というわけで昨年の夏に満を持して発売した
5年ぶりとなるPC版RPGツクールの最新作『RPGツクールMZ』。
発売当時はブログも移転前ですっかりエターナラーが板についてしまっていた自分も
久々のPC版の最新RPGツクールということでしっかり購入していじくっていました。
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当時からファーストインプレッション的なことは書きたいと思っていたんですが
なんやかんやと滞っているうちに機会を逃してしまっていたので
発売一周年となる今が最後のチャンスとばかりに
いろいろと思ったことをつらつらと書いてみた次第です。
ぶっちゃけ『妖鬼少女』の制作日記のネタが無いんです。

まあ結果としてはVXAceでの『妖鬼少女』の制作に舵を切ったことからも分かるように
「ならば旧作ユーザーらしく素材だけいただいていくっ!(長谷川裕一風)」
になったわけですが

そこらへんはとりあえず置いておいて
ユーザーとしてMZに感じた印象などを書いていきたいと思います。
まあMVやMZが悪いわけじゃなくてVXAceがよかった、という話なので
マイナス面ではなくプラス面での判断である、と思っていただければと思います。

というわけで最新ツクールとなった『RPGツクールMZ』ですが
内容は完全にMVの正統進化版でしたね。

基本的な見た目は変えずに+α、というと
2000に対する2003やVXに対するVXAceなどがありましたが
スクリプト導入以前でちょっとした変化が大きなアドバンテージになっていた2003や
「特徴」によりデータベース回りの追加要素は見た目以上に多かったVXAceなどと比べると
MVに対するMZは正直さほど変更点がないというか
「機能を追加するのではなくツールとしての利便性を高めるようにした」
というコンセプトで生まれたような気がします。

「解像度の変更が簡単になった」「m4aファイルが不要になった」
「吹き出しや移動のプレビューが可能になった」などの部分は確かに便利ではありますが
「制作ツールとして出来ることが増えた」というわけではありませんし
プラグインエディタなんかも「必要なパラメータだけいじくって簡単設定」
というユーザーフレンドリーな部分が強調されてしまって
自分みたいに「全体的に中身をちょっとずついじくりたい」という人には
逆に面倒くさくなってしまった感じですね。
そういうところはVX系がモアベターです。

まあスクリプト、プラグイン導入後のツクールは
ある意味「欲しい機能は後から追加できる」ようになったわけですから
その結果として利便性や演出面を高める方向に
進化するようになったのはある意味当然かなあ、と。

そういうこともあって今回のMZではMVユーザーが
「こういうことがしたかったからMZに移行するぞ!」と
機能的な理由で制作ツールを変えるような状況は
発売から1年が経った現在でもあまり起こっていないんじゃないかと思います。

そんな中でエディタ部分の大きな追加点として
「XP」以来の待望の復活となったマップ作成時のレイヤー機能があるわけですが
それもマップチップの汎用性のない色調や
レイヤーを使うのを想定していないようなチップ配置の謎さでケチがついてしまった印象。
感覚的な話になってしまいますが「なんかこう組みにくい」んですよあの配置。

エディタ画面を見てみてもあくまでもメインは既存の自動判別で
「選びたかったらレイヤー機能も選べるよ!」みたいな
上級者、ヘビーユーザー向けに入れました、な雰囲気なので
レイヤー機能を使うようなユーザーなら
マップチップの加工くらい自分で使いやすいようにやるでしょ、と
足元を見られているような気もします。

自分もちょっと前なら歓迎していたと思うんですが
マップチップにイベントチップを重ねて層を作る手法
(200Xの頃からあったテクニックですね)にすっかり慣れてしまったので
今はまあレイヤーなくても何とかなるかなあ、な気分になってしまってます。
さすがに15年以上もレイヤーなしの時代が続いていると……ねえ?
レイヤー機能の復活は正直遅すぎましたね。
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あとMZのマップチップって圧縮や減色、アンチエイリアスのやり方が
過去作と違うのか分かりませんが
ディスプレイのスケーリング設定によっては
なんていうかエディタ上での見え方が粗くなるんですよね。
MV以降は高解像度での制作が出来るようになったRPGツクールですが
こと今回のMZのマップチップに関しては
そのあたりが裏目に出ちゃってる気もします。自分のPC上ではギザギザです。
結局MZにガッツリ移行することは無かったのでここらへんの理屈は今でも謎です。

いやーしかしMVからはや5年ということで
この間にツクール界隈もずいぶんと様変わりしましたね。
特にDL販売サイトなどを中心に有料のツクール製同人ゲームが台頭したことと
「基本無料」を謳うブラウザゲームやソシャゲがゲームの主流になったことで
「フリーゲーム」という単語自体が古い言葉になってきているような気すらします。
それに合わせてフリー素材のサイトさんたちも
有料販売サイトに移行していっている印象もありますし。

価値のあるものを提供している人たちが
しっかりとその価値に見合った対価を得られるようになった、
という点ではいい時代になったと思いますが
過去のバーリトゥードなフリーダムさを懐かしく感じる部分もあるのです。
商業的な問題に加えて主要プラットフォームが海外のSteamになったことで
面倒臭さが生まれている感もありますし。

正直今のツクール界隈は海外フォーラムへの依存度が高すぎて
公式が現状を把握してないんじゃないかと思う時があるんですよ。
自分はツクールMVをパッケージ版で購入したんですが
パッケージ版ユーザーに対する不親切さは今でも「絶対に許さないよ」なマジレス状態です。
なんで公式プラグインや購入特典の無料素材を手に入れるのに
あんなに苦労しなきゃならないんですかね……。

あとはやっぱりスマートフォンの普及でしょうか。
特に日本国内はiPhoneのシェア率が異常に高く
一部の世代ではスマホ=iPhoneみたいな風潮になってしまったことで
ここまで完全にWindows一択だったPCゲームや画像作品、音声作品にも
大幅な変化が求められるようになった感じですね。
実際SafariブラウザとかAACファイル、m4aファイルが
ここまでメジャーになるのは完全に予想外でしたよ。

とまあいろいろ書きましたがやっぱり好きなんですよRPGツクール。
自分はいろいろいじくった末に「VXAce」に戻ることを選びましたが
マルチデバイスとブラウザ上のプレイに対応して
「プレイしてもらう」ことへのハードルを大幅に下げたMV/MZは一つの到達点ですし
今からツクールを始める、という人にとっては最新作であるMZ
(マップチップの汎用性ならMV)が最適であることはまず間違いないです。
数ヵ月前に自分が久々にWEB上にぶん投げた『微睡少女』も
MZだったらもっと軽量化出来ていたと思いますし。

ところでMZって結局何の略なんでしょうね。
マジンガーZかな?

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  RPGツクール

デビュー作『それゆけコンバット』から絶筆となった『戦国忍法秘録 五右衛門』まで、
漫画家・石川賢の全ての軌跡を記した完全ガイド「石川賢マンガ大全」が発売。
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というわけで「ゲッターロボ大全」「魔神全書」などなどの
値段の高さに見合った内容に定評のある一連のシリーズより
久々の刊行となった本書「石川賢マンガ大全」の最大の魅力はその圧巻の情報量。

まるで石川先生の作画みたいだぁ……と思ってしまうくらいに
全ページびっしりと書かれた作品紹介やインタビューは
A5サイズの書籍が一回り小さく見えてしまうほどで読みごたえ抜群。
A5版で200ページちょいの本が3000円はちょっと高いなあ、と思っていましたが
一種の事典や大百科だと思えば妥当かもしれないですね。
まあマニア向けに足下見られてる感はありますが。

そんな本書の中心となっているのは
細かな読み切りや四コマまで含めた石川先生が手掛けた全ての作品の完全紹介。
石川作品は2000年前後に双葉社や講談社から精力的に選集や文庫版が出ており
自分はその頃に刊行された作品については押さえることが出来ていたんですが
それでも知らない作品がこんなにたくさん、という驚きがありますね。

そして個人的に興味深かったのが詳細が不明だった作品の扱い。
自分の中での石川賢先生の作品リストは「真ゲッターロボ総集編 vol.2」に収録された
2000年時点のものが最新だったんですが
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そのリストで「データ不詳」とされていたいくつかの作品についても
本書では初出の雑誌が明らかになっていたり作品カットが載っていたりするんですよ。
この20年で明らかになった新事実がある、というのも
感慨深いというか何て言うかすごいですね。

また本書から感じられるのは「石川先生の魅力はゲッターだけじゃねえぜ!」という姿勢。
数年前に刊行された画集「石川賢画集 Collected Paintings KEN」のように
代表作であるゲッターロボをドーンと表紙に載せて
中身もゲッターを中心とした構成、とすることも出来たと思うんですが
本書はあえてそこからちょっと外した感じがするんですね。

本書は石川賢作品を大きく6つのジャンルに分けて紹介しているんですが
その中でゲッターを1番ではなく2番目に置いているのも意図的なものだと思いますし
「ゲッターとその他」という形にはしたくなかったんじゃないかと思うんですよ。
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あ、自分としては表紙よりも裏表紙の虎のほうが好きですね。
まるで「虚無戦記」の8巻が出たかのような装丁に涙が出てきます。
オレは! 5000光年先よりこの宇宙になぐりこんできた 虎だ!

そしてインタビュー記事は本書のために録り下ろされたものから
過去の対談やエッセイ、雑誌コメント的なものまでこちらも非常に充実した内容。
特に「電撃ホビマガ」に掲載された寺田克也氏との対談があったのが嬉しかったですね。
この頃は『完全勝利ダイテイオー』目当てに「ホビマガ」を購読していたので
この対談記事には覚えがあるんですよ。いやー懐かしい。

あと単純に『禍』が大好きなんですよ自分。
デジタルも駆使して描かれた禍曼陀羅や牛魔王復活後の展開がもうたまらないです。
石川賢作品でも三本の指に入るくらい好きですね。
あとの二本は『ゲッターロボ號』と『神州纐纈城』でしょうか。

また漫画家仲間や編集者だけでなく
マネージャーやご家族といったこの手の本ではなかなか出てこない方々からの寄稿もあり
「漫画家としての石川先生」のみならずありとあらゆる角度から
「石川先生の人となり」を知ることが出来るようになっているのも印象的。
『DEVOLUTION』の清水×下口コンビ、『偽書』の西川氏、『飛焔』の津島氏といった
ゲッターに挑戦した作家さんたちからのトリビュート原稿も嬉しいですね。
他にも恐竜になったゲッターや麻雀をするゲッターがいた気がしましたが……
そのあたりは大人の事情でしょうか。

個人的には『牌』の後半は回想に回想を重ねるような展開が続いて
ちょっと分かりにくくなっちゃったのが残念でしたが
「地球での淘汰を勝ち抜いて宇宙に殴り込みだ!」な感じのラストは
非常に好きだったりします。
物語にしっかりとケリをつける形で終わらせた『DEVOLUTION』とは対照的でしたね。

というわけで圧倒的な情報量と編纂に携わった人たちの気合を感じられる本書は
間違いなくファン必携ではあるんですが
現在放送中のアニメ『ゲッターロボ アーク』で初めて石川作品に興味を持った人が手に取る
(この時期に刊行されたのはそういう意図もあると思うんですが)には
正直なところ値段も含めてなかなか厳しい本だとは思うんですよ。

多くの作品がラストまでネタバレ上等、
作品によってはその後の描き下ろしや他作品とのリンクまで解説されていて
それは『アーク』も例外ではありませんし
何よりも本書で紹介されている作品の多くが単行本未収録、
あるいは絶版で入手困難というのが
非常にネックになってしまっているのではないでしょうか。

自分のように「とりあえず代表作は押さえてるし……」くらいでは
圧倒的な情報量にめまいがしてくる部分もありますし
せっかく知らない作品を知ることが出来たのに
読めないというもどかしさは如何ともしがたいのです。

こうなると未収録短編集や全集的なものが是非とも欲しくなってくるんですが
本書の奥付に「著作権者と連絡が付かないので一報がほしい」的な
文面があることを考えても
現状では刊行が難しい作品とかもあるんだろうなあ、と。

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  アニメ・漫画, ダイナミック系

極秘任務で深海へと向かう拓馬たちアークチーム、
連合艦隊による太平洋上での大規模作戦、
そして再びインセクター軍の襲撃を受ける早乙女研究所での防衛戦という
三面作戦が繰り広げられたアニメ「ゲッターロボ アーク」の第6話。

というわけでドラゴンの進化と『真』の時代の戦いが描かれた4~5話が終わり
新章突入となった雰囲気のある今回の『アーク』。
原作の同名タイトル「竜の末裔」は恐竜帝国に着いたチームの描写が中心の話でしたが
アニメ版はそこまで行かずに連合艦隊や研究所の戦いがメインの展開でしたね。
漫画では後半だったゲッターカーンの初登場や
マクドナル(ド)の正体が明らかになるシーンなども本話で描かれており
中盤以降に向けて今のうちに出せるものは出しておこう、な雰囲気もあります。

そんなわけでまず前半は太平洋上での連合艦隊の戦い。
一斉攻撃を仕掛けるも自らのミサイルで壊滅してしまう、という流れは原作通りなものの
艦隊を指揮する提督があのシュワルツコフ! という設定が加わったことで
漫画では全く顔が見えなかった連合艦隊に親しみを感じられるようになった印象。
翔もそうですが過去作のキャラが成長したり出世したりして再登場してくれるのは
作品同士の繋がりを感じられてやっぱり嬉しいですね。
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『號』の頃は陸軍所属だったシュワルツが海軍の提督となったのは
尊敬していた祖父の後を継いだから、とかそういう想像も出来ますね。
19年前の戦いのあとに軍が再編成されていてもおかしくありませんし。
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ところで部下に嫌みったらしく頬擦りするシーンは
かつて號に同じことをされたのに対する意趣返しでしょうか。

そして後半のメインとなるのはアニメオリジナルの展開となる
群体となった超巨大インセクターに対する早乙女研究所の防衛戦。
前回までの戦いで研究所は既に多大なるダメージを受けており
一機だけ残っていたD2とステルバー軍団も蹂躙される中、
楽曲「STORM」を引っ提げて空を切り裂いて現れたのは──!
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……え? 何この……なに?
俺の……俺の知らない、ゲッターだと……っ!?(by武蔵)

いやーここに来てとんでもない爆弾をぶん投げてきましたよこのアニメ(褒め言葉)。
これアレですね。要は『真マジンガーZERO』のグレートマジンカイザーと同じですね。
ゲッターを知り尽くしている原作ファンの予想を超えて驚かせるには
誰も知らないゲッターを新しく持ってくるしかないってことですよね。

いや作劇の理屈としては分かるんですが
それをこうやって原作付きアニメで堂々とやられちゃあ脱帽するしかないですよ。
ここまで大胆なことが出来るのも数々のダイナミック作品を手がけてきた
川越監督ならではなんじゃないでしょうか。

というわけで乗っているのは號たちなのか?
叫んでたけどパイロットの自我とか意識とかそういうものは残っているのか?
そもそもあの真ゲッターとは同一の存在なのか?
現在の宇宙から来たのかそれとも未来から来たのか?
などなど完全に置いてけぼりにされながらも
圧倒的な強さと楽曲「STORM」の格好良さに「まあいいか」となってしまう
謎の説得力を感じさせられたブラック真ゲッター(仮称)の出現。
特にサビの手前、ストナーサンシャインのところで
BGMが一旦止まって隼人の反応などの「溜め」が入るのがいいですね。
レイズナーかな?

このブラック真ゲッター(仮称)ですが
ブラックゲッターっぽいマスクを付けた黒い真ゲッターということで
デザイン的には千値練から発売された
「RIOBOT 真ゲッター1 ブラックVER.」あたりが一番近いですかね。

RIOBOT 真ゲッターロボ 世界最後の日 真ゲッター1 ブラックVER.
https://sen-ti-nel.co.jp/items/shin-getter-black/

あとは漫画だと研究所のゲッター部隊の中にこんな感じのがいましたね。
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ゲッター1ベースで顔の下半分がマスクっぽい意匠なので方向性としては同じかなあ、と。

とりあえずドラゴンの危機に呼応して戻ってきた真ゲッターと言うことで
アナザー真ゲッターとか進化過程ゲッターとか真ゲッター分体とか
エンペラー眷属ゲッターみたいな位置付けになるんでしょうか。

というわけでまさかのアニオリゲッターの登場に
全て持って行かれてしまった感がありますが
『號』ラストの旅立ちのシーンをしっかりと再現してくれたのも今回の見所。
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いやーもうこの一連のシーン大好きなんですよ。
ムウと真ゲッターが対峙する見開きページからの流れは
石川作品のみならずあらゆるロボット漫画の中でも最高峰の一つだと思ってます。
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ちなみにこの最後のやり取りは1985年に国内で公開された映画『2010年』
(『2001年宇宙の旅』の続編)にインスパイアされたものだと思うんですが
そのあたりについて触れた記事とかはネット上ではあまり見ないですね。
個人サイトの日記やSNSなどではたまに見かけるんですが
それ以外だとスパロボwikiの「流竜馬」の項目に載っているくらいでしょうか。

流竜馬 – スーパーロボット大戦Wiki
https://srw.wiki.cre.jp/wiki/%E6%B5%81%E7%AB%9C%E9%A6%AC

まあ「邦題に『~宇宙の旅』がついていない」
「前作とはテイストが全く違う作品になっている」ことなどもあって
映画『2010年』自体の知名度が日本では微妙になっていることも原因だと思います。
個人的にはエンタメに終始していて2001年より好きだったりするんですが。

そんなわけで話が脱線したりしましたが
拓馬たちがマグマ層の恐竜帝国にたどり着いたところで次回に続く。
帝国に向かう途中でカムイが「墓標」と言っていたのはゴールが乗っていた小型艇ですね。
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あの小型艇はゲッターが回収して供養したのかと思っていましたが
なるべくマグマ層の近くに置いておいてやろう、ということもあって
ああいう形で「墓標」にしてあげたのかなあ、と。

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  アニメ・漫画, ダイナミック系, ゲッターロボアーク(アニメ)

進化を続けるドラゴンを狙う女王蟲を阻止すべく
拓馬たちアークチームが決死の覚悟で研究所の地下へと突入する
アニメ「ゲッターロボ アーク」の第5話。

オリジナル要素が強かった第4話からの直接の続きとなった今回の『アーク』。
原作では女王蟲が街で騒ぎを起こしてゲッターチームをおびき寄せ
そちらを陽動として研究所に侵入する、という流れだったんですが
アニメでは研究所に直接襲撃を仕掛けたこと、
それに加えてインセクター軍を呼び寄せて行動を派手にしたことで
「研究所を執拗に狙う敵たち」というのが漫画よりも強調されていた感じがありますね。
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とは言え細かなシチュエーションが変わっても
隼人のガンアクションや敷島博士の「自分の手と握手しながら相手を倒す味わい深い武器」、
そして竜馬と同じ武器を選んだ拓馬への反応など
ここは再現して欲しい、という部分を押さえてくれているのが嬉しいところ。
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個人的にはキリクのドリルが道路ごと敵を貫いたあとの
「道路に穴を開けると公共事業費がかさんで国会で問題になる」も好きなんですが
さすがに今回の流れでこのセリフを出すのは難しいので仕方ないですね。
早乙女研究所って昔から治外法権みたいなところありますし。

そしてタイムリミットが迫る中、ゲッターアークが研究所に突入してから
女王蟲を喰らうまでのシーンはほぼ原作通りの流れ。
研究所内で焦りと恐怖から攻撃が荒くなったりその後のシーンで杖をついていたりと
全体的に「ゲッター線に怯え、その影響を受けるカムイの姿」が強調されていた感じですね。
第2話でケンカに巻き込まれるシーンもそうでしたが
アニメ版でのカムイは漫画よりも人間味が増している気がします。
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漫画だとちょっと手を震わせていただけで
戦闘中は特に気にする様子もなく戦っていましたし。

また地獄の釜のフタが開いてからは完全にアニメオリジナルとなり
充満するゲッター線の中でドラゴン+弁慶と早乙女博士、拓馬たちが対話をする展開に。

原作は掲載誌が隔月刊だったこともあって
「前回の話を覚えてないと分からない」ようにはしたくなかったのか
尺の都合とばかりに大胆な省略やカットをすることも多かったんですが
(例えば本エピソードは漫画では地獄の釜が開いたところで終了しており
ぶつ切りになる形で次のエピソードが始まっています)
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さすがにアニメはそのあたりを補足する形できっちりやってくれていますね。

また早乙女博士のセリフの中にこっそりと
「愛する者がいるかぎり戦い続ける~」というフレーズがあったのも嬉しいところ。
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元のセリフは『真』で竜馬との会話の中に出てきたものが近いですが
全く違う場面でこうして細かな引用がされるのは何て言うかファン心をくすぐります。
聞き覚えがあるセリフだ! 元ネタを探してやるぞ! 的な。

というわけで第4話と第5話は前後編のような感じの話になりましたが
原作には出てこなかった早乙女博士や弁慶が登場して過去の話を絡めることで
「拓馬たちが過去の出来事を知り、それでも戦うことを決意する」
「早乙女博士がアークチームに地上の平和を託す」という要素が加わって
世代交代がテーマの1つになっていた感じがしましたね。

「竜馬の息子」「ゴールの息子」「タイールの弟」という
過去作キャラとの繋がりがどうしてもフォーカスされてしまうアークチームですが
アニメ版の意図としてはそうした血脈を抜きにしても
拓馬たちは魅力的な主人公なんだというのを見せたい、というのがある気がします。
まあそうじゃないといきなり『アーク』からアニメ化した意味もないですからね。

それと同時に「ゲッター線への疑問」「ゲッターと共に戦う理由」など
原作では後半に出てくる要素をこの時点で出しているのも気になるところ。
未完の作品なだけにやっぱり終盤の展開をどうするのかは一つのキモだと思うんですよ。
個人的には漫画と同様に物語が一番盛り上がるところでクライマックス!
でたなゲッタードラゴン! 第一部完! 伝説未完! 人間も捨てたもんじゃねえぜ!
で終わってしまっても一向に構わないんですが
違う展開を見せてくれるというのならやっぱりそれはそれで嬉しいのです。

ところで今回のアニメ版は『號』での自爆メカのくだりが
隼人のトラウマっぽく回想としてやたらとインサートされてますね。
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こんな顔しておいて内心クッソ気にしてたのかと思うと何だかかわいく思えてきます。

そして今回からはEDが「STORM 2021」となり
背景の映像も『真』からの引用を中心としたものへと変更。
ED曲が途中で変わるのは予想通りなものの
「STORM」の時の映像は『號』が中心になると思ってたのでここは外れでしたね。
元々はネオゲッターの主題歌なので『號』のほうが合っていると思うんですが
まあこれまでの物語の復習を兼ねての『真』からのチョイスなのかもしれません。
あ、これアニメでさっき見たシーンだ! みたいな感じで。

ところでBlu-rayの収録話数などを見ると全13話なのは確定みたいですし
4話ごとにエンディングが変わるとすれば最終話だけが余ってしまいますね。
最終話はEDがないパターンで終わるのかあるいはOPの「運命の血統」を持ってくるのか、
「今がその時だ」などの選曲も考えられますしこのあたりも予想がつかないなあ、と。

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  アニメ・漫画, ダイナミック系, ゲッターロボアーク(アニメ)

研究所を徘徊する早乙女博士たちの幻影に導かれ
拓馬たち3人が過去の出来事に直面する
アニメ「ゲッターロボ アーク」の第4話。

というわけで早くも第4話となった今回のタイトルは「美しい夜に」。
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ゲッターらしかぬ(?)綺麗な字面にちょっと違和感がありましたが
「早乙女博士がゲッター線を発見した星のきれいな夜」を
「美しい夜」と表現しているんですね。
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警備員たちがゴールの幽霊におののくシーンは
「真」の終盤エピソード「破滅への序曲」からの引用ですし
今回はストーリーラインがほぼアニメオリジナルということもあって
かなり大胆に原作シャッフルをしている印象ですね。
ファンとしてはいろんなところからネタを拾ってくれるのは
「あ、ここかぁ!」って気分になれるので嬉しいです。

また面識のない早乙女博士を迷子の老人と勘違いする拓馬、
意外な形でタイールとの再会を果たす貘、
同年代のハチュウ人類の子供を見て自分の境遇を思う幼少時のカムイ、と
漫画ではなかなか見られなかった人間関係が出てきたのもアニメ独自の展開。
特にカムイが「同年代の子供に呼び捨てにされるくらいには仲が良かったこと」が
分かってなんだか嬉しくなりましたね。
もっと不自由な生活を強いられてたんじゃないかと思ってたので。

ところで3人とも寝るときは上半身裸なんですね。
もしかしてサービス回かな?
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あとこのシーンのハチュウ人類の子供たちがかわいいですね。
作画的にも某オルフェンズのかんたんアトラちゃんっぽくてなんか好きです。
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そして後半は研究所で過去に起こった出来事として
漫画「真」での昆虫軍団とのファーストコンタクトを再現する展開。
単にキャラが回想したり説明したりするのではなく
「旧研究所に遺された記憶」として目の前で再現させられる、という演出は
非常に上手いところですね。
オカルトっぽい描写を入れることでゲッター線マシマシ感が伝わってきます。

今回は旧研究所メンバーが貘の体をすり抜ける、という描写で
幽霊っぽい表現をしていましたが
たぶんゲッター線フルパワー状態だとすり抜けないですからねアレ。
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勝手にケーブル繋いだりハッチ開けたりしますからねこの幽霊たち。

そんなわけで冒頭のドラゴン増幅炉の実験シーンから
ベンケイを残して3号機に伊賀利クンを乗せての出撃、
印象的な「有機体ならぶっ殺す! メカならぶっ壊す!」のセリフなどなど
もうバッチリ完全再現で嬉しいところなんですが
あくまでもビターエンドな過去話ということなのか
全体的にちょっとテンションが抑え目だったのが残念だったところ。
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ゲッタードラゴンの増幅炉実験シーンの早乙女博士も
漫画ではセリフ全てを叫んでいるような雰囲気だったんですが
アニメでは良くも悪くも「経過を冷静に見守る研究者」っぽい
押し殺した感じの口調になってしまっていましたし。

このあたりは解釈の違いや過去のOVAとの差別化もあるかと思いますが
個人的にはもっと全編テンション上げてやってもいいんじゃないかなあ、と思います。
だってゲッターですよ?(謎理論)

それにしても「HEATS」はすっかり真ゲッター出撃のテーマとして定着した感じですね。
格好いいからとにかくヨシ!

あ、それと細かい部分で気になったのは
カムイが旧研究所での出来事について「19年前の~」と言っていたところ。
原作漫画では「真」と「號」との間には十数年ほどの隔たりがあるはずなんですが
その両方が「19年前」ということになるとちょっとおかしくなりますね。
やっぱり今回のアニメ版の歴史の流れは漫画とはちょっと違うってことになるんでしょうか。
まあ単なるミスの可能性もありますが。

このあたりの差異はなまじ原作既読だと逆に戸惑ってしまうところなので
公式サイトとかで簡単な年表みたいなものを載せてくれれば嬉しいなあ、と思います。
アニメ版の設定資料集とか出してくれてもいいのよ?

そんなこんなで次回に続く。
次回のタイトルは「申し子」ですが
女王蟲がD2パイロットに取りつく形になっていたりと
次回も原作とはちょっと流れが変わってきそうな感じですね。
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まあ「祭りの準備で公民館に集まっていた人々が狙われた」
という漫画でのシチュエーションは
アニメ版の世紀末な世界観にはちょっとそぐわない感じもしますし
原作通りにして場面転換やモブキャラを増やすよりも
研究所のメンバーやパイロットたちの出番を増やしたい、ということなんだと思います。

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  アニメ・漫画, ダイナミック系, ゲッターロボアーク(アニメ)