永井豪/高遠るい 「デビルマンG 5巻」 感想

高遠るい氏の新解釈による21世紀のデビルマン「デビルマンG」の
最終巻となる第5巻が発売。

後書きの作者コメントにあるように
原作「デビルマン」同様の全5巻での完結を予定していたということで
とにかくクライマックスに向けてノンストップ+加速していくストーリーが魅力。

特に原作「デビルマン」の最終戦争と
原作「デビルマンレディー」の最終破壊を折衷させた感じで世界の混迷を描いた
『FIRE WARS』からのラスト3話は圧巻。
まさかの格好いい再登場+最期を見せてくれた雷沼教授もよかったし
これまでのデビルマン関連作との大きな違いであるソロモンの設定をフルに活用し
「デビルマン」の「デーモン=地球の先住生物」と
「デビルマンレディー」の「デーモン=人間が力の進化を遂げた姿」という
矛盾する2つの設定を論理的にしっかり融合してくれた所は見事の一言。
また原作「レディー」で尻切れだったカイムと黒シレーヌの関係に
しっかりと決着をつけてくれたのも嬉しいところ。
この二人は原作「レディー」から十数年の時を経てようやく救われた感じだなあ。

そして紆余曲折あった末に人間たちとの共存が成されるというラストは
アニメ版「デビルマンレディー」にかなり近い感じなんだけど
注目すべきなのは最終決戦となるアモンVSゼノンの戦いが
美樹ちゃんの介入により和解という形で終着したという点。
アニメ「レディー」でも結局ジュンとアスカは決別してしまったし
数あるデビルマン関連作の中でこういう形の真のハッピーエンドを見せてくれたのは
本作「デビルマンG」が初めてなんじゃないだろうか。

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そんなわけで堂々完結となった「デビルマンG」だけど
興味深いのは高遠氏が自らの永井豪体験を語っている巻末の後書きメッセージ。
原作「デビルマン」が古典となり、永井豪作品に特別な思い入れを持つこともない世代
(Wikipediaの生年月日が正しければ自分より少し上の世代)である高遠氏は
恐らく中高生の時期に「エヴァンゲリオン」ブームを体験し
「エヴァの原点」やら何やら偏見と手垢の付きまくったデビルマン体験をして
業界全体が「似非思弁性・似非観念性」に向かっていた時期に漫画家を志していたわけで
そういったバックボーンを持つ作者によって描かれたにも関わらず
「デビルマン」がここまで楽観的なハッピーエンド
(友人たちを殺したアモンですら赦され、救われることが後書きで示唆されている)
を迎えることが出来たというのは
もうそれだけで価値のあることなんじゃないかなあ、と思ったり思わなかったり。うん。

とまあ自分でも何言ってるのかよく分からなくなってきたけど
とにかくありがとうデビルマンG! さようならデビルマンG!

   

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