SDガンダム30周年を記念して月刊ヤングマガジンで連載された
『SDガンダムスペシャルアンソロジー』の単行本がカードダス7種付きの限定版仕様で発売。
(2019年9月刊行)
月刊ヤングマガジンでSDガンダムが連載、というのには最初は違和感があったんですが
ああそうかSDガンダム世代は月刊ヤンマガを読むような年齢になってしまったのか……と
少し寂しくなってしまったり。
てなわけでそんなことを思いつつのこちらの『SDガンダムスペシャルアンソロジー』。
本書には総勢14名の執筆陣によるイラストと漫画作品が掲載されており
せっかくなので一つ一つ感想を書いていきたいと思います。
○横井孝二
SDガンダムの産みの親、横井孝二氏のカラーイラストはさすがの安心感。
頭身が高くなったり瞳の描き方が変わったりと
最近のSDは昔と比べると結構デザインの変化がありますが
「SDガンダムってこういうのだよね」的な氏のイラストは見ているだけでホッとします。
個人的には三代目大将軍がいるのが嬉しかったですね。
三代目は本編では活躍らしい活躍がなく噛ませ役っぽい扱いになってしまっていますが
SDXも出ているあたり人気はあるんだと思います。
○やまと虹一
コミックボンボンの漫画でSDガンダムブームの立役者となった
やまと虹一氏のイラストは『超戦士ガンダム野郎』から。
千生将軍サラマンダートップやガンキラーといった人気キャラを
しっかりと押さえてくれているのが嬉しいところ。
横井氏に並んで変わらぬ絵柄に安心します。
○Ark Performance
ガンダムエースの『ジョニー・ライデンの帰還』など
近年のガンダム漫画を多く手掛けているArk Performance氏のイラストは
自身が挿絵を務めている『Twilight AXIS』からトリスタンを題材とした作品。
SDという性質上インコムが非常に大きく描かれているのが特徴で
本編とはまた違ったSDならではの魅力を感じるイラストですね。
○大童澄瞳
小学館のスピリッツで『映像研には手を出すな!』を連載中の大童澄瞳氏は
巻末コメントにあるように水陸両用MSが好みらしく
カラーイラストもズゴック推しの作品。
ちょっと上下に潰れた体型に巨大な両腕、と
デフォルメながらもミリタリー要素の強いイラストになっており
「何でもOK」なSDガンダムの懐の深さを感じます。
○武井宏之
『シャーマンキング』などの代表作を持つ武井宏之氏のイラストはスペリオルドラゴン。
丸っこいイメージも強いSDガンダムとは一味違い
全体的に鋭利で格好いいイメージで描かれているのが特徴的。
個人的には食玩「GUNDAM CONVERGE」のスペリオルドラゴンに似ている気がしますね。
○天神英貴
イラストレーターや声優など幅広い活動をしている天神英貴氏のイラストは
V作戦をテーマとしてガンダム・ガンキャノン・ガンタンクとホワイトベースを描いた作品。
SDガンダムと言うと騎士・武者・コマンドの風潮になってしまっている中で
「普通のガンダムのSD」は原点回帰といった感じで逆に新鮮ですね。
○皆川亮二
『スプリガン』『ARMS』などの代表作を持つ皆川亮二氏の作品は
騎士ガンダムとブラックドラゴンの対決をテーマとしたイラスト。
縦長のピンナップならではの大胆な構図で描かれており
特に大きく広がった騎士ガンダムのマントやブラックドラゴンの翼が印象的。
薄暗い絵画的な背景なども含めてダークファンタジーな雰囲気もありますね。
○ときた洸一
ピンナップのラストを飾るときた洸一氏の作品は
本書に収録されている同氏の漫画作品『異説 真悪参伝』の
イメージイラスト的な雰囲気で描かれた作品。
『異説 真悪参伝』は青年誌で掲載されることを意識してか
普段の氏の絵柄よりもかなり緻密に描かれている気がしますが
このピンナップも本編に負けないくらい格好いいです。
というわけで巻頭カラーのピンナップだけで長々と描いてしまいましたが
実はこのカラー部分+αはAmazonの商品ページなどの試し読みで
全部読むことが出来るようになっているんですよね。
SDガンダムも息が長いコンテンツでいろいろと派閥があるというか
「横井孝二先生とやまと虹一先生のイラストだけ見たい!」
「00年代以降の流れは分からない!」みたいな初期のみのファンも多いと思うんですが
そういう人たちは試し読みで目的を果たすことが出来てしまうことになるのです。
それがいいのか悪いのかはとりあえず置いておいて
30年も続いているコンテンツのお祭り本を単行本1冊でまとめるのは無理があるし
正直もったいなあ、と思ってしまうところはありますね。
それこそ30年の歴史を10年ずつに分けて3冊の本を出してほしかったくらいです。はい。
そんなわけで感想記事は「その2」に続くのです。
感想記事その2はこちら。
「SDガンダムスペシャルアンソロジー」 感想(その2)
https://tktkgetter.com/blog-entry-1471.html