泉昌之 「食の軍師 5巻」 感想

昨年にはドラマ化もされ
いつの間にやら5年以上の長期連載となっている
『食の軍師』の単行本第5巻が発売。

前回の4巻では神社・仏閣をテーマとしていたけれど
今回は「地方の郷土料理を出す小料理屋・居酒屋」がテーマになっており
初出の異なる「どぜうの軍師」を除くと
サブタイトルが全て「東京で○○を食らう」で統一されているという構成。

主人公、本郷が知らない地方の料理が中心であるため
どのエピソードも「何だろうと思って頼んでみたら、なるほどなるほど」という
同じような反応になってしまっており
初期の頃にあった「食べる段取りや食べものへのこだわり」が
ほとんど無くなってしまっているのが残念なところ。

そのぶん酒へのこだわりが強調されており
「泥酔してハメを外す」というオチが多く使われているけれど
酒を飲まない身としてはどうしてもこのあたりのオチは好きになれないというか
2~3巻の頃の「酒さえあればあとはどうでもいいや」的な雰囲気に感じた嫌悪感と
同じものがあるなあ、と。
あくまでも酒はオマケであって食べ物で勝負してほしいと思うんです。はい。

また気になるのが力石のキャラの変貌っぷり。
初期の頃は「クールな力石に対して独り相撲で空回りする本郷」という
対照的な二人のギャップによる面白さがあったんだけど
今回の力石は「うおーっ、うんめぇ!」とはしゃいだり
「(何が出てくるのかは)ヒ・ミ・ツ」と本郷をからかったりと
悪ノリが激しくすっかり類友になってしまっている感じ。

そんなこんなで1巻と比べるとすっかり路線が変わってしまった『食の軍師』。
実在する店や料理を紹介する食べ歩き作品としてはいいのかもしれないけど
やっぱり食べ物マンガとしての楽しさ、
ついつい真似したくなるような魅力は薄れちゃったなあ、と。

ぶっちゃけ泉昌之(=原作:久住昌之)作品はネタの使い回しが多いから
週刊誌での長期連載には向いてない気がするんだよね。
以前は「いい意味でのマンネリ」で許されてたのが
最近は食マンガブームの火付け役として次々と作品を発表しているせいか
悪い意味で引き出しの少なさを露呈している状況になっちゃってる感じ。

久住氏は今もドラマや多くの作品の原作を抱えて多忙みたいだし
無理に隔週連載にしないで『孤独のグルメ』みたいな不定期連載で
一話一話をじっくりと作ってほしいなあ。

あ、あと個人的にはしそ巻きは
「子どものおやつ」より「ご飯のおかず」のイメージが強かったりします。
なんか「地方の料理」として改めて紹介されると違和感があるね。

  

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