連載終了後に少しずつ単行本化が進んでいる
「朝霧の巫女」の7巻が6巻から1年を経て先日発売。うーん長かった。
一時はどうなることかと思ったけどこのまま完結まで行ってくれそうで嬉しいわ。
貞本エヴァみたいな感じだと思ってじっくり待とう。

今回の7巻は南北朝時代を舞台に
乱裁道宗と菊里の過去が明かされる過去編「妹背の花」を前編、
さらわれた柚子を必ず助けることを決意する忠尋や各キャラの葛藤を描く
「雨の七月二二日」を後編とする二部構成的なストーリー展開。
いやあやっぱりじっくり読まないと分からないねこれ。
雑誌連載時はぶつ切りで途中でわけ分かんなくなって脱落しちゃったんだけど
まとめて読むとすごい面白いわ。
勿体ぶった台詞や謎が多いからまだまだ話の全貌は見えてこないんだけど
一言で言ってしまえば「アマテラスとスサノオの壮大な姉弟喧嘩」
ってことでいいのかなこれ。

過去編はわざわざ絵柄を変えてまで「絵巻物」的な表現をするという拘りようで
楠木正成・正季兄弟や後醍醐天皇(?)に大胆なアレンジを加えながらも
しっかりと「太平記」に書かれた「お互いを刺しての自害」に帰結する構成なんかは
うわあすげえ、と思わず唸ってしまう感じ。
ただ気になったのは22Pの「皇の血筋は一系にあらず」という場面で
「淳仁天皇」の名前が大きく出ている所。
この47代天皇に「淳仁」の名前が与えられたのは明治になってからだし
南北朝時代の視点で「淳仁」の名前が出てくるのにちょっと違和感。
個人的にはここは「淡路廃帝」にしてほしかったなあ。

そして後半も思わせぶりな演出や唐突な場面転換が多く
ちょっと気を抜くとぼーっとしたまま数ページめくっちゃってる展開がしばしば。
「胎児の夢」は「ドグラ・マグラ」? 国産み神話との関連性は?
こういう抽象的な表現が多くなってきたのは5巻の途中あたりからかな。
また、抜刀隊の人たちが並んで道を作る所なんかで思ったけど
シリアスとギャグの配分が「OVAジャイアントロボ」的というか
「大真面目なギャグ」なんだよなあ。
かなり唐突にギャグが出てくるから個人的には付いていけない部分もあったり。
そして188Pで珠ちゃんが見てるTVの画面…うわあすごい自虐ネタ。
申し訳ないと思いつつもあの話が掲載されたアワーズだけは捨てられない。

そんなわけで「朝霧の巫女」を語るのにアニメ版の話は欠かせないと思うんだけど
いや、実はそんなに嫌いじゃないんだよねアニメ版。
いろんな制約がある中で巫女委員会にスポットを当てた話にすれば
あんな感じになるのは当然じゃないかな、と。
終了していない原作を噛み砕いてマイルドにしたアニメと考えればそう悪くはないし。
一部作画が酷いのは認めるけど。
つまりどういうことかというとこういうことだよ!

 20110205.jpg

・アニメ前に発売されたイメージCD
・アニメDVD全巻(初回特典BOX付)
・DVD全巻購入特典(アニメ版)
・DVD全巻購入特典(原作版)

わはははは!
ここまで来たからには最後まで付いて行くぜウガワさん!

   

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  アニメ・漫画

(以下の画面は全て「RPGメーカー’98」のものです。)

 20110203-1.jpg

RPGメーカー」の戦闘は非ATBのサイドビュー形式。
ツクール2000と2003の合いの子といった感じ。
一見理想的なのだがウェイトがかなりきつく
サンプルゲーのバランスだと一回の戦闘に2~3分ほどかかってしまうのがつらい所。
また戦闘計算式がかなり謎であり、
0ダメージだったかと思うと次は70ダメージほど出たりもする。
マニュアルにも「※武器を装備していないとダメージは強制的に0になります
としか書かれておらずマジ不明。
状態異常が変数で管理されているのが新鮮。

 20110203-2.jpg

そして何より特徴的なのはその成長システム。
「RPGメーカー」ではレベルアップによる能力値の上昇が無く、
(レベルは装備品の制限にのみ関わる)
攻撃を行うと腕力が上昇、魔法を使うと知力が上昇、
ダメージを喰らうとHPが上昇するといういわゆるFF2形式が採用されている。
武器ごとに熟練度もあるしまさにFF2。
しかもこれらのパラメータは戦闘中にリアルタイムで成長していく。
サガ3solを先取りしてるよ!

またツクールユーザーという視点から見てみると
プロジェクト作成時に戦闘終了後の状態を
・そのままシナリオを続行
・戦闘不能者はHP1で復活
・全員のHPが全快する
の3つから選択出来たり

 20110203-3.jpg

敵やオート行動の味方のAIをドラクエの「命令」のような形で
簡単に設定出来る

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というのが嬉しいところ。
ツクールでもイベントコマンドやスクリプトで出来るけどバグの温床になったりするし
ツールのほうに最初から設定項目があるのはいい感じだね!

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  RPGメーカー

恐らく「RPGメーカー」と聞いて多くの人が思い浮かべるのが
欧米で発売されている海外版ツクール「RPG Maker」だと思うんだけど
今回紹介するのはそうではなくてこれ。

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その名の通り1997~1998年頃に発売されたCD-ROM付き冊子(2000円)。
確か「97」「97PLUS」「98」の3種類があったはず。
ムック本形式で2000円という低価格や
既に「RPGツクール」を発売していたアスキーによる製作ツールということで
連動企画やツクールシリーズとの違いを特集する記事が
今は亡き「TECH Win」誌上で盛んに行われていた…記憶がある。
実は発売時に親にねだって買ってもらったにも関わらず
当時小学生であった自分には全く理解出来ず押し入れの肥やしとなり
恐らく廃品回収か何かで吹っ飛ばしてしまった苦い思い出があったりするんだけど
このあいだ古本屋で偶然見つけて即購入。
曲がりなりにもツクールでRPG作ってる今なら理解出来るはず!

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さて、このRPGメーカーだけど、その最大の特徴は
通常の「主人公固定型RPG」の他に「自由参加型RPG」が制作出来るということにある。
現在も多くのコミュニティが存在する「CardWirth」と同じと言えば
分かりやすいと思うけれど、要はプレイヤー側がキャラクターを作成し
そのキャラで他者が作ったシナリオをプレイ出来るというもの。
この形式はRPGツクールでは現在に至るまで採用されておらず、その点において
「RPGメーカー」はツクールと並んで普及する可能性を秘めていたと思われるけれど
残念ながら「ツクール」に圧される形でシリーズは終了。

それは恐らく「RPGメーカー」のゲームはCD付属の専用Playerからでないと起動出来ず、
更に「ユーザー以外へのあらゆるデータの配布は不可(アップロードを含む)」
という規約があったため。
つまりツクールで言えば「RTPを2000円で購入しないといけない」
ということに等しく、プレイヤー側の敷居が高く広まらなかったというのが
普及しなかった原因じゃないかなあ、というのが自分の見解。
「TECH Win」上でシナリオ配布とかもされてたけど
購入者だけの内輪で終わってしまった感がなきにしもあらず。

そんなわけで2011年現在、
残念ながらRPGメーカーシリーズは忘れ去られてしまっているんだけど
今のツクールシリーズでも採用していないようなシステムもあったりするし
いろいろ面白いなあと思ったり。

 20110201-3.jpg

付属のサンプルゲーム。
マップや町のモブ、敵キャラなどは完成しているが本筋のストーリーは特に存在しない。
「これをテンプレートとしてどんどんイベントを追加していこう!」らしい。

どうでもいいけど同梱のDirectX3に時代を感じるね!

   

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  RPGメーカー

鋼鉄ジーグ+キューティーハニー的に復活する兜甲児、
世界の真実を知った上で「仲間たちを守る」ことを決意するミネルバX、
そして「Zマジンガー」を彷彿させる新メカ、アルテミスAに乗る
さやかさんのパイロットスーツは「マジンサーガ」と、
アニメ版「真マジンガー」を超えたクロスオーバーが展開する「真マジンガーZERO」の4巻。
「変な奴がいるぞ!」といったアニメのネタもしっかりフォローしてたりするし
いやあダイナミックファンには堪らんねこれ。

そして本筋のストーリーもノンストップで続く怒涛の展開。
単なる楽屋ネタにも思える「機械獣は週に一度しか襲ってこない」に
しっかりと意味を持たせたりするいい意味での裏切り、
絶望感漂うストーリーの中で唐突にギャグが混ざったりするような空気感は
しっかりと永井豪的な感じ。
今回も兜甲児がフラッシュバックから危機を回避するなど
平行世界やループネタも単なる舞台装置で終わりそうにないし
そのあたりをどう落としていくのかも楽しみ。

ただここまで大胆なスーパー永井豪大戦をやってくれると
敵のメンバーがいつものDr.ヘル、あしゅら男爵、ブロッケン伯爵というのに
ちょっと物足りなさを覚えてしまったりもするんだよなあ。
アニメではグロイザーXがまさかの敵機械獣として出演してたり
ヤングアニマル嵐で連載中の「偽書ゲッターロボダークネス」でも
「スカルキラー邪鬼王」のイオナたちが敵幹部として登場したみたいだし
それらの作品みたいに「真マジンガーZERO」でも敵側に大胆なアレンジを加えて
読者を驚かせてほしいなあ、というのが正直な所。
贅沢な要求だとは思うんだけど。
アイアンカイザーあたりなんか出すにはぴったりだと思うんだけどどうだろう。

  

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  アニメ・漫画, ダイナミック系, 真マジンガーZERO

「宇宙消失」「順列都市」などの長編で有名なイーガンの短編集。
印象に残ったのは
・適切な愛
・しあわせの理由
の二つ。「ボーダー・ガード」の量子サッカーなんかも
字面には惹かれたんだけど内容としては何だかなあ、な気分に。

【適切な愛】
交通事故で肉体がほぼ死滅してしまった夫を蘇らせるため、
数年間自分の体内で夫を生かし続ける妻の話。
夫に対する感情が日々変化していく妻の描写がメインになるんだろうけど
最初の設定がインパクトありすきて全部吹っ飛んでしまった。
かなりの超設定ながら実際にあり有り得そうなリアリティを含有しており
なんだか「ブラック・ジャック」にありそうな話だなあ、と思ったり。

【しあわせの理由】
表題作。メディカル的要因で感情が支配されるという点では
テーマとしては上記の「適切な愛」と同じになるんだろうか。
手術によって世界の見方が変わりそれによって人生が左右されていく、という流れは
少し「アルジャーノン~」っぽいとも思ったけど
「アルジャーノン」ほどには他者との交流の描写がないし
なんとも形容しがたい話。
魅力的な設定や登場する技術などがあくまでも「舞台装置」であり、
本筋-延々と独白で綴られてゆく主人公の内面-には直接的には関係無く、
乱暴に言ってしまえば「壮大な自己完結」にもなりかねないストーリー展開は
解説文で「哲学的」と評されるように
良くも悪くも日本の純文学的な感じだなあ、と。

…うーん。グレッグ・イーガンには熱狂的なファンが多いから
こういうことは言っていいのか悩むけどあんまり好きじゃないんだよなあイーガン。
「人間の感情は人為的にコントロールされ得る」という前提に
登場人物への感情移入を意図的に拒んでいるような展開。
そうした基盤そのものに嫌悪感を抱く人は結構いるんじゃないだろうか。
「宇宙消失」の忠誠モッドによる洗脳なども含めて、
イーガン小説では感情=単なる電気信号であり科学技術の方が上位である、
という姿勢が一貫しててそのあたりが生理的にきついというかなんというか。
神でもオカルトでも何でも来い! 何でもありで別にイーガン!
な自分にはちょっとガチガチすぎる気も。
作中のロジックを「すごい論理パズルだ」と捉えるか
「何だただの屁理屈じゃん」と捉えるかでも評価はかなり変わってくる感じ。

ということで解説文の文系理系うんぬんも含めて
いろいろ物議を醸し出しそうな話だよね、
と当たり障りのないことを言って締めることにしよう。うん。

  

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  SF小説