進化を続けるドラゴンを狙う女王蟲を阻止すべく
拓馬たちアークチームが決死の覚悟で研究所の地下へと突入する
アニメ「ゲッターロボ アーク」の第5話。
オリジナル要素が強かった第4話からの直接の続きとなった今回の『アーク』。
原作では女王蟲が街で騒ぎを起こしてゲッターチームをおびき寄せ
そちらを陽動として研究所に侵入する、という流れだったんですが
アニメでは研究所に直接襲撃を仕掛けたこと、
それに加えてインセクター軍を呼び寄せて行動を派手にしたことで
「研究所を執拗に狙う敵たち」というのが漫画よりも強調されていた感じがありますね。
とは言え細かなシチュエーションが変わっても
隼人のガンアクションや敷島博士の「自分の手と握手しながら相手を倒す味わい深い武器」、
そして竜馬と同じ武器を選んだ拓馬への反応など
ここは再現して欲しい、という部分を押さえてくれているのが嬉しいところ。
個人的にはキリクのドリルが道路ごと敵を貫いたあとの
「道路に穴を開けると公共事業費がかさんで国会で問題になる」も好きなんですが
さすがに今回の流れでこのセリフを出すのは難しいので仕方ないですね。
早乙女研究所って昔から治外法権みたいなところありますし。
そしてタイムリミットが迫る中、ゲッターアークが研究所に突入してから
女王蟲を喰らうまでのシーンはほぼ原作通りの流れ。
研究所内で焦りと恐怖から攻撃が荒くなったりその後のシーンで杖をついていたりと
全体的に「ゲッター線に怯え、その影響を受けるカムイの姿」が強調されていた感じですね。
第2話でケンカに巻き込まれるシーンもそうでしたが
アニメ版でのカムイは漫画よりも人間味が増している気がします。
漫画だとちょっと手を震わせていただけで
戦闘中は特に気にする様子もなく戦っていましたし。
また地獄の釜のフタが開いてからは完全にアニメオリジナルとなり
充満するゲッター線の中でドラゴン+弁慶と早乙女博士、拓馬たちが対話をする展開に。
原作は掲載誌が隔月刊だったこともあって
「前回の話を覚えてないと分からない」ようにはしたくなかったのか
尺の都合とばかりに大胆な省略やカットをすることも多かったんですが
(例えば本エピソードは漫画では地獄の釜が開いたところで終了しており
ぶつ切りになる形で次のエピソードが始まっています)
さすがにアニメはそのあたりを補足する形できっちりやってくれていますね。
また早乙女博士のセリフの中にこっそりと
「愛する者がいるかぎり戦い続ける~」というフレーズがあったのも嬉しいところ。
元のセリフは『真』で竜馬との会話の中に出てきたものが近いですが
全く違う場面でこうして細かな引用がされるのは何て言うかファン心をくすぐります。
聞き覚えがあるセリフだ! 元ネタを探してやるぞ! 的な。
というわけで第4話と第5話は前後編のような感じの話になりましたが
原作には出てこなかった早乙女博士や弁慶が登場して過去の話を絡めることで
「拓馬たちが過去の出来事を知り、それでも戦うことを決意する」
「早乙女博士がアークチームに地上の平和を託す」という要素が加わって
世代交代がテーマの1つになっていた感じがしましたね。
「竜馬の息子」「ゴールの息子」「タイールの弟」という
過去作キャラとの繋がりがどうしてもフォーカスされてしまうアークチームですが
アニメ版の意図としてはそうした血脈を抜きにしても
拓馬たちは魅力的な主人公なんだというのを見せたい、というのがある気がします。
まあそうじゃないといきなり『アーク』からアニメ化した意味もないですからね。
それと同時に「ゲッター線への疑問」「ゲッターと共に戦う理由」など
原作では後半に出てくる要素をこの時点で出しているのも気になるところ。
未完の作品なだけにやっぱり終盤の展開をどうするのかは一つのキモだと思うんですよ。
個人的には漫画と同様に物語が一番盛り上がるところでクライマックス!
でたなゲッタードラゴン! 第一部完! 伝説未完! 人間も捨てたもんじゃねえぜ!
で終わってしまっても一向に構わないんですが
違う展開を見せてくれるというのならやっぱりそれはそれで嬉しいのです。
ところで今回のアニメ版は『號』での自爆メカのくだりが
隼人のトラウマっぽく回想としてやたらとインサートされてますね。
こんな顔しておいて内心クッソ気にしてたのかと思うと何だかかわいく思えてきます。
そして今回からはEDが「STORM 2021」となり
背景の映像も『真』からの引用を中心としたものへと変更。
ED曲が途中で変わるのは予想通りなものの
「STORM」の時の映像は『號』が中心になると思ってたのでここは外れでしたね。
元々はネオゲッターの主題歌なので『號』のほうが合っていると思うんですが
まあこれまでの物語の復習を兼ねての『真』からのチョイスなのかもしれません。
あ、これアニメでさっき見たシーンだ! みたいな感じで。
ところでBlu-rayの収録話数などを見ると全13話なのは確定みたいですし
4話ごとにエンディングが変わるとすれば最終話だけが余ってしまいますね。
最終話はEDがないパターンで終わるのかあるいはOPの「運命の血統」を持ってくるのか、
「今がその時だ」などの選曲も考えられますしこのあたりも予想がつかないなあ、と。