現在東北歴史博物館で開催中の特別展
「古墳をつくる人びと はにわ工人 ハジベ君!」に行ってきました。
こちらの「ハジベ君」はタイトルやチラシのデザインから分かるように
「夏休み中の子供向けの展覧会」みたいな性格が強いものですが
期間が9月下旬まで、とかなり長く設定されているのが嬉しいところ。
夏休み中はこの手の施設はどこもすごい混雑っぷりで
どうしても二の足を踏んでしまうところがあるので
ちょっと繁忙期をずらせる選択肢があるのは非常にありがたいのです。
というわけで時期を外した甲斐もあって
ほぼ貸し切り状態で楽しむことが出来たこちらの「ハジベ君」ですが
いやー予想以上に良かったですね。
難しい解説やパネルなどは最小限に抑えておいて
いろんな種類の埴輪を見ることが出来るボリューム感がとにかく魅力的。
埴輪の数だけで言えば自分がこれまで見てきた展覧会の中で
一番多かったんじゃないでしょうか。
円筒から始まって家、人型、馬、盾などよりどりみどりです。
まさか作った人も1500年後に他の人と比較されて
「あんまり巧くない工人もいたんですね」と言われるとは思ってなかっただろうなあ……。
そんなわけで非常に面白かったんですが
「ミュージアムキャラクターアワード2023」にもエントリーしている
「ハジベ君」というキャラクターを活かした展示になっていたかというと
そのあたりはちょっと微妙に感じてしまうところ。
例えば本展示には最初にキャラクター紹介があるんですが
解説があっさりしすぎているせいで
キャラクターたちはほとんど展示の内容には関わってこないんですね。
母親のハハベさん(このネーミング正直すき)なんか出番はほぼ皆無でしたからね。
せっかくきちんとしたキャラ設定がされていて
展示の後半では20年後に成長したハジベ君が埴輪を作る……という流れになっているので
当時の人々の暮らしぶり、家族や首長との関係なども含めて
もっとストーリー性のある展示にしても良かったんじゃないかなあ、と思ってしまったり。
そもそもハジベ君=土師部という名前の由来にすらほとんど言及がないですからね。
まあ古墳時代を含む4世紀は空白期間というかマジで謎が多い時代なので
その辺りに具体的に触れることが出来ない、みたいな事情は
あったのかもしれないですね。
そして展示の最後には3Dプリンタで自由に触れる埴輪の再現物が。
頭がモナカ割りなせいで合わせ目がひどいですね。
まるで旧キットのガンプラみたいだぁ……。(直喩)
そんなわけで解説や文章の少なさは少々気になったものの
存分に埴輪を楽しむことが出来た特別展「ハジベ君」。
入場料も大人1000円と博物館の展覧会としては安めですが期待以上の内容でした。
あ、それと今回の特別展とは直接関係がありませんが
テーマ展示室の内容がいつの間にか一新されていてこちらが予想外に良かったですね。
テーマ展示室は写真撮影が禁止なのが残念です。
松川だるまと高崎だるまの比較も興味深いものでしたが
中でも第3展示室の「伊達家文書の世界」がとても面白かったです。
内容は伊達綱村の遺言書なんですが
家臣や身内に対して「アイツ頭はいいけど頑固で人の言うこと聞かないぞ」
「アイツの所業は人間じゃねえ」などなど
今際の際だからこそ言えるような赤裸々な内容がたっぷりでした。