令和の時代にフルカラーの縦読みコミックとして蘇った『サイボーグ009』のリブート作品
『神速の改造戦士(サイボーグ)009』の最終巻となる第3巻が発売。
『神速の改造戦士(サイボーグ)009』の単行本第2巻を購入しました。
https://tktkgetter.com/blog-entry-1607.html
というわけで前にブログに書いたように
本作は2巻の発売時にはLINEマンガでの連載は終了しておりそれから既に数ヶ月が経過。
当然話もWEB連載時に最後まで読んでしまっていることもあり
ぶっちゃけ半分以上はお布施のつもりで今回の単行本を購入したんですが
予想外だったのは帯や最終ページのクレジットなどで
『誕生編』という表記がされていたこと。
これまで本作に関しては「◯◯編」という記載や公式からのアナウンスは一切なかったのに
最終巻刊行のここに来て初めてそういう表現がされたことには
何だか意図的なものを感じるんですよ。
本作の単行本は発売早々に重版が決定するなど一定の成功を収めた雰囲気もありますし
「新しい読者に向けて種を撒くことが出来た」という自負と共に
「これで終わりではなく009の数あるエピソードの中の1つ」であることを
明言できるようになったのかなあ、と。
そんなわけで最終巻となるこちらの3巻。
1巻、2巻同様にWEB連載時からの大幅なストーリーの変更はないようですが
今回もほぼ全ページにわたって横読みにするための再構成が行われており
3冊目ということもあってコマ割りや演出もこなれてきている印象。
特に009とスカールが加速装置でぶつかり合うシーンは
本作では全3巻を通して初となる2ページぶち抜きでの横長の見開きとなっており
WEB連載時から「紙の本にする時はこうやって落とし込もう」と
意識していたことが窺えますね。
またWEB連載時にも巧いと思ったのが
0010が退却する時に「オレたち」という複数形での表現をしていたところ。
予備知識がない人には「次のページに出てきた0011のことかな」と思わせつつも
分かる人はプラスとマイナスの2人を思い浮かべる……という
絶妙なダブルミーニングになっていたと思います。
そして1つ気になったのが本作のスカールとの決着の付け方。
本作では火事場の馬鹿力というか人間の潜在能力によって
009の加速装置がスカールのものを超えた、的な描写があるんですが
これって意外にも原作にはない視点だと思うんですよね。
004がとても格好いい『機々械々編』のように
「人の心」が決め手となる戦闘は原作でも多々あるんですが
本作のラストのように「心の力によって能力自体が向上する」描写は意外に少ないというか
『神々との闘い編』や『Conclusion GOD’S WAR』で登場する
「心の旅」「エスパー・サイボーグの誕生」まで出てきていない気がするんですよ。
石ノ森先生はそのあたりの「サイボーグたちの性能」は
結構シビアというかドライに考えており
人間の超能力によってそれを超える新たな力が生まれる……というのを
『完結編』ではやりたかったんじゃないかなあ、とも思ったり。
そんなわけで結果的には「誕生編」のみのリブートとなりましたが
洗脳された002との戦いなど原典にはないアクション要素に加え
0010や0011の顔見せなど後のエピソードの伏線を散りばめつつ
綺麗にまとまったエンディングとなった『神速の改造戦士(サイボーグ)009』。
作者コメントに「一旦終了」とあったり
巻末の描き下ろしでは後のエピソードのイメージイラスト的なものが掲載されていたりと
続編についても意識はしていると思うんですが
フルカラーでのWEB連載や単行本化での作業量を考えると
今すぐに続きを、というのは難しいんじゃないかなあ、と思いますね。
個人的には連載が厳しいなら半年〜1年に1回くらいの不定期でいいので
001〜009それぞれが主役となる短編エピソードを
単発でちょこちょことリブートしてくれると嬉しいなあ、と。
あ、それとそろそろ新作アニメも観てみたいですね新作。
直近の『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』からもう8年が過ぎてしまいましたし
TVシリーズの『サイボーグ009 THE CYBORG SOLDIER』なんて
いまだに「平成の新しいやつ」みたいに言われますがもう25年前ですからね。
そろそろまた時代が009を求めている頃だと思うんですよ。
完全新作でもいいし完結編のアニメ化でもいいですし
それこそ今回の『神速の改造戦士』をベースに
誕生編を1本の映画にして劇場上映……というのもアリだと思います。
カソクソーチ!!