筋肉はゴリラ! 牙は狼! 燃える瞳は原始の炎!
令和の混迷の時代に暴力を呼ぶあの男が帰ってきた!
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というわけで『月刊ヤングマガジン』で連載中の
衣谷遊氏による『バイオレンスジャック』のリメイク作品
『バイオレンスジャック20XX』の第1巻が発売。

『ジャック』は物語の性質上いくらでも外伝を作ることが出来るので
今回の『20XX』も永井豪先生が本編終了後に発表した
『魔王降臨編』『戦国魔人伝』『新ジャック』などのような
単発でのオリジナルストーリーになるのかと思っていましたが
蓋を開けてみればまさかの完全リメイク作品。

原作では小学生だった竜が中学生になっており
地震後の仲間として登場していた黒部やジュンコとは既に顔見知りの状態、
他にも学生だったユリ姉ぇがOLとして働いているなど
キャラの年齢の底上げや逞馬家の家族構成を中心に
細かな設定やシチュエーションはかなり変わっているはずなんですが
「乗り捨てられていた車で炎を突っ切る竜」「炎の石つぶてから竜を守るユリ姉ぇ」など
要所要所が原作そのまま、ということもありリメイク以上にリライト的な感じすらあります。
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中でもユリ姉ぇが想いを寄せる年上の男性(「原作での「くとみ先生」)が
学校の先生から仕事の得意先の男性になったのには
何て言うかすごい生々しさを感じてしまいますね。
作中で明言こそされていませんが本作の「久登美さん」からは
妻子持ちっぽい雰囲気もありますし。

とは言え原作が発表されてから50年が経とうとしていることもあって
細かな舞台装置や道具などにはさすがにかなりのアレンジがされている印象。
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公衆Wi-Fiに接続して位置情報で家族の居場所を確認したり
動画サイトを参考に車を運転していたりと
キャラクターがスマホを駆使するキャラになっているのは
今の時代ならではの変化ですね。

また関東地獄地震の規模がM8.9からM10になったのも現代的なアレンジの一つ。
恐らく昔は「あり得るけどまず起こらないであろう超巨大地震」として
M8.9という数値が設定されていたんでしょうが
現実にM9クラスの地震が国内で発生してしまったことで
本作の地震の設定も見直された感じがしますね。

そして「ジャックがなかなか出てこない」ところまでも完全にリスペクト。
原作は地震発生の数ヵ月前から物語が始まって
地震の発生から避難の状況、姉との死別までに単行本1冊以上を費やしており
結果としてジャックが本格的に登場するのは優に300ページを過ぎたあたりだったんですが
本作『20XX』でも今回の第1巻ではジャックは本編に登場はせず
プロローグの顔見せのみ、というこだわりよう。
タイトルにもなっているキャラが読めども読めども出てこない、というのは
絶対に原作を意識してのことだと思いますよ。
完全にファン向けの作品ですし
もちろん読者もみんな「分かってる」ことを前提としているはずです。

そんなわけで細かな変更点はあるものの
びっくりするほど王道なリメイク作品だった『バイオレンスジャック20XX』。
気になるのはやっぱり今後どこまでやるつもりなのか、というところですね。

永井豪先生の最長作品である『バイオレンスジャック』は
中公文庫の分厚い完全版が全18巻、
それを底本とした電子書籍が全45巻にもなる大長編ですし
「このまま全部のエピソードを最後までやる」というのは
今の連載ペースから見ても考えづらいところ。
田島やゴロとの因縁、黒部との関係、
「弓道少女」「失声症」などの設定が加わりヒロインっぽくなったジュンコなど
竜の周囲の人間関係がかなり掘り下げられていることから考えても
恐らく「逞馬竜の物語」として描かれていくんだとは思いますが
公式サイトの本作の紹介文では天馬や海堂の登場が既に示唆されていますし
どこまでやるのかは本当に分かりませんね。

バイオレンスジャック20XX|ヤングマガジン公式サイト
https://magazine.yanmaga.jp/c/VJ20XX/

「黄金都市編」あたりまで入っていくと
終盤まで続く伏線がバリバリ出てきてしまいますし。

あと気になるのは次巻以降に大暴れするであろうジャックの描き方ですね。
衣谷先生の絵柄は有機的というか肉感的というか
男性キャラが細マッチョ的に描かれていることが多いので
ジャックには似つかわしくないんじゃないか、という不安もあったりします。
正直「衣谷先生がバイオレンスジャックを描く」と知った時には
「絵柄合わなくない?」と思ってしまいましたし。

まあ『アルターイグニッション』ではしっかりメカアクションもやってくれてましたし
そこらへんは外野が心配することでもないですね。

いやーしかし衣谷先生もすっかりダイナミック作家の一人になりましたね。
『デビルマン』(AMON)、『マジンガーZ』(アルターイグニッション)、
そして『バイオレンスジャック』(20XX)の3作品に携わっているというのは
よくよく考えるとすごいことだと思います。
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余談ですが「斬馬刀!」「はっ!」のやり取りが好きなんです。
『20XX』でもしっかり再現されていて嬉しいです。

 

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   アニメ・漫画, ダイナミック系

一大反撃作戦「ジュラ・デッド」に向けて共闘するアークチームと恐竜帝国、
そして地上での防衛戦と謎の真ゲッターの行動が描かれた
アニメ「ゲッターロボ アーク」の第7話。

というわけで前回は謎のブラック真ゲッターが話題を全て持っていった感じでしたが
今回の『アーク』の最大の見所は何と言ってもアバンタイトル、
隼人と翔が真ゲッターのことを回想する形で描かれた
「シベリア超特急便だ!」からの『號』ラストの最終決戦!
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一つ一つのシーンが構図から何から本当に漫画に忠実で大興奮です。
やっぱ『號』のラストはたまらないですね。
今回もアバンタイトルですっかりお腹一杯です。

しかしこれで第2話の出撃シーン、第6話の旅立ちのシーンと合わせて
『號』のクライマックスの大部分がアニメ化されたことになりますね。
放送前に発表されていたキャストや場面カットなどから
過去作のエピソードもいろいろ挟んでくれるんじゃないかと予想はしていましたが
まさかここまでやってくれるとは思いませんでした。本当に感無量です。
嬉しい……嬉しい……。

そして本編は原作通りに恐竜帝国でのアークチームの行動が中心となる展開。
基本的な流れは漫画と同じなんですが
ゴール三世との謁見中に諸葛孔明(コーメイ)の襲撃を受けるエピソード
(漫画ではほぼ1話ぶん)がバッサリ削られたり
その代わりに兵舎での生活や食事の様子が追加されたりと
良くも悪くもノンストップで行き当たりばったりな展開も多かった原作に比べて
話が落ち着いているというかかなり整理されている感じがしましたね。

とは言えバット将軍の登場シーンなど
原作ファンが見たいところはしっかりと外さずに押さえてくれていますし
昔話をしようとする将軍に獏が「聞いてやろうぜ」と反応するなど
漫画にはないちょっとしたアレンジも良かったところ。
このたった一言が入るだけで獏の性格が伝わってくるのは脚本の妙だと思います。
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欲を言えば「ゴール三世に慣れない敬語で質問する拓馬」が
改変されてしまっていたのが残念だったなあ、と。
このちょっと無理してる感のあるセリフが好きだったんですが。

ところでバット将軍の登場シーンは漫画ではこれで全部なんですが
アニメでは再登場の予定などはあるんでしょうか。
この2~3個のセリフのためだけに若本規夫氏を呼んだとすれば
それはそれですごいなあ、と思うんですが。

また「帝国での待遇に苛立つ拓馬」と「それを諌める獏」という構図が
漫画より強調されていたのも印象的。
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漫画では「コンビニのおにぎりを食べたい」と泣き言を言っていたのは獏のほうでしたが
アニメでは拓馬とカムイの口論を獏がコンビニのおにぎりを引き合いに出して宥める、という
逆のシチュエーションになっていましたね。
アニメ版は原作よりも三人の役割分担がはっきりしているというか
本音でぶつかりたい拓馬と自分の気持ちを押し殺すことが多いカムイ、
そしてその二人の緩衝材となる獏、というチームの形を分かりやすくしている気がします。

あ、それとカムイの母親には髪の色なども含めて大胆なデザインの変更がありましたね。
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原作の「初老の女性」っぽい雰囲気はなりを潜めており
「薄幸の美女」「カムイの母親」などの要素が強調された感じです。
拓馬の母親が漫画に忠実なキャラデザだったのとは対照的ですね。

そして後半の地上パートは再び出現した黒い真ゲッターが暴れ回る展開。
正直ブラック真ゲッターが再登場してここまで話に絡んでくるとは思いませんでしたよ。
こういう劇薬のような存在はゲストメカだからこそ出来ることだと思っていたんですが
それがガッツリ物語に関わってくるとなると本当にどうなるか分からなくなってきますね。

そんなこんなで原作既読組も未読組も
今のところ「俺の知らないゲッターだと!?」で見解が統一している
謎のブラック真ゲッターの正体ですが
現時点での自分の予想としては火星に飛んだ真ゲッターが分離して
「火星でエンペラーに進化するゲッター(竜馬・赤)」と
「地球に干渉してドラゴンを見守るゲッター(號・黒)」の
二体になったのかも、と思っていたりします。

真ゲッターが火星に飛んだ時のメインパイロットは號だったのに
それが進化したであろうエンペラーのメインは竜馬になっている、というのは
前々から『サーガ』の疑問の一つとしてあったんですが
もしかしたら本アニメのブラック真ゲッターは
その疑問への回答として産み出された存在なんじゃないかなあ、と。
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余談ですが自分は『號』ラストの
「1号機が號、3号機が竜馬」っていう組み合わせが大好きなんですよ。
石川先生は「だって主人公は號だし」と軽い気持ちでメインを號にしたのかもしれませんが
あの竜馬が1号機じゃない、っていう特別感がすごいツボに入ったんです。
自由な乗り換えが可能だったPSソフト『ゲッターロボ大決戦!』でも
真ゲッターの1号機に號、3号機に竜馬(2号機はとりあえず主人公)を
乗せてたくらいですからね。
ぶっちゃけゲーム中での実用性はゼロです。

 

 

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   アニメ・漫画, ダイナミック系, ゲッターロボアーク(アニメ)

というわけで昨年の夏に満を持して発売した
5年ぶりとなるPC版RPGツクールの最新作『RPGツクールMZ』。
発売当時はブログも移転前ですっかりエターナラーが板についてしまっていた自分も
久々のPC版の最新RPGツクールということでしっかり購入していじくっていました。
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当時からファーストインプレッション的なことは書きたいと思っていたんですが
なんやかんやと滞っているうちに機会を逃してしまっていたので
発売一周年となる今が最後のチャンスとばかりに
いろいろと思ったことをつらつらと書いてみた次第です。
ぶっちゃけ『妖鬼少女』の制作日記のネタが無いんです。

まあ結果としてはVXAceでの『妖鬼少女』の制作に舵を切ったことからも分かるように
「ならば旧作ユーザーらしく素材だけいただいていくっ!(長谷川裕一風)」
になったわけですが

そこらへんはとりあえず置いておいて
ユーザーとしてMZに感じた印象などを書いていきたいと思います。
まあMVやMZが悪いわけじゃなくてVXAceがよかった、という話なので
マイナス面ではなくプラス面での判断である、と思っていただければと思います。

というわけで最新ツクールとなった『RPGツクールMZ』ですが
内容は完全にMVの正統進化版でしたね。

基本的な見た目は変えずに+α、というと
2000に対する2003やVXに対するVXAceなどがありましたが
スクリプト導入以前でちょっとした変化が大きなアドバンテージになっていた2003や
「特徴」によりデータベース回りの追加要素は見た目以上に多かったVXAceなどと比べると
MVに対するMZは正直さほど変更点がないというか
「機能を追加するのではなくツールとしての利便性を高めるようにした」
というコンセプトで生まれたような気がします。

「解像度の変更が簡単になった」「m4aファイルが不要になった」
「吹き出しや移動のプレビューが可能になった」などの部分は確かに便利ではありますが
「制作ツールとして出来ることが増えた」というわけではありませんし
プラグインエディタなんかも「必要なパラメータだけいじくって簡単設定」
というユーザーフレンドリーな部分が強調されてしまって
自分みたいに「全体的に中身をちょっとずついじくりたい」という人には
逆に面倒くさくなってしまった感じですね。
そういうところはVX系がモアベターです。

まあスクリプト、プラグイン導入後のツクールは
ある意味「欲しい機能は後から追加できる」ようになったわけですから
その結果として利便性や演出面を高める方向に
進化するようになったのはある意味当然かなあ、と。

そういうこともあって今回のMZではMVユーザーが
「こういうことがしたかったからMZに移行するぞ!」と
機能的な理由で制作ツールを変えるような状況は
発売から1年が経った現在でもあまり起こっていないんじゃないかと思います。

そんな中でエディタ部分の大きな追加点として
「XP」以来の待望の復活となったマップ作成時のレイヤー機能があるわけですが
それもマップチップの汎用性のない色調や
レイヤーを使うのを想定していないようなチップ配置の謎さでケチがついてしまった印象。
感覚的な話になってしまいますが「なんかこう組みにくい」んですよあの配置。

エディタ画面を見てみてもあくまでもメインは既存の自動判別で
「選びたかったらレイヤー機能も選べるよ!」みたいな
上級者、ヘビーユーザー向けに入れました、な雰囲気なので
レイヤー機能を使うようなユーザーなら
マップチップの加工くらい自分で使いやすいようにやるでしょ、と
足元を見られているような気もします。

自分もちょっと前なら歓迎していたと思うんですが
マップチップにイベントチップを重ねて層を作る手法
(200Xの頃からあったテクニックですね)にすっかり慣れてしまったので
今はまあレイヤーなくても何とかなるかなあ、な気分になってしまってます。
さすがに15年以上もレイヤーなしの時代が続いていると……ねえ?
レイヤー機能の復活は正直遅すぎましたね。
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あとMZのマップチップって圧縮や減色、アンチエイリアスのやり方が
過去作と違うのか分かりませんが
ディスプレイのスケーリング設定によっては
なんていうかエディタ上での見え方が粗くなるんですよね。
MV以降は高解像度での制作が出来るようになったRPGツクールですが
こと今回のMZのマップチップに関しては
そのあたりが裏目に出ちゃってる気もします。自分のPC上ではギザギザです。
結局MZにガッツリ移行することは無かったのでここらへんの理屈は今でも謎です。

いやーしかしMVからはや5年ということで
この間にツクール界隈もずいぶんと様変わりしましたね。
特にDL販売サイトなどを中心に有料のツクール製同人ゲームが台頭したことと
「基本無料」を謳うブラウザゲームやソシャゲがゲームの主流になったことで
「フリーゲーム」という単語自体が古い言葉になってきているような気すらします。
それに合わせてフリー素材のサイトさんたちも
有料販売サイトに移行していっている印象もありますし。

価値のあるものを提供している人たちが
しっかりとその価値に見合った対価を得られるようになった、
という点ではいい時代になったと思いますが
過去のバーリトゥードなフリーダムさを懐かしく感じる部分もあるのです。
商業的な問題に加えて主要プラットフォームが海外のSteamになったことで
面倒臭さが生まれている感もありますし。

正直今のツクール界隈は海外フォーラムへの依存度が高すぎて
公式が現状を把握してないんじゃないかと思う時があるんですよ。
自分はツクールMVをパッケージ版で購入したんですが
パッケージ版ユーザーに対する不親切さは今でも「絶対に許さないよ」なマジレス状態です。
なんで公式プラグインや購入特典の無料素材を手に入れるのに
あんなに苦労しなきゃならないんですかね……。

あとはやっぱりスマートフォンの普及でしょうか。
特に日本国内はiPhoneのシェア率が異常に高く
一部の世代ではスマホ=iPhoneみたいな風潮になってしまったことで
ここまで完全にWindows一択だったPCゲームや画像作品、音声作品にも
大幅な変化が求められるようになった感じですね。
実際SafariブラウザとかAACファイル、m4aファイルが
ここまでメジャーになるのは完全に予想外でしたよ。

とまあいろいろ書きましたがやっぱり好きなんですよRPGツクール。
自分はいろいろいじくった末に「VXAce」に戻ることを選びましたが
マルチデバイスとブラウザ上のプレイに対応して
「プレイしてもらう」ことへのハードルを大幅に下げたMV/MZは一つの到達点ですし
今からツクールを始める、という人にとっては最新作であるMZ
(マップチップの汎用性ならMV)が最適であることはまず間違いないです。
数ヵ月前に自分が久々にWEB上にぶん投げた『微睡少女』も
MZだったらもっと軽量化出来ていたと思いますし。

ところでMZって結局何の略なんでしょうね。
マジンガーZかな?

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   RPGツクール

デビュー作『それゆけコンバット』から絶筆となった『戦国忍法秘録 五右衛門』まで、
漫画家・石川賢の全ての軌跡を記した完全ガイド「石川賢マンガ大全」が発売。
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というわけで「ゲッターロボ大全」「魔神全書」などなどの
値段の高さに見合った内容に定評のある一連のシリーズより
久々の刊行となった本書「石川賢マンガ大全」の最大の魅力はその圧巻の情報量。

まるで石川先生の作画みたいだぁ……と思ってしまうくらいに
全ページびっしりと書かれた作品紹介やインタビューは
A5サイズの書籍が一回り小さく見えてしまうほどで読みごたえ抜群。
A5版で200ページちょいの本が3000円はちょっと高いなあ、と思っていましたが
一種の事典や大百科だと思えば妥当かもしれないですね。
まあマニア向けに足下見られてる感はありますが。

そんな本書の中心となっているのは
細かな読み切りや四コマまで含めた石川先生が手掛けた全ての作品の完全紹介。
石川作品は2000年前後に双葉社や講談社から精力的に選集や文庫版が出ており
自分はその頃に刊行された作品については押さえることが出来ていたんですが
それでも知らない作品がこんなにたくさん、という驚きがありますね。

そして個人的に興味深かったのが詳細が不明だった作品の扱い。
自分の中での石川賢先生の作品リストは「真ゲッターロボ総集編 vol.2」に収録された
2000年時点のものが最新だったんですが
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そのリストで「データ不詳」とされていたいくつかの作品についても
本書では初出の雑誌が明らかになっていたり作品カットが載っていたりするんですよ。
この20年で明らかになった新事実がある、というのも
感慨深いというか何て言うかすごいですね。

また本書から感じられるのは「石川先生の魅力はゲッターだけじゃねえぜ!」という姿勢。
数年前に刊行された画集「石川賢画集 Collected Paintings KEN」のように
代表作であるゲッターロボをドーンと表紙に載せて
中身もゲッターを中心とした構成、とすることも出来たと思うんですが
本書はあえてそこからちょっと外した感じがするんですね。

本書は石川賢作品を大きく6つのジャンルに分けて紹介しているんですが
その中でゲッターを1番ではなく2番目に置いているのも意図的なものだと思いますし
「ゲッターとその他」という形にはしたくなかったんじゃないかと思うんですよ。
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あ、自分としては表紙よりも裏表紙の虎のほうが好きですね。
まるで「虚無戦記」の8巻が出たかのような装丁に涙が出てきます。
オレは! 5000光年先よりこの宇宙になぐりこんできた 虎だ!

そしてインタビュー記事は本書のために録り下ろされたものから
過去の対談やエッセイ、雑誌コメント的なものまでこちらも非常に充実した内容。
特に「電撃ホビマガ」に掲載された寺田克也氏との対談があったのが嬉しかったですね。
この頃は『完全勝利ダイテイオー』目当てに「ホビマガ」を購読していたので
この対談記事には覚えがあるんですよ。いやー懐かしい。

あと単純に『禍』が大好きなんですよ自分。
デジタルも駆使して描かれた禍曼陀羅や牛魔王復活後の展開がもうたまらないです。
石川賢作品でも三本の指に入るくらい好きですね。
あとの二本は『ゲッターロボ號』と『神州纐纈城』でしょうか。

また漫画家仲間や編集者だけでなく
マネージャーやご家族といったこの手の本ではなかなか出てこない方々からの寄稿もあり
「漫画家としての石川先生」のみならずありとあらゆる角度から
「石川先生の人となり」を知ることが出来るようになっているのも印象的。
『DEVOLUTION』の清水×下口コンビ、『偽書』の西川氏、『飛焔』の津島氏といった
ゲッターに挑戦した作家さんたちからのトリビュート原稿も嬉しいですね。
他にも恐竜になったゲッターや麻雀をするゲッターがいた気がしましたが……
そのあたりは大人の事情でしょうか。

個人的には『牌』の後半は回想に回想を重ねるような展開が続いて
ちょっと分かりにくくなっちゃったのが残念でしたが
「地球での淘汰を勝ち抜いて宇宙に殴り込みだ!」な感じのラストは
非常に好きだったりします。
物語にしっかりとケリをつける形で終わらせた『DEVOLUTION』とは対照的でしたね。

というわけで圧倒的な情報量と編纂に携わった人たちの気合を感じられる本書は
間違いなくファン必携ではあるんですが
現在放送中のアニメ『ゲッターロボ アーク』で初めて石川作品に興味を持った人が手に取る
(この時期に刊行されたのはそういう意図もあると思うんですが)には
正直なところ値段も含めてなかなか厳しい本だとは思うんですよ。

多くの作品がラストまでネタバレ上等、
作品によってはその後の描き下ろしや他作品とのリンクまで解説されていて
それは『アーク』も例外ではありませんし
何よりも本書で紹介されている作品の多くが単行本未収録、
あるいは絶版で入手困難というのが
非常にネックになってしまっているのではないでしょうか。

自分のように「とりあえず代表作は押さえてるし……」くらいでは
圧倒的な情報量にめまいがしてくる部分もありますし
せっかく知らない作品を知ることが出来たのに
読めないというもどかしさは如何ともしがたいのです。

こうなると未収録短編集や全集的なものが是非とも欲しくなってくるんですが
本書の奥付に「著作権者と連絡が付かないので一報がほしい」的な
文面があることを考えても
現状では刊行が難しい作品とかもあるんだろうなあ、と。

 

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   アニメ・漫画, ダイナミック系

極秘任務で深海へと向かう拓馬たちアークチーム、
連合艦隊による太平洋上での大規模作戦、
そして再びインセクター軍の襲撃を受ける早乙女研究所での防衛戦という
三面作戦が繰り広げられたアニメ「ゲッターロボ アーク」の第6話。

というわけでドラゴンの進化と『真』の時代の戦いが描かれた4~5話が終わり
新章突入となった雰囲気のある今回の『アーク』。
原作の同名タイトル「竜の末裔」は恐竜帝国に着いたチームの描写が中心の話でしたが
アニメ版はそこまで行かずに連合艦隊や研究所の戦いがメインの展開でしたね。
漫画では後半だったゲッターカーンの初登場や
マクドナル(ド)の正体が明らかになるシーンなども本話で描かれており
中盤以降に向けて今のうちに出せるものは出しておこう、な雰囲気もあります。

そんなわけでまず前半は太平洋上での連合艦隊の戦い。
一斉攻撃を仕掛けるも自らのミサイルで壊滅してしまう、という流れは原作通りなものの
艦隊を指揮する提督があのシュワルツコフ! という設定が加わったことで
漫画では全く顔が見えなかった連合艦隊に親しみを感じられるようになった印象。
翔もそうですが過去作のキャラが成長したり出世したりして再登場してくれるのは
作品同士の繋がりを感じられてやっぱり嬉しいですね。
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『號』の頃は陸軍所属だったシュワルツが海軍の提督となったのは
尊敬していた祖父の後を継いだから、とかそういう想像も出来ますね。
19年前の戦いのあとに軍が再編成されていてもおかしくありませんし。
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ところで部下に嫌みったらしく頬擦りするシーンは
かつて號に同じことをされたのに対する意趣返しでしょうか。

そして後半のメインとなるのはアニメオリジナルの展開となる
群体となった超巨大インセクターに対する早乙女研究所の防衛戦。
前回までの戦いで研究所は既に多大なるダメージを受けており
一機だけ残っていたD2とステルバー軍団も蹂躙される中、
楽曲「STORM」を引っ提げて空を切り裂いて現れたのは──!
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……え? 何この……なに?
俺の……俺の知らない、ゲッターだと……っ!?(by武蔵)

いやーここに来てとんでもない爆弾をぶん投げてきましたよこのアニメ(褒め言葉)。
これアレですね。要は『真マジンガーZERO』のグレートマジンカイザーと同じですね。
ゲッターを知り尽くしている原作ファンの予想を超えて驚かせるには
誰も知らないゲッターを新しく持ってくるしかないってことですよね。

いや作劇の理屈としては分かるんですが
それをこうやって原作付きアニメで堂々とやられちゃあ脱帽するしかないですよ。
ここまで大胆なことが出来るのも数々のダイナミック作品を手がけてきた
川越監督ならではなんじゃないでしょうか。

というわけで乗っているのは號たちなのか?
叫んでたけどパイロットの自我とか意識とかそういうものは残っているのか?
そもそもあの真ゲッターとは同一の存在なのか?
現在の宇宙から来たのかそれとも未来から来たのか?
などなど完全に置いてけぼりにされながらも
圧倒的な強さと楽曲「STORM」の格好良さに「まあいいか」となってしまう
謎の説得力を感じさせられたブラック真ゲッター(仮称)の出現。
特にサビの手前、ストナーサンシャインのところで
BGMが一旦止まって隼人の反応などの「溜め」が入るのがいいですね。
レイズナーかな?

このブラック真ゲッター(仮称)ですが
ブラックゲッターっぽいマスクを付けた黒い真ゲッターということで
デザイン的には千値練から発売された
「RIOBOT 真ゲッター1 ブラックVER.」あたりが一番近いですかね。

RIOBOT 真ゲッターロボ 世界最後の日 真ゲッター1 ブラックVER.
https://sen-ti-nel.co.jp/items/shin-getter-black/

あとは漫画だと研究所のゲッター部隊の中にこんな感じのがいましたね。
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ゲッター1ベースで顔の下半分がマスクっぽい意匠なので方向性としては同じかなあ、と。

とりあえずドラゴンの危機に呼応して戻ってきた真ゲッターと言うことで
アナザー真ゲッターとか進化過程ゲッターとか真ゲッター分体とか
エンペラー眷属ゲッターみたいな位置付けになるんでしょうか。

というわけでまさかのアニオリゲッターの登場に
全て持って行かれてしまった感がありますが
『號』ラストの旅立ちのシーンをしっかりと再現してくれたのも今回の見所。
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いやーもうこの一連のシーン大好きなんですよ。
ムウと真ゲッターが対峙する見開きページからの流れは
石川作品のみならずあらゆるロボット漫画の中でも最高峰の一つだと思ってます。
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ちなみにこの最後のやり取りは1985年に国内で公開された映画『2010年』
(『2001年宇宙の旅』の続編)にインスパイアされたものだと思うんですが
そのあたりについて触れた記事とかはネット上ではあまり見ないですね。
個人サイトの日記やSNSなどではたまに見かけるんですが
それ以外だとスパロボwikiの「流竜馬」の項目に載っているくらいでしょうか。

流竜馬 – スーパーロボット大戦Wiki
https://srw.wiki.cre.jp/wiki/%E6%B5%81%E7%AB%9C%E9%A6%AC

まあ「邦題に『~宇宙の旅』がついていない」
「前作とはテイストが全く違う作品になっている」ことなどもあって
映画『2010年』自体の知名度が日本では微妙になっていることも原因だと思います。
個人的にはエンタメに終始していて2001年より好きだったりするんですが。

 

そんなわけで話が脱線したりしましたが
拓馬たちがマグマ層の恐竜帝国にたどり着いたところで次回に続く。
帝国に向かう途中でカムイが「墓標」と言っていたのはゴールが乗っていた小型艇ですね。
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あの小型艇はゲッターが回収して供養したのかと思っていましたが
なるべくマグマ層の近くに置いておいてやろう、ということもあって
ああいう形で「墓標」にしてあげたのかなあ、と。

 

 

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