清水栄一×下口智裕 「ゲッターロボ DEVOLUTION 第38話(最終話)」 感想

地球の人々の意思が一つになり、ウィルをも凌駕する新たなゲッターを呼ぶ。
80億の意思によって放たれた一撃は宇宙に風穴を開け、
やがて新たな宇宙での新たな物語を紡ぐことになる……。
『ゲッターロボ DEVOLUTION ~宇宙最後の3秒間~』最終回!

というわけで原作漫画『ゲッターロボ・サーガ』に繋がるかのような
新たな宇宙の誕生(あるいは卵が先か鶏が先か、のループ構造)的な描写と共に
大団円を迎えた『DEVOLUTION』。
謎が謎を呼ぶ序盤の展開から仮想世界が多重に存在する複雑な世界観、
そして敵の正体やゲッターの進化の目的までに言及していった終盤、と
ファンサービスを要所要所に交えつつ
全5巻の作品とは思えないくらいに綺麗にまとまったのは素直に感激です。

ただなんかこう贅沢な注文ではあるんですが
「綺麗に終わりすぎた」がゆえの物足りなさを感じてしまう部分もあるんですね。
この最終話でもこれまで全能者らしい余裕を見せていたウィルが
いきなり汚い言葉を吐いて狼狽し始める、と一転して小物臭くなってしまいましたし
「話を終わらせるためのご都合主義やキャラクターの強引な変化」が終盤になって
顕著になってしまってる部分がちょっと多かったなあ、とも思うんですよ。

で、そこで個人的に思ったのがほぼ同時期に連載されていた
ドリル汁氏の『ゲッターロボ牌』との比較。
このあたりは今後ブログで『牌』の感想を書いていく中でも触れようと思っているんですが
『DEVOLUTION』はゲッターサーガを独自の解釈で終わらせようとした作品、
『牌』は自分の世界観をゲッターサーガ(あるいは虚無戦記)に
参加させようとした作品、だと思うんですよ。
だから『DEVOLUTION』では「サーガ」の謎を独自の解釈で解き明かした上で
ウィルという分かりやすい敵を出して分かりやすく倒したわけですし
逆に『牌』は未知なる敵は未知のまま、地球での闘いの決着も明確にはつけず
地球での淘汰を勝ち抜いて宇宙の異種族たちといつか戦う(卓を囲む)ことを宣言して
エンディングを迎えたわけです。

ほぼ同時期に連載・完結した2つのゲッター作品が
「物語を終わらせる」ことに対して真逆のスタンスを見せていたのは興味深いところですし
どんな解釈もOKな石川賢作品の懐の深さを感じますね。

ところで本作もそうだったんですが
シャインスパークが最後の切り札、的に使われる作品が多いですね。
完全に個人の好みなんですがシャインスパークよりストナーサンシャインのほうが好きなので
ストナーサンシャインが露払い、噛ませ役っぽく使われてしまう風潮はちょっと寂しいです。
OVA『真(チェンジ!!)』の11話ですかね。ストナーサンシャインが一番輝いてたのは。

そんなこんなでいろいろ話が脱線しましたが
数年に亘って連載された『DEVOLUTION』も堂々完結。
ありがとうございました。

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