「SDガンダム 新約SDガンダム外伝I with SDガンダム時空伝 メモリアルブック」 感想

2013年より完全新作で展開中の『新約SDガンダム外伝』の3作品(番外編を含む)と
90年代の『SDガンダム時空伝 ガンボイジャー』を収録したメモリアルブックの最新刊
「SDガンダム 新約SDガンダム外伝I with SDガンダム時空伝 メモリアルブック」が発売。
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「SDガンダム SDガンダム外伝メモリアルブック」 感想
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「SDガンダム 新SDガンダム外伝メモリアルブック」 感想
https://tktkgetter.com/blog-entry-1421.html

「SDガンダムヒストリア SDガンダム外伝編」 感想
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以前に「メモリアルブック」や「ヒストリア」の感想で
「新約もこういう本を出してほしい」というのを言い続けてきたので
本書の発売はまさに自分のニーズに応えてくれた感じですね。
「メモリアルブック」がここまで続いてくれて本当に嬉しいです。
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というわけでまずは『新約SDガンダム外伝』ですが
過去の『外伝』『武者』『コマンド』等のSDガンダム作品は情報量に程度の差こそあれ
当時のボンボン時代からいろんな解説本や設定資料集、イラスト集が出ていたのに対して
『新約』をメインにまとめたものは本書がほぼ初めて、ということもあり
これまでのメモリアルブック以上に知らない情報、初めて目にする情報が盛り沢山。
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『救世騎士伝承』では『機動戦士ガンダムSEED』が、
『新世聖誕伝説』では『鉄血のオルフェンズ』がメインとなっており
旧シリーズ時には存在しなかった作品をモチーフとしたキャラが続々登場するんですが
主要キャラはもちろんのこと敵モンスター1体1体にまで
過去シリーズとの繋がりを感じさせるような背景設定がされているのが印象的。
プレミアムバンダイ限定のカードダスでの展開、という販売形式もあってか
『新約』はこれまで以上にマニア向け、ファン向けに舵を切ったことが
設定の一つ一つからも窺えますね。
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ガンキラー+サイコゴーレムとかたまらんですし
アルジャーノンやベガスジャーノンに続いてダバード王国の騎兵の系譜として
『∀ガンダム』からボルジャーノンが登場しているのは
偶然のネーミングでありながら韻を踏んだ非常に巧い使い方ですね。
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アルティメットバトル以降あらゆる時代をかき回している騎士ユニコーン周りの設定は
10年ほど前のガンダム界隈は何でもかんでもユニコーンがごり押しされていたことと
騎士ガンダムのゲームはSFCの「大いなる遺産」よりFC版のほうが好きだったこともあり
「コールによる召喚」なども含めてなかなか受け入れられなかったんですが
こうやってイラストで過去キャラの総出演やIFの姿、新たな姿を目にすると
それだけで何だかもう許せる感じになりますね。
先述したようにFC版が好きだったのでベクレジイオンの再登場は非常に嬉しいです。

そして『SDガンダム時空伝 ガンボイジャー』は90年代に展開したシリーズのほか
WEBサイト「矢立文庫」で発表された『SDガンダム ザ・ラストワールド』で
設定上の続編という形で登場した『ガンボイジャー21』についても収録。
『ガンボイジャー』は対談で「コミカルな感じにしたかった」と書かれているんですが
悪ノリやおふざけのようなネーミングがされているキャラも多く
このあたりは合わない人にはとことん合わなかったんだよなあ、と
懐かしくも微妙な気持ちになったりもしますね。個人的にはあんまり……。
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また『21』はなかなか表に出ることが少ない『機動戦士ガンダムAGE』が
メインとなっているのは新鮮なところですが
正直『ザ・ラストワールド』は小説だったのが漫画になったりと
いろいろと迷走して唐突に終わってしまった感じがありましたね。
各作品からの出演が一風変わったチョイスでワクワク感はあったんですが
そこらへんの意外性とSDデザインの新鮮さだけで人気を得るのは
難しかったんじゃないかなあ、と。

そして本書の巻末にはこれまでのメモリアルブック同様に全4ページの対談が収録。
今回は現在進行形の『新約』がメインなのでこれまでの「過去作を振り返る」ものと比べて
モチーフ決めの経緯やキャラデザインへの言及など具体的な話が多かった気がしましたね。
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個人的には『新約』の取っつきにくさの一つに
発売されたのは『救世騎士伝承』→『新世聖誕伝説』の順なのに
作中の時系列では『新世聖誕伝説』→『救世騎士伝承』と
逆になっているところがあると思っていたのでそこに触れてくれたのは良かったです。

それと今後の『新約』の展開として「運命の三騎士にスポットを当ててみたい」という
情報があったのは嬉しかったですね。
「運命の三騎士」は章タイトルになるほどの重要な要素でありながら
劇中では本筋の「ネオガンダムの機甲神探し」から離れたところで話が進んでいたので
確かにまだまだ設定を加える余地があるところだと思うんですよ。
ポッと出としか思えなかったガーベラスの存在や
HPやMPの高さに反して劇中での強さが分かりにくかった
装甲馬車オーキス(スーパーオーキス)などが個人的には引っ掛かっていたところなので
もし新作が実現したらそのあたりを膨らませて欲しいなあ、と。

そんなわけでほぼ初めてとなる『新約』の設定本、ということで
これまで以上に初見の情報が多く非常に楽しめた今回のメモリアルブック。

ただ内容とは関係のないところの不満として
「どうして分冊してしまったのか」というのがあるんですね。
本書はタイトルに「”I”」とあるように『創世超竜譚』と『騎士王物語』を収録した続刊
『新約SDガンダム外伝II』の発売はほぼ内定済だと思うんですが
『外伝』『新外伝』のメモリアルブックが各300ページだったのに対して
本書は240ページと薄め、『ガンボイジャー』部分を省くと200ページ未満になるので
『創世超竜譚』と『騎士王物語』を加えて新約のみで1冊の本にまとめることは
十分に可能だったと思うんですよ。

じゃあなぜそれをしなかったのか、というと
「『新約』で本を2冊売りたい」という大人の事情があって
そのために「単体では売上を牽引出来ない『ガンボイジャー』を収録した」
みたいなことを邪推してしまうんですね。

いや本当に『ガンボイジャー』のファンの方々には大変申し訳ないんですが
『新約』との繋がりはほぼ皆無、対談でも最後にちょっと触れているだけ、
表紙の4体のガンダムは全て『新約』からのキャラで『ガンボイジャー』は裏表紙……と
資料としての希少性を置いておくと『ガンボイジャー』は
明らかに抱き合わせ販売的に扱われてしまっているんですね。
本書の売り文句ではガンボイジャーは「SDガンダム5大ワールドの一つ」とありますが
正直そんな区分は初めて聞きましたし
「アルティメットバトル」の「6つのSDガンダムワールド」にも入っていなかったので
ガンボイジャーに箔を付けるためにでっち上げたもののようにも思えるんですよ。

年代的にもデラックスボンボン的にも本来『ガンボイジャー』は
こちらの本「SDコマンド戦記&ガンドランダー メモリアルブック」に
収録すべきだったタイトルだと思いますし
それをわざわざ新約のメモリアルブックに持ってきたのには
何だかモヤモヤするものを感じてしまうのです。

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