長谷川裕一 「機動戦士クロスボーンガンダム ゴースト 11巻」 感想
互いに切り札を出し尽くしての最終決戦が繰り広げられる
『機動戦士クロスボーンガンダム ゴースト』の第11巻が発売。
今回の見所はまず過去キャラの再登場で贈るソーラ・システム作戦。
すっかり大人の女性になったトゥインクや老練さを見せるハリソン、
まだまだ元気なウモン爺さん(恐らく90歳前後!)まで
Vガン時代の彼らの活躍が見られるのはシリーズのファンにはたまらないね。
それにしてもハリソンさんはすっかり初老って感じだなあ。
恐らくシーブックと同年代くらいだったと思うんだけど何なんだろうこの違いは。
若い頃から苦労ばっかりしてたからかなー。
しかしそれでも一筋縄では行かないのが今回のラスボスであるキゾ中将。
今まではその狡賢さがメインだったけれど
本巻ではフルクロスを破壊しカーティスの猛攻を完全に防ぐなど
ラスボスに相応しいMSの操縦技術=正統派の強さを見せ付けてくれた感じ。
そして個人的に印象深かったのがビルさんの最期。
彼はストーリーに大きく絡むことは無かったけれど
序盤から「理解のある仲間」として要所要所で存在感を見せていただけに
彼の死は自軍の士気にも大きく関わってくるんだろうなあ、と。
そんな敗北からの大逆転に賭けるフォントたちの前に
最後の切り札として登場したのはまさかのディビニダド!
うわーここでこれが来るか!
かつてのラスボス機が自軍に! というワクワク感もさることながら
無印クロスボーンのストーリーを絡めつつ
その存在にしっかりと説得力を持たせているのがすごいところ。
後付けの続編でありながら全く違和感を感じさせない話運びの巧さは
ストーリーテラーの長谷川先生ならではだなあ、と。
しかしそれでも「バイラリナより心許ない」と言われているのには
時代の流れを感じるね。
ディビニダドももう作中では20年前の機体なんだよなあ……。
そんなこんなでいよいよ次回で最終巻らしい『ゴースト』だけど
この戦いが終わった後にフォントはどうするのかなー、
というのが一つ気になるところ。
「死亡扱いになっていて出来ることと言ったら海賊くらい」だった
かつてのトビア(カーティス)と違って
フォントは日常に戻ろうと思えば戻れるんだろうけど
ベルとの関係などを考えるとそうも行かない部分もあるだろうし
ある程度「選ぶ自由」を持っている彼は最終的にどういう決断をするのかなあ、と。
あ、ちなみにどうでもいい話なんですが
自分の単行本(初版)だとディビニダドがディビニダトになってますね。
あれかな? メカゼータ的な誤植アレかな?
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