鋼鉄ジーグ+キューティーハニー的に復活する兜甲児、
世界の真実を知った上で「仲間たちを守る」ことを決意するミネルバX、
そして「Zマジンガー」を彷彿させる新メカ、アルテミスAに乗る
さやかさんのパイロットスーツは「マジンサーガ」と、
アニメ版「真マジンガー」を超えたクロスオーバーが展開する「真マジンガーZERO」の4巻。
「変な奴がいるぞ!」といったアニメのネタもしっかりフォローしてたりするし
いやあダイナミックファンには堪らんねこれ。

そして本筋のストーリーもノンストップで続く怒涛の展開。
単なる楽屋ネタにも思える「機械獣は週に一度しか襲ってこない」に
しっかりと意味を持たせたりするいい意味での裏切り、
絶望感漂うストーリーの中で唐突にギャグが混ざったりするような空気感は
しっかりと永井豪的な感じ。
今回も兜甲児がフラッシュバックから危機を回避するなど
平行世界やループネタも単なる舞台装置で終わりそうにないし
そのあたりをどう落としていくのかも楽しみ。

ただここまで大胆なスーパー永井豪大戦をやってくれると
敵のメンバーがいつものDr.ヘル、あしゅら男爵、ブロッケン伯爵というのに
ちょっと物足りなさを覚えてしまったりもするんだよなあ。
アニメではグロイザーXがまさかの敵機械獣として出演してたり
ヤングアニマル嵐で連載中の「偽書ゲッターロボダークネス」でも
「スカルキラー邪鬼王」のイオナたちが敵幹部として登場したみたいだし
それらの作品みたいに「真マジンガーZERO」でも敵側に大胆なアレンジを加えて
読者を驚かせてほしいなあ、というのが正直な所。
贅沢な要求だとは思うんだけど。
アイアンカイザーあたりなんか出すにはぴったりだと思うんだけどどうだろう。

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愛蔵版 真マジンガーZERO(1)

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  アニメ・漫画, ダイナミック系, 真マジンガーZERO

「宇宙消失」「順列都市」などの長編で有名なイーガンの短編集。
印象に残ったのは
・適切な愛
・しあわせの理由
の二つ。「ボーダー・ガード」の量子サッカーなんかも
字面には惹かれたんだけど内容としては何だかなあ、な気分に。

【適切な愛】
交通事故で肉体がほぼ死滅してしまった夫を蘇らせるため、
数年間自分の体内で夫を生かし続ける妻の話。
夫に対する感情が日々変化していく妻の描写がメインになるんだろうけど
最初の設定がインパクトありすきて全部吹っ飛んでしまった。
かなりの超設定ながら実際にあり有り得そうなリアリティを含有しており
なんだか「ブラック・ジャック」にありそうな話だなあ、と思ったり。

【しあわせの理由】
表題作。メディカル的要因で感情が支配されるという点では
テーマとしては上記の「適切な愛」と同じになるんだろうか。
手術によって世界の見方が変わりそれによって人生が左右されていく、という流れは
少し「アルジャーノン~」っぽいとも思ったけど
「アルジャーノン」ほどには他者との交流の描写がないし
なんとも形容しがたい話。
魅力的な設定や登場する技術などがあくまでも「舞台装置」であり、
本筋-延々と独白で綴られてゆく主人公の内面-には直接的には関係無く、
乱暴に言ってしまえば「壮大な自己完結」にもなりかねないストーリー展開は
解説文で「哲学的」と評されるように
良くも悪くも日本の純文学的な感じだなあ、と。

…うーん。グレッグ・イーガンには熱狂的なファンが多いから
こういうことは言っていいのか悩むけどあんまり好きじゃないんだよなあイーガン。
「人間の感情は人為的にコントロールされ得る」という前提に
登場人物への感情移入を意図的に拒んでいるような展開。
そうした基盤そのものに嫌悪感を抱く人は結構いるんじゃないだろうか。
「宇宙消失」の忠誠モッドによる洗脳なども含めて、
イーガン小説では感情=単なる電気信号であり科学技術の方が上位である、
という姿勢が一貫しててそのあたりが生理的にきついというかなんというか。
神でもオカルトでも何でも来い! 何でもありで別にイーガン!
な自分にはちょっとガチガチすぎる気も。
作中のロジックを「すごい論理パズルだ」と捉えるか
「何だただの屁理屈じゃん」と捉えるかでも評価はかなり変わってくる感じ。

ということで解説文の文系理系うんぬんも含めて
いろいろ物議を醸し出しそうな話だよね、
と当たり障りのないことを言って締めることにしよう。うん。

  

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  SF小説

「世界樹の迷宮II」に続いてコミックREXで連載されている「III」の単行本が発売。
「世界樹」シリーズ自体が決まった主人公がいないゲームということで
今回も他のメディアミックス作品と同じくストーリーはオリジナル。
主人公がプリンセス♀というのはゲームの箱画や人気を考えれば順当なんだろうけど
自分は使ってなかったからちょっと違和感があったり。

で、今回の漫画は効果線を多用したりスキル名をテロップ風に出したりと
「II」の漫画よりも勢いやアクションを重視した絵柄な感じ。
ところどころのコマの構図とかには格好いいところがいくつもあるし
完全にツッコミ+いじられキャラになっているパイレーツのホークや
ビーストマスターのカザンが仲間になるところのドタバタな雰囲気とかは
かなり好きなんだけど
第1話の海賊たちみたいなモブキャラが多いせいか
一人一人の描き込みがちょっとおざなりになってしまっているのがやや残念。

そしてゲーム版をプレイしていないと分からない用語(深都とか海都とか)が
何の説明もなしにぽんぽん出てくるのも少し気になるところ。
購入層はまず間違いなく世界樹ファン(自分も含めて)だろうし
作者の六堂秀哉氏も「世界樹」プレイヤーと言うことで
そのあたりを特に疑問に思わずに描いちゃったんだろうけど
一本の漫画作品として見るとこういう説明不足はどうなんだろうと思ったり。
「II」の漫画も作品テーマ的に2~3層あたりで終わってちょうど良かったし
「主人公セリアの兄を追う話」を肝にするなら
あんまり迷宮の深くまで潜る必要もない気がするんだよなあ。
特に「III」は3層から大きな分岐があることだし。

とまあ「II」の漫画版が個人的にかなり良かったから
どうしても比較してしまう部分があるんだけど
まだ下巻が残っているのでまずは完結してから、という感じ。
上で書いたような不満点が下巻で見事に解消+自分の早とちりだったら
全力で謝ることにしよう。


下巻の感想はこちら


一部キャラがゲスト出演しているドラマCD
「世界樹の迷宮III 絶海の優姫」の感想記事はこちら

   

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  世界樹の迷宮, アニメ・漫画, ゲーム

Amazonを見てて気付いたけど
どうやら「伝説巨神イデオン」の劇場版BDが出るらしい。

いやあ大好きなんだよなあイデオン劇場版。
いまだに自分の中では富野アニメの最高傑作。三ヶ月に一回は今でも見るね。
どのくらい好きかって言うと中学時代に月1000円の小遣いを約一年貯めて
古本屋で記録全集全5巻を10000円でセット購入したくらい。

 20110123.jpg

というわけで当然DVDも持ってるんだけどうーんどうしようBD。
イデオンには自分みたいな熱狂的ファンが多いみたいだから
今までの例を見てもすぐプレミア化して手に入りにくくなりそうだし。

やっぱりチャプター分けがどうなってるかが決め手かな。
良画質だったDVDでの唯一の不満が全く分けられてないチャプターだったし
ここはぜひ改善して欲しいところ。
せめて発動篇の
・巨大彗星をイデオンガンで撃つ~シェリルの死
・カーシャの「みんな星になってしまえ」から続く戦闘シーン
・コスモの「嘘だろベスさん」からの戦闘シーン
・ガンドロワ直撃後のワンポイント攻撃(汗を流すコスモのアップから)
・ラストのカンタータ・オルビス
くらいはすぐに観られるようにして欲しいんだけど
贅沢ですかそうですか。

 

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  アニメ映画, アニメ・漫画, 映画

「スペアーズ」で有名なマイケル・マーシャル・スミスの短編集。
…と紹介されていたけど「スペアーズ」は未読なのでさっぱり。
印象に残ったのは
・みんな行ってしまう
・地獄はみずから大きくなった
・ダイエット地獄
の三つ。

【みんな行ってしまう】
表題作。もう戻れない過去への郷愁がテーマの短編。
夕暮れ、セピア調の場面が容易にイメージ出来る展開は
良くも悪くも国語の教科書に載っていそうな話だなあ、と。
「SFホラー」という本の紹介や「少年はある日不思議な人物と出会う」という
作品紹介文から娯楽的な作品を想像してるとちょっと拍子抜けしてしまうかも。
こういう作品をSFホラーと銘打たれた短編集の一番最初に持ってくるのは
どうなんだろうと少し思ったり。

【地獄はみずから大きくなった】
とにかくタイトルが格好いい。
二人の男性と一人の女性のいわゆるドリカム状態による青春小説的な雰囲気や
現在と過去が交互に描写される構成などは
以前に読んだ「時間封鎖」を彷彿させる展開だなあと思ったり。
主人公たち三人の立ち位置や性格もよく似ているような気が。
科学とオカルトが当たり前のように同列に語られて融合する後半の流れは
瀬名秀明の「パラサイト・イヴ」や「BRAIN VALLEY」なんかを思い出すけど
本作は短編のテンポで人類滅亡まで行ってしまうぶんかなりぶっ飛んでいて
その違和感について来られなくなる人もいるんじゃないだろうか。
逆にそこが普通に受け入れられればハマるはず。

【ダイエット地獄】
太ってしまったけど絶対にダイエットだけはしたくない主人公が
「自分の肉体だけを過去に戻すタイムマシン」
を求めて奮闘するコメディ系の短編。
「ダイエットに比べればこんなの簡単」と数行でタイムマシンが完成したりする超展開、
そして毒があるとしか言いようのないラストは
まさにイギリス的なブラックジョークと言った感じ。
登場人物をバカにしているようなやや俯瞰的な視点は
同じくイギリスのSFコメディであるダグラス・アダムズの
「銀河ヒッチハイク・ガイド」シリーズを思い出すなあ。あれ大好き。

 

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  SF小説