アニメ 「ゲッターロボ アーク」 第1話 天の鬼 感想
前回のOVA『新ゲッターロボ』から17年ぶり、
そして石川賢先生による漫画版『ゲッターロボ・サーガ』の初のアニメ化となる
『ゲッターロボ アーク』のアニメがついに放送開始。
これまで川越監督が手がけたOVAゲッター作品は
漫画版のリスペクトや要素を多分に含んではいたけれど
「漫画版そのもの」ではなかったし
世代交代をして物語的にも設定的にも一見さんお断りな『アーク』が
いきなりアニメに、という衝撃も加わって
どうなるのか分からない不安もありつつ超期待していたのです。
余談ですが公式サイトやニュースサイト等では
『アーク』に対し「最終章」という表現がよく使われていますが
個人的には最終章って言いたくないんですよね。
いや確かに時系列的にも発表順でも最後になるんですが
最後と言いたくないというか終わりにしたくないというか
そもそも何も終わってないぞという複雑な気持ちがあるんですよこのへん。
そんなこんなで事前に公開されていたオープニング映像については
以前の記事でがっつりと感想を書いているので
『ゲッターロボ アーク』のオープニング映像とBlu-ray情報が解禁されたよー。
https://tktkgetter.com/blog-entry-1379.html
さっそく本編の感想になりますが
基本的には漫画版の第1話を忠実に再現しつつ
夢の島に行くまでのプロセスをオリジナルエピソードで水増しした感じでしたね。
まさか「コンビニのオニギリとコーラ」を手に入れる過程が
こんなに具体的に描かれるとは思ってませんでした。
ただ前半のオリジナル要素については作画の不安定さも相まって
正直「ここいる?」って印象もありますね。
「早乙女研究所で門前払いされていた」というのは何だかたらい回し感がありますし
漫画の1話を30分のアニメにすると尺が余るから引き延ばした、みたいな
冗長っぽさも感じてしまいます。
世界観の補強にはなっているんでしょうが
オリジナル要素で冗長にするくらいだったら『號』までの回想シーンを
増やしてほしいなあ、と思ってしまいますね。
特に今回は「石川キャラが動いてる!」という漫画に忠実なデザインが魅力の一つなので
『サーガ』のあんなシーンやこんなシーンをアニメで観たい! というのが
どうしても先に来てしまうんですよ。
とは言え後半部分は作画も良好でストーリーも原作そのままの間違いなさ。
特にキャラのアップや漫画と同じ構図のシーンなどは
まさに「石川賢の漫画がアニメになった!」と言える完璧さですよ。もう大満足。
川越監督によるダイナミック作品ってことで
低予算なのはまあ最初からある程度分かってましたし
「そうそうここだよここ!」って要所要所をしっかりと締めてくれればいいんです。
今回の第1話で言えば隼人の顔アップのシーンに気合を入れてくれているのが分かります。
ただ細かいことを言ってしまうと
「落ちてきたD2から拓馬がゴロツキたちを助けるシーンがカットされていた」
「ゲッターロボの操縦法を獏が拓馬にアドバイスする形になっていた」
の2つがちょっと引っかかってしまったところ。
前者は何だかんだで他人を見捨てることはしない拓馬の性格がよく分かる部分ですし
後者は原作の「全ては頭に入ってる」のセリフがすごい好きだったので
ここが変えられちゃってたのはちょっと残念でしたね。
まあ前半部分のオリジナルエピソードもそうですが
制作スタッフの意図としては獏の出番を増やしたかったんだと思います。
逆に上手いアレンジだと思ったのがレバーやペダル操作などの操縦シーンが追加され
「拓馬の操縦にD2のスペックが追いついていない」という言及があったこと。
漫画では単にD2の性能不足という印象が強かったのが
アニメ版ではそれに加えてゲッターを初めて動かす拓馬の卓越した戦闘センス、
竜馬の血を感じさせてくれるようになっています。
それと回想シーンで『號』の山咲二尉が登場していたり
拓馬の母親が早くも登場していたり
眼鏡をかけた女性研究員のセリフが多くなっていたりするのが
「ちょっと女性キャラの出番を増やしておこうかな」的な感じで印象的でしたね。
たぶんこの人です。意外にもキャラデザインの方向性としては原作準拠な気がします。
あとは山咲二尉の目の描き方が他キャラと違っていて
ちゃんと『號』の頃の絵柄に近くなっていたのにこだわりを感じましたね。
約30年にわたって各エピソードが描かれた漫画版は当然絵柄が変化しており
1990年前後の石川賢先生の絵(『虚無戦史MIROKU』~『ゲッターロボ號』あたり)は
ちょっとキャラクターの目が大きくてキラキラしてる感じなんですが
ちゃんとそれを再現してるんですよ。素直にすごいと思いますし
「下手に統一感を出すよりも漫画をそのままに!」という本作の姿勢が伝わってきます。
そしてエンディングはまさかの「DRAGON 2021ver.」に加えて
映像は漫画からの引用という完全にファン向けの演出。
後年の描き下ろしで追加された『G』の最終決戦、「百鬼帝国内で暴れ回るドラゴン」は
『サーガ』の中でも屈指の格好良さだと思っているので
そこからの引用が多かったのが嬉しかったですね。
このパターンだとPVで流れた「HEATS」や「STORM」の2021verも
今後のエンディングで採用されそうですし
(「HEATS」の背景絵は『真』で「STORM」は『號』になるのかな)
まさに「今までのゲッターロボの集大成」を目指したものになるんじゃないでしょうか。
オープニングでも『アーク』に直接は登場しない竜馬や早乙女博士を前面に出していますし
今後どんなふうに過去エピソードを挿入していくのかも楽しみの一つです。
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