『サイボーグ009 天使編・神々との闘い編 特別編集版』を購入しました。
小学館クリエイティブから9/27に発売となった
『サイボーグ009 天使編・神々との闘い編 特別編集版』を購入しました。
『サイボーグ009』は「誕生編」~「地下帝国ヨミ編」の初期シリーズを中心に
かなり頻繁に復刊・新装版の刊行がされていますが
近年のものはどれもこれも豪華なぶん値段もかなり高め。
そんな事情もあって自分は平成版アニメ放送時に刊行されたメディアファクトリーの全36巻
(1冊400円台と通常のコミックスと同じ値段で全エピソードが収録されているシリーズ)
を愛で続けていたんですが
このたび久々に豪華な単行本を購入した次第です。
で、なんで今回は購入に踏み切ったかというと
「天使編」「神々との闘い編」の両方が1冊に入っている単行本は他にないからなんですね。
この両エピソードは「未完の完結編」としてセットで語られることが多いんですが
1冊で両方が読める本、となるとこれまでには出ておらず
自分の記憶にある限りではコンビニコミックの「My First BIG」版のみ。
それだけでも今回の「特別編集版」は価値のある1冊です。
というわけでこちらの『サイボーグ009 天使編・神々との闘い編 特別編集版』、
メインの「天使編」「神々との闘い編」の両編は
内容はもちろん壮大にして未完の見ごたえ満載の作品ですし
それに加えて機関誌に収録された石ノ森氏本人による小説や
完結編のコミカライズを手掛けた早瀬マサト氏のコラム等も収録されており
まさに大満足の「009完結編欲張りセット」とも言うべき1冊。
欲を言えばムック本『総特集 石ノ森章太郎』に収録された
「サイボーグ009完結編 構想ノート 断章」も欲張りセットに加えてほしかったんですが
あちらは数ヵ月前に増補新版が出たばかりなので難しかったんだろうなあ、と。
ちなみに「構想ノート 断章」を読んでみると
実際に発表された小野寺氏の小説とは根幹のテーマや全体のストーリーの流れ、
ラストの謎解きや地球の転換などは同じであっても
全体の雰囲気はかなり違っていたものになっていたんじゃないかと思いますね。
「サイボーグ009完結編 conclusion GOD’S WAR」 私論
https://tktkgetter.com/blog-entry-684.html
当時ブログで書いたように小説『2012 009 conclusion GOD’S WAR』は
石ノ森氏が遺したものを最大限に尊重しつつ
しっかりとエンターテイメントとしてまとめ上げた作品だと思うんですが
石ノ森氏の闘病から逝去までを真っ向から描いて
戦いの中で散っていくサイボーグ戦士たちと重ね合わせるような形にしてしまったことで
どうしても「死の先にある救済」を前提とした
悲壮なものになってしまったところはあると思うんですよ。
一方で生前に石ノ森氏自身が書いた構想ノートでは
作中でメインキャラとして登場する氏の立ち位置は当然全くの別物になっていますし
中でも「老人二人、徒然なるままのお喋り」という一文からは
「自分自身を作品に登場させ、自分が産み出したキャラクターたちと
好きなことについて思う存分語り合いたい」という
創作者なら誰もが一度は考えることを実現させた楽しさや満足感が
伝わってくるものとなっています。
なので話の流れやテーマ、謎解き、最終的な着地点は同じだとしても
本来の『2012 009 conclusion GOD’S WAR』は
「死」を思わせる描写はもうちょっと控えめで
明るく楽しいものになっていたんじゃないかなあ、とは思うのです。
あ、それと今回の「特別編集版」はサイズが四六判で
ハードカバー版の「完結編・1巻」とほぼ同じ大きさで並べられるのが嬉しいですね。
ハードカバー版はいろんな事情があったのか1巻しか刊行されず
続きは6年後の文庫版全3巻の発売を待たなくてはいけなかったのですが
文庫版は東日本大震災を経ての2012年を決戦の舞台としている描写が多々あるので
ハードカバー版の時点で全3巻が出ていたらそれはそれで
今の『2012 009 conclusion GOD’S WAR』とは違うものになっていたんだろうなあ、と。
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