長谷川裕一 「機動戦士クロスボーンガンダム ゴースト 1巻」 感想
舞台を「機動戦士Vガンダム」の時代に移して語られる
長谷川ガンダムの最新作「クロスボーンガンダム ゴースト」の1巻が発売。
完結編と銘打たれていた「鋼鉄の七人」ですでに蛇足感があり
正直「もうクロボンはそっとしておいてやってくれ」的なことを思ったりはしたけれど
そこは圧倒的な構成力を持つ長谷川氏ならではというか
かなり大人の事情を感じさせる続編でありながら辻褄を合わせつつ
しっかりと「漫画として面白い!」と言える作品になってるのはさすがという感じ。
ここまで安心して楽しめる続編ってそうそうないね。
今回の主人公フォントとトビアカーティスとの関係は
まんま「クロスボーンガンダム」初期のトビアとキンケドゥのような間柄になっているし
かつては最新鋭機だったクロスボーンガンダムが20年前の機体となり
その性能を凌駕する「サーカス」の機体が登場するなど
まさに世代交代、次世代のクロスボーンガンダムといった感じ。
旧世代MSの大型サイズを逆手に取ってセンサーを誤魔化すシーンなんかは
中原れい氏の漫画「機動戦士ガンダムF90」をちょっと思い出したり。
そして特に上手いと思ったのがザンスカールMSのシールドの性能が向上していて
クロスボーンガンダムのサーベルを上回っている描写が見られたところ。
無印「クロスボーン」5巻の巻末設定資料に
・やがてビームシールドの性能は向上しIフィールドは使われなくなるだろう~
といった意味合いの文章があったけれど
その通りにビームシールドが強力になってるんだなあ、としみじみ、
巻末にある設定資料が単なる設定で終わらずに
しっかりと本編の描写に説得力を持たせるものとして成立してるのはなかなか無いし
本当に長谷川作品はこのあたりの見せ方が上手いわ。
そんなわけでまだまだストーリーの全容も見えず
早くも続きが気になる「クロスボーンガンダム ゴースト」だけど
やはり気になるのはアニメ「機動戦士Vガンダム」との関係。
エンジェル・ハイロウの設計やその運用法などVガン設定にかなり踏み込んでいるし
「ウッソ=嘘」に相対する形での「フォント=本当」というネーミングを考えても
Vガンダムの裏の歴史を語っていくストーリーになるのかなあ、と。