原作漫画『ドラゴンボール』から地続きとなる『ドラゴンボール超』の新たな設定で
新たなブロリーの物語が描かれた映画『ドラゴンボール超 ブロリー』。
『神と神』からのドラゴンボール映画は全て劇場で観ていて
今回の『ブロリー』も映画館に足を運んでいたんですが
感想記事を書いていないないままだったので
先日4/16に地上派初放送がされたのが最後のチャンスだと思った次第です。
きっかけがあってよかったです。はい。
というわけで今回の新ブロリーですが旧映画とは時系列も全く違いますし
「際限なく戦闘力が上がる」「一切の攻撃が無効」といった
どこから出てきたのか分からない設定が公式のように語られたり
ネット上でのネタ化も含めて完全に一人歩きを始めていた「ブロリー」という存在を
鳥山先生が果たしてどんなふうに解釈して『超』の物語に組み込むのか、
というのは期待しつつも不安であった部分なんですが
いやー蓋を開けてみればすごい面白かったですねマジで。
まず前半の40~50分を費やして描かれたのは
数十年前の惑星ベジータを舞台にしたバーダック&悟空(カカロット)、
先代のベジータ王&ベジータ、そしてパラガス&ブロリーのそれぞれの父子の顛末。
ブロリーに息子の立場が脅かされることを恐れ排除しようとするベジータ王をはじめとして
旧作の設定を膨らませたり短編『ドラゴンボール-(マイナス)』でのエピソードを挟みつつ
じっくりと描かれた人間ドラマは見応え満点。
まさかドラゴンボールでここまで魅せるストーリー、
情緒的な物語を描いてくれるとは思いませんでしたよ本当。
悟空もベジータもほとんど出てこないのにすごい面白い物語が描けるっていうのは
それだけで今後のドラゴンボールの可能性のようなものも感じさせてくれますね。
そして旧映画のブロリーの魅力の一つには「保育器が隣で泣かされていた」という
悟空との赤ん坊の頃からの因縁があったんですが
本作ではそのあたりの設定はバッサリとカットされ
その代わりに「悟空のもう一つの可能性」という部分が強調されていた印象。
「自分と離れ離れになっても強く生きて欲しい、とカカロットを一人で送り出し、
サイヤ人のために戦って死んでいったバーダック」と
「ブロリーと一緒にいるために息子を追い、サイヤ人の仲間を殺してでも
二人だけで生き延びようとしたパラガス」は
「子を想う親」という点では同じであっても明らかに対比する形で描かれていますし
悟空が地球で多くの仲間や師によって成長したことと
ブロリーが父親に縛られて歪められ、友人すら自らの手で屠るように仕向けられたことも
対照的に描かれている感じです。
そして後半はブロリーの新たな理解者であるチライ&レモとの交流を経て
地球を舞台に悟空&ベジータがブロリーを擁するフリーザ一味と激突する展開に。
前半のドラマパートから一転、お互いに変身を繰り返しつつ
超スピードでパワーとパワーがぶつかり合う戦闘描写はまさにドラゴンボールの真骨頂。
TVシリーズでは難しい、映画だからこそ出来たであろう圧倒的なバトルシーンは
ドラゴンボールの超絶バトルをアニメーションがここまで表現出来るようになった、という
ある種の感動すら覚えます。
特に戦闘の序盤で描かれた超ゴッドベジータの作画はとんでもなくすごいと思います。
洋画『マン・オブ・スティール』が上映された時に
「戦闘シーンがまるでドラゴンボールのよう」
「日本の映画じゃ出来ない表現力」というレビューが散見されましたが
日本のアニメにもそれを表現できる力があるぞ! 負けてないぞ! って気分になりますね。
また戦闘の中でのブロリーの超パワーアップのきっかけとなったのが
「パラガスの死」だったのも印象的。
この描写を考えれば本作のブロリーは正しく
「穏やかな心を持ちながら怒りによって目覚めた超サイヤ人」でありますし
本作ではいろいろあって復讐のために歪んでしまいましたが
大本の理由が「ただブロリーに生きていてほしい」一心だったことを考えても
ブロリーにとってのパラガスは一種の洗脳じみたものがあったとしても
決して「悪い父親」ではなかったんだろうなあ、と。
それにしても本作のフリーザはやってることは極悪なはずなのに
すっかりコメディリリーフな立ち位置でしたね……。
というわけで前半は「父と子」にスポットを当てたストーリー性、
後半は日本のアニメ作品でも最高峰に位置するんじゃないかというクオリティで
圧巻の戦闘を見せてくれた映画『ドラゴンボール超 ブロリー』。
本作のラストを考えるとブロリー&チライ&レモの3人は
今後も第三勢力として登場しそうな感じがしますし
6月公開予定の映画『スーパーヒーロー』や漫画版なども含めて
どんどん続いていく『ドラゴンボール超』のこれからの展開も気になるところです。
もちろん『スーパーヒーロー』も前売り券は購入済みです。
全2種類のクリアファイルの他、カードダスセットがついてくるローチケ版の前売りも
カードダス好きとしては外せないので結局前売り券が3枚になりました。
3回行かなきゃ……。(使命感)
あ、それと本作の悟空の最後のセリフ「孫悟空、それとカカロット」は
明らかに旧作の「オラはカカロットじゃなくて孫悟空」との対比ですね。
終盤のゴジータとブロリーの戦闘には生死を賭けた戦いというよりは
「ゴジータがブロリーに稽古をつけている」ような印象も受けましたし
本作の戦いを一言で言ってしまえば
「戦いが嫌いだったブロリーに悟空がサイヤ人として戦いの楽しさを教える」
ことになるんじゃないのかなあ、と。