50年目を迎えて今なお世界を広げ続けている『ゲッターロボ』の
全てを網羅するガイドブック「THE COMPLETE ゲッターロボ」が発売。

というわけで満を持して刊行された「THE COMPLETE ゲッターロボ」ですが
本書の大部分を占めているのは石川賢先生による漫画版『ゲッターロボ・サーガ』の紹介。

漫画のイラストがふんだんに使われストーリーやキャラクター、メカニックなど
様々な角度から『サーガ』の各作品群を追っていく内容になっており
特にキャラクターは名無しのキャラやチョイ役についても紹介されておりかなりの情報量。

関係性の深い『セイテン大戦フリーダーバグ』や『スカルキラー邪鬼王』にも
わずかながら触れられておりしっかりと読み物として楽しめるものになっています。
同じ双葉社から20年ほど前に発売された『ゲッターロボ大全』や『ゲッターロボ全書』は
当時のスタッフインタビューや設定画、アニメ各話のスタッフリストなどを載せて
「アニメと漫画が同時展開した「ゲッターロボ」「G」「號」の研究本」的な感じでしたが
本書はそのあたりの当時の企画・制作への言及は少なく
あくまでも「漫画版を総ざらいするガイドブック」な感じですね。

そして「COMPLETE」ということもあってTVアニメやOVA、
『ロボットガールズ』や石川先生以外の作家さんによる各種の漫画作品も紹介。
一つ一つの作品紹介は簡易なものの押さえるところは押さえており
特に『飛焔』『ダークネス(DASH)』『ダイノ』『DEVOLUTION』『牌』の各漫画作品は
全て描き下ろしとなる寄稿イラストも収録されており本書の目玉とも言うべき部分。
ほとんどの作品が連載終了から5年〜10年以上が経過しているので
2025年になって新規イラストが見られるのは非常に嬉しいところです。
またゲームへの出演も真ゲッターの初登場となる『第四次スーパーロボット大戦』に始まり
スマートフォンアプリ『スーパーロボット大戦DD』で登場したノワールまで掲載。

『新スーパーロボット大戦』の漫画版のデザインでアニメ版ボイスを放つ
謎の立ち位置のゲッターチームも載せられておりウィンキースパロボ要素もバッチリです。
というわけで漫画版のガイドブック+αでしっかりと楽しめた
本書「THE COMPLETE ゲッターロボ」ですが
どうしても漫画以外の紹介が「広く浅く」な感じになってしまっていたのが
ちょっと残念だったところ。
「石川賢画集 Collected Paintings KEN」 感想
https://tktkgetter.com/blog-entry-1507.html
電撃文庫の小説『ゲッターロボ(たかしげ宙版)』や
スニーカー文庫のノベライズ『真ゲッターロボ対ゲッターロボ』は
以前に『石川賢画集 Collected Paintings KEN』の感想を載せた際に
「文庫よりも大きいサイズで表紙イラストを見てみたい」と書いており
本書の口絵カラーでそれらが掲載されていたのは本当に嬉しかったんですが
内容についても少しは触れてほしかったなあ、と。
特に『真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ』は
単なるノベライズではなくアニメ本編とは全く異なるストーリーが展開し
『アーク』の連載開始前にも関わらず
恐竜帝国との和解の可能性を模索するようなエピソードが入っていたりするので
そのあたりにも言及してほしかったと思いますね。
またPSソフト『ゲッターロボ大決戦!』については
斬チームやブラックゲッター、真ゲッタードラゴンの設定画に留まり
ゲームの内容やストーリーに関する話はほぼ皆無だったので
こちらももうちょっと踏み込んでほしかったところ。

ゲッターオンリーのSRPGとして現在でも唯一無二である『ゲッターロボ大決戦!』は
今でこそ「隠れた良作」みたいな扱いをされていますが当時はメディアへの露出はかなり多く
特に「電撃PlayStation」や「ザ・プレイステーション」誌は10ページ近い特集記事を組んで
石川先生に実際にゲームをプレイしてもらってのロングインタビューを掲載していたりと
ものすごいプッシュをしていたんですよ。

攻略本も複数の出版社から出ており
石川先生の書き下ろしイラストがたっぷりの電撃の攻略本や
ロングインタビューが載っているケイブンシャの本など
どれもこれも今読んでも面白いものなのです。
漫画『真』とOVA『真(チェンジ!!)』とゲーム『ゲッターロボ大決戦!』の三作は
時期的には恐らく同時進行的に制作されたものだと考えられますし
そういう意味でも本書ではしっかり取り上げてほしかったなあ、と。
電撃文庫では『ゲッターロボ』の他にも『デビルマン THE NOVEL』が刊行されましたし
2000年前後の当時のメディアワークスのお偉いさんには
熱心なダイナミックプロのファンがいたんじゃないかと思っているんですが
実際はどうなんでしょうね。
そんなこんなで漫画版『サーガ』を中心としたガイドブック、という方向性は分かるんですが
「コンプリートを謳う3500円の本」と考えるとちょっと薄いというか浅いというか
「正直物足りない、もっと踏み込んでほしい!」と思ってしまうところのある
本書「THE COMPLETE ゲッターロボ」。
姉妹本とも言える「石川賢マンガ大全」が大量の未単行本化作品の紹介をして
「知らない情報がたくさん!」的なところを見れてくれたのに対して
本書は「読んだことがない人でも分かるサーガのまとめ」的な内容で敷居も低い感じなので
「3500円の本を買うようなコアなファンにはちょっと物足りないぞ……?」
みたいな気分にもなるのです。
永井豪先生のインタビューで『デビルマン対ゲッターロボ』への言及はあったので
そういった客演や各種アンソロジーなども含めた
もっと細かい作品群にスポット当てた続刊や増補版とか出してくれませんかね……?

あ、それと本の装丁が双葉社の一連のシリーズと同じなのはやっぱり嬉しいですね。
本棚に並べると全12巻+アーク全3巻に加えて「石川賢マンガ大全」と本書が別巻、みたいな
いい感じに収まるのです。ひゃっほい。
































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