永井豪/高遠るい 「デビルマンG 1巻」 感想

デビルマン40周年の一環として連載がスタートした
高遠るい氏の「デビルマンG」の単行本が発売。

他作者様による「デビルマン」というと「ネオデビルマン」や衣谷遊氏の「AMON」など
原作漫画版のスピンオフやサイドストーリー的なものが多かったけど
今回の「デビルマンG」はキャラや設定、各種要素を流用しての完全新作。
特に明ではなくアモンの意識が中心になっていたり
火叢(氷村)やチャコといったサブキャラ、魔鬼邑(牧村)家の面々の本名など
アニメ版の要素がかなり色濃く入っているところが印象的。
どちらかといえば岩本佳浩氏の「闘神デビルマン」なんかに近いのかなあ、と。

そしてストーリーは原作漫画と同じセリフや構図をとりながらも
全く別の話としてきちんと成立しているのが面白いところ。
更に「デビルマンレディー」のジュンとアオイが高校教師として登場していたり
サッちゃんやススムちゃん、雷沼教授などのキャラクターが変わった立ち位置にいるなど
原作ファンならではの楽しみ方が出来る部分もちらほら。
「デビルマン」本編で魔女であることを否定しながら悲惨な死を遂げた美樹ちゃんが
「デビルマンレディー」では悪魔となり
そして今回「デビルマンG」でついに悪魔を使役する魔女になった…
みたいな変遷を考えると感慨深くなったり。

また魔鬼邑家の一家団欒で「21世紀の都市伝説」が話題にのぼっていたり
携帯電話やネットの普及がプロローグから見られたりと
そういう背景を考えると
本作はまさに40周年に相応しい「現代版のデビルマン」なんだろうなあ。
個人的にはジンメンのHNが「デスマスク」という地味な伏線が上手いと思う。

ただ気になるのは絵柄にやや統一感がないというか
高遠氏本来の絵柄と「デビルマン」初期の永井豪画を意識した部分が混在しており
いろいろと実験的な作画が残ってしまっているところ。
第2話「SO BAD BOY」での明と美樹ちゃんの会話なんかはかなり違和感があるし
本作の性質を考えても割り切って
高遠氏本来の絵柄で統一しても良かったんじゃないだろうか。

 

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