映画『ボルテスV レガシー(字幕版)』感想

10/18より日本国内向けの「超電磁編集版」として上映が始まった
映画『ボルテスV レガシー』を観てきました。
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ちなみに観たのは字幕版。
吹き替えもかなり気合が入っているようなのでどちらにしようか悩んだんですが
俳優が向こうの人でキャラクター名も「剛兄弟→アームストロング兄弟」のように
ローカライズされているのでそちらに合わせて字幕版にすることにしました。
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というわけで待望の日本上陸となった『ボルテスV レガシー』ですが
いやーもう本当に「こういうのでいいんだよ」って感じでしたね。

今回の映画はドラマ版を原作アニメの第1話「宇宙からの侵略者」と
第2話「苦闘への前進」に相当する形に再編集したものになるのですが
とにかく再現度が素晴らしく、
近年のロボット作品ではあまり見られなくなった長尺での発進シークエンス、
主題歌のかかるタイミングも完璧な合体シーン、
主題歌のアレンジverと圧倒的な重量感によって描かれる戦闘、と
ロボットアニメの肝である部分を構図まで含めて完璧に再現しているんですよ。
これが映画館の大画面で観られるんだからもうたまりません。

チェーンナックル、超電磁ストリング、そして天空剣と
一つ一つの武装の展開ギミックがもう本当に格好良すぎます。
そんなにボルテスに思い入れはないのですが
観れば必ず玩具が欲しくなる、くらいの格好良さです。

また原作アニメ第2話のメカアクションは
「大逆転のカタルシス」と「ボルテス側がまるで悪魔のように見える演出」が
同居している部分が特筆すべき点だと思うんですが
『レガシー』の戦闘シーンもそのあたりがしっかりと感じられるものになっています。

ただ原作TVアニメ2話ぶん(約50分弱)を100分の映画に……と
尺がほぼ倍になっていることもあってか
1本の映画として見てみると話が進むテンポに難があるというか
「くどい!」と感じてしまう部分がちらほら。
本作は「フィリピンのボルテス愛」というのがよく挙げられるんですが
作品愛が強すぎるせいで全てのシーンをじっくり描きすぎる、
引き算が出来ずに演出がくどくなってしまっているような部分が多々あるんですよ。

特に映画の後半、マリアンヌ博士(剛光代)が重傷を負って特攻をかけるまでの流れは
ストーリー的には予定調和的な部分があるのにそこに至るまでの演出が長すぎるせいで
ボルテスと獣士バイザンガとの戦闘が何度もぶつ切りにされるなどのモヤモヤ感も加えて
観ていて「まだか……まだ生きてるのか博士……」となってしまうんですよ。

とは言え「ボアザン星との通信でハイネルの微妙な立ち位置を描く」
「超電磁ストリングの使用時に馬術が得意なマーク(峰一平)が
得意とする武器であることに言及する」など
長い尺を活かして原作アニメにはなかった部分を補足することにも成功していますし
ボルテスのテーマの一つである「家族愛」がかなり強調されており
「初出撃から生還した際、それぞれのパイロットたちが父母と抱き合う中で
両親がいないマークだけが複雑な表情を浮かべるシーン」
にはかなり長い尺を取っていて印象的。

このあたりのコンプレックスや嫉妬、確執は
続くTVアニメ第3話「墓標が教えた作戦」でじっくりと描かれる部分なので
2話までじゃなく3話までの再編集にすることは出来なかったのかなあ、と思います。
2話まででもそれなりに区切りはいいんですが
「母親が死んで終わり……」なのでちょっと暗い感じなんですよね。

そんなわけで不満点はいくつかあるものの
「こういうのでいいんだよ」なメカ描写が
全てを帳消しにしてくれた本作『ボルテスV レガシー』。

実は前情報をほとんど確認せずに行ったため
「TVアニメ1クールくらいの再編集かな」
「TV放送と平行して全3~4部くらいで劇場上映もしていくのかな」
みたいなことを思っていたんですが
まさかの2話までという衝撃が一番大きかったりします。
このテンポで全エピソードを映画館でやる、というのはさすがになさそうなので
今回はあくまでも記念上映的なものになるのかなあ、と。

ところで表示される字幕が
たまーに右に寄ったり左に寄ったりしてたんですけど何だったんですかねアレ。
「地球語とボアザン語の使い分け」や「音の聞こえてくる方向」みたいな
演出での表示ではなさそうだったので完全に謎でした。

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