアルには「グローバル化に対応!」みたいなポジティブさよりも
大人の事情というか「日本の公式が匙を投げた」みたいなことを
感じてしまうところがあるんですね。

『MV』発売時にSteam版とDL版、パッケージ版が足並みを揃えられずに混乱が起こったり
プラグインやコアスクリプトがあまりにも海外フォーラムに依存しすぎていたり
日本の公式が現状を把握していないかのような素材回りの騒動があったりしたことを考えても
「海外の流れについていけなくなったから名前も同じにして向こうに丸投げする」
みたいなネガティブさを感じてしまうんですよ。
現在発表されている『Unite』の販売経路がSteamとUnityであることを考えても
これまで以上に「海外コミュニティの動きに日本の公式サイトが追随」する形に
なっていくんだろうなあ、と。公式ってなんだっけ……?

そんなこんなで『MZ』の発売からわずか1年半での新作発表、
公式サイトのアドレスも新規ドメインの「rpgmakerofficial.com」になり
サイト中の文面でも「Makerシリーズ」という語が執拗に使われていたりと
公式側が「ツクール」という名称から決別したがっているような気もしてしまう
今回の『RPG Maker Unite』の発表ですが
その最大の変化は世界最大とも言えるゲームエンジン『Unity』上で動く形となったこと。

『MV』以降はブラウザ上でのプレイが可能となり
スマホ全盛の時代に合わせてマルチデバイス化が進んでいましたが
今回は更にそれを推し進めていった感じですね。
『MV』や『MZ』で作ったゲームはいろんなデバイスで遊ぶことは出来ても
操作性などを考えるとどうにもならない部分が結構あったんですが
Unityはクロスプラットフォーム開発が一つの売りですし
『Unite』ではプレイ側の環境にある程度自動で最適化してくれるような
本当の意味でレスポンシブなゲームの制作も可能になるかもしれないですね。
デバイスを気にせずこれまで以上に多くの人にプレイしてもらえるようになる、
というだけでも『Unite』に移行する価値はあるんじゃないかと思います。

ぶっちゃけ自分は古い人間なので
オフラインでも使えるスタンドアローン以外は信用出来ないというか
こういう何らかのゲームエンジンに依存した形式は
いろいろリスク的なことを考えてしまってあまり好きじゃないんですが
(そんななので『MV』以前のソフトはパッケージ版を所持、
『MZ』もSteam版ではなく公式ショップのDL版を使っています)
まあ時代の流れなのでそのあたりは仕方ないですね。
現在のツクールシリーズは既に過去作を含めてほとんどがSteam上で動くようになっており
そちらが主流となっていますし。

そして個人的に気になったのが
公式サイトの紹介文で「ノンコーディング」という語句が使われていること。
「プログラミングの知識が不要!」というのはコンシューマー時代からの
ツクールシリーズのアピールポイントでしたが
それを「ノンコーディング」や「コードレス」という言葉で表現したのは
今回の『Unite』が初めてなんじゃないでしょうか。

『MV』以降は海外展開に合わせて
エディタの文面もプログラミング的というか直訳的になった感じがありますし
最初から入っている公式プラグインですら
ある程度のカスタマイズが必要になっていることを考えると
「ノンコーティング」はそのあたりで妥協した表現なのかもしれないなあ、と
ひねくれた見方をしてしまうところもあります。
1からコーティングする必要はないけどプログラムの考え方くらいは知っておけよ! 的な。

そんなこんなでツクールの名前を捨てて完全新生した『RPG Maker Unite』。
自分は今作っているものをぶん投げてまで移行することはないでしょうが
規約が許してくれるのならば購入して素材だけは戴いておきたいところです。
ならば海賊らしくいただいてゆくっ!(前にも同じこと言いましたねこれ)

あ、それと今回のソフト名『Unite』の由来ですが
ちょっと意味が分かりにくかった『MV』や『MZ』と比べると分かりやすいというか
素直に「Unityとの融合」的な意味合いでのUniteでいいと思います。はい。

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  RPGツクール

地球の人々の意思が一つになり、ウィルをも凌駕する新たなゲッターを呼ぶ。
80億の意思によって放たれた一撃は宇宙に風穴を開け、
やがて新たな宇宙での新たな物語を紡ぐことになる……。
『ゲッターロボ DEVOLUTION ~宇宙最後の3秒間~』最終回!

というわけで原作漫画『ゲッターロボ・サーガ』に繋がるかのような
新たな宇宙の誕生(あるいは卵が先か鶏が先か、のループ構造)的な描写と共に
大団円を迎えた『DEVOLUTION』。
謎が謎を呼ぶ序盤の展開から仮想世界が多重に存在する複雑な世界観、
そして敵の正体やゲッターの進化の目的までに言及していった終盤、と
ファンサービスを要所要所に交えつつ
全5巻の作品とは思えないくらいに綺麗にまとまったのは素直に感激です。

ただなんかこう贅沢な注文ではあるんですが
「綺麗に終わりすぎた」がゆえの物足りなさを感じてしまう部分もあるんですね。
この最終話でもこれまで全能者らしい余裕を見せていたウィルが
いきなり汚い言葉を吐いて狼狽し始める、と一転して小物臭くなってしまいましたし
「話を終わらせるためのご都合主義やキャラクターの強引な変化」が終盤になって
顕著になってしまってる部分がちょっと多かったなあ、とも思うんですよ。

で、そこで個人的に思ったのがほぼ同時期に連載されていた
ドリル汁氏の『ゲッターロボ牌』との比較。
このあたりは今後ブログで『牌』の感想を書いていく中でも触れようと思っているんですが
『DEVOLUTION』はゲッターサーガを独自の解釈で終わらせようとした作品、
『牌』は自分の世界観をゲッターサーガ(あるいは虚無戦記)に
参加させようとした作品、だと思うんですよ。
だから『DEVOLUTION』では「サーガ」の謎を独自の解釈で解き明かした上で
ウィルという分かりやすい敵を出して分かりやすく倒したわけですし
逆に『牌』は未知なる敵は未知のまま、地球での闘いの決着も明確にはつけず
地球での淘汰を勝ち抜いて宇宙の異種族たちといつか戦う(卓を囲む)ことを宣言して
エンディングを迎えたわけです。

ほぼ同時期に連載・完結した2つのゲッター作品が
「物語を終わらせる」ことに対して真逆のスタンスを見せていたのは興味深いところですし
どんな解釈もOKな石川賢作品の懐の深さを感じますね。

ところで本作もそうだったんですが
シャインスパークが最後の切り札、的に使われる作品が多いですね。
完全に個人の好みなんですがシャインスパークよりストナーサンシャインのほうが好きなので
ストナーサンシャインが露払い、噛ませ役っぽく使われてしまう風潮はちょっと寂しいです。
OVA『真(チェンジ!!)』の11話ですかね。ストナーサンシャインが一番輝いてたのは。

そんなこんなでいろいろ話が脱線しましたが
数年に亘って連載された『DEVOLUTION』も堂々完結。
ありがとうございました。

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ゲッターロボ 1

ゲッターロボ 1

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  アニメ・漫画, ダイナミック系, ゲッターロボDEVOLUTION