前編の感想はこちら

「機動戦士ガンダムAGE」のストーリーを補完するOVA「MEMORY OF EDEN」の後編。
約75分でラストまで消化しなければいけないということもあり
いきなりノートラム決戦だったり説明なしにミューセルが出てきたり
キオ編に至っては「戦闘記録を見るゼハート」でほぼ済ませてしまっているという
超ぶつ切り展開。さすがにもうちょっと尺欲しいわ……。

……というわけで最初の45分は正直微妙だったんだけど
ラストの30分、イゼルカントの意思をゼハートが受け継ぐところからの流れは
そこまでの退屈さを吹き飛ばすほどの展開。やべえ超面白いわこれ。

特に視点がアセムからゼハートに移ったことで
TV版で「イゼルカントの狂気に呑み込まれた」ようにしか見えなかった彼の本心が
「死んでいった者たちが信じたものを無駄には出来ないから」と
はっきりと明示されたのが大きな違い。
ああなるほど、こういう考えしてたのかゼハート……。
「死者のために躍起になり更に死者が増えていく」という負のスパイラル。絶対的矛盾。
「前に進むしかない」と連呼しながら死者=過去のことしか見えていないという皮肉。
そりゃあ泥沼になって狂っていくわ。
っていうかこういうのをちゃんとTV版でやってくれれば良かったのに。

そしてガンダムAGE-2ダークハウンドとガンダムレギルスの最終決戦はまさに圧巻。
TV版も終盤は質の高い作画を見せてくれた「ガンダムAGE」だけど
本作ではそれが更にパワーアップしており
超スピードの戦闘シーンには大満足。やっぱりロボアニメはこうじゃなきゃ。

またTV版からカラー変更となったレギルスは
単なる「ガンダムのライバルキャラ=赤」というお約束以上に
「死んでいった者たちの血に染まったゼハート」を体現しているのが上手いところ。
最終決戦では各部のパーツが翼や尻尾のようになり
どんどん「悪魔的」なフォルムに変容していくし
冷凍冬眠を繰り返して変わらない姿のまま時を経たゼハートと
すっかり壮年に姿が変わってしまったアセムも
そのまま「過去に囚われている」ことと「次の時代を見据えていること」の違いを
表しているんだよなあ、としみじみ。

というわけで本編以上に迫力のある戦闘シーンや細かい演出など
思っていた以上に楽しめた本作「MEMORY OF EDEN」。
何よりアセム学園編とラ・グラミス最終決戦がほぼ新作っていうのが良かったわ。
もっと早く観ておけばよかった。

しかしこれ総集編じゃないよなあ……。
「MEMORY OF EDEN」単体で「ガンダムAGE」の全体のストーリーを理解するのは難しいし
あくまでもTV版の補完というか副読本的な位置付けなんだよね。
そういう意味じゃTVシリーズ全49話を観ないとちゃんと楽しめないわけでうーん勿体無い。
「MEMORY OF EDEN」とは別に気軽にストーリーを把握できる
総集編OVAがあってもいいんじゃないかなあ、と思ったり。
そのあたりはやっぱり商業的な問題になるんだろうけど。

   

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  アニメ・漫画, 機動戦士ガンダムAGE

「機動戦士ガンダムAGE」のアセム編以降のストーリーを
アセムとゼハートに焦点を当て再構成したOVA「MEMORY OF EDEN」。
へーこんなの出るんだ、新作部分は気になるなあ……と思いつつスルーしてたんだけど
最近見る機会があったのでようやく視聴。久しぶりだねガンダムAGE!
っていうか2時間半の本編をわざわざ2枚組にしてるのが一番の驚きだったり。
映像特典も特にないみたいだし意味あったんだろうかこれ。

というわけでフリット編は吹っ飛ばしてアセム編からいきなり始まる本作、
最初の45分はほぼ完全新作になっており
アセムとゼハートの出会いやMSクラブへの加入の過程などもTV版から大幅に変更。
結果としてアセム、ゼハート、ロマリーを中心とした「青春部活学園モノ」として
かなり分かりやすい構成になっているなあ、というのが正直な感想。
合宿中のケンカとか浜辺でぶん殴るシーンとかニヤニヤしっぱなしだったわ。
いやあこういうベタベタな古臭い演出大好き。どこのテイルズオブリバースだよ。
学芸会でアセムが海賊役をやってるような細かい伏線もいい感じ。

また新ウェアのAGE-1ソーディアは騎士っぽい出で立ちだと思っていたら
初出がゲームだったのねこれ。確かにそんな感じだわ。
接近戦でMSの腰に一瞬「捻り」が入るのは「ガンダムAGE」独特の演出だよなあ、と
TV版を思い出して妙に懐かしい気分になったり。

そんなこんなでアセム卒業+ゼハートの正体バレまでは
ほぼ全編作り直しで大満足だったんだけど
それ以降は基本的にTV版のぶつ切りで目新しいところもなく
思いっきり駆け足になってしまっているのが残念なところ。
やっぱりAGE-2はいつの間にか完成してるしキャラ同士の交流もほとんどないし。
フリット編を経てない「MEMORY OF EDEN」単体じゃ
ミレース艦長やウルフ隊長もぽっと出のキャラになっちゃってるし
アリーサ以下のクルーとか完全にモブじゃないかこれ。
あくまでもキャラ主体のファンディスクで本筋ストーリーに関しては二の次ってことか……。

そんなこんなでアセム、ロマリー、ゼハートの再会を経て前編は終了。
新作部分がすごい上手くまとまってたから後半は正直微妙に感じてしまったんだけど
尺の問題もあるし仕方ないかなあ、と。

後編の感想はこちら

   

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  アニメ・漫画, 機動戦士ガンダムAGE

神々が再び出現し新たなる戦いが幕を開ける
「サイボーグ009完結編」の漫画版第27話が更新。
公式ではまだアナウンスされてないけどAmazonで単行本4巻が予約開始してるね。
最近は月2回更新で1話ごとのページ数も増えてるから出るの早いなあ。
週刊漫画と同じ3ヶ月で1冊のペースなのはすごいわ。

そんなわけで今回は「~神々の製造所~」と題して
小説版のP182~P197、P201~P209、P212~P214あたりのストーリーが展開。
今回は構成や細かい部分(張々湖がダーキニーと遭遇するシーンなど)を変えていたりと
場面ごとの繋がりが小説よりも分かりやすくなっている感じ。
ここ2~3話はまるっきり小説そのままで面白味に欠ける部分があったんだけど
今回は新鮮な部分も多くて素直に面白いわ。

またストーリー的にも「善悪の翼の人との遭遇」や「クロウとの決着」
「敵に回るピュンマ」などなど今回は話が大きく動いて見所が満載。
モニュメントバレーの俯瞰視点で神々の巨大さがしっかりと感じられる構図もいいし
戦闘シーンも一つ一つは短いんだけど
「神々に接触されている間は能力が使えない」という
要所の部分がちゃんと描かれているから
短いページ数でもちゃんとまとまっているところが巧いね。
ラストページの引きも王道の少年漫画っぽくて個人的には好みだわこういうの。

そんなわけで久々に面白かった今回の漫画版完結編。
次回更新は12/17ということでその後の年末進行が気になるところ。
さすがに31日は更新しないで休みかな。

しかしフランソワーズはラストまでずっと目を閉じたままなんだなこれ……。

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  アニメ・漫画, サイボーグ009

サイボーグ戦士たちが更なる進化を遂げる
「サイボーグ009完結編」の漫画版第26話が更新……ってあれ?
今回の扉ページって前も見た気がするんだけどもしかして使い回しかなこれ?
微妙に手抜き臭が漂うしそもそも最終章後半で赤コスチュームなのがおかしいし。

……というわけで1ページ目からなんか不安な気分にさせられた今回は
「~覚醒~」と題して小説のP157~P179までを漫画化。
いやあ今回も悪い意味でテンポが速い速い。
精神攻撃を受けた8人の自殺未遂と新たな能力のお披露目を
わずか40Pでやってるから単純計算でも1人の割り当てが2~3Pという超強引展開。
イワンの長セリフや全員で進化するために力を合わせるところ、
思考が能力に直結するそれぞれの新しい力といった
「文章で書くとどうしても味気なくなってしまう部分」を
しっかりとビジュアル化してくれるのが漫画の醍醐味だと思うんだけど
これじゃあ小説読んでるのと全く変わらないなあ。
ジョーやジェットのテレポーテーションなんかは
それこそ見開き1ページ使って大袈裟に表現してもよかったんじゃないだろうか。

また今回の長老やイエティとの会話は
完結編の根幹の設定に関わる部分なんだし
このあたりもイメージ映像を加えてじっくりやってほしかったところ。
超重要なのに会話の中であっさりと流されちゃってるのは残念だわ。
やっぱり詰め込みすぎだね今回も。

そんなわけで次回からは世界各地で神々との戦いが再開。
ほんの2~3話前にパワーアップして日本で戦ったばっかりだってのにもう再戦か……。
次回は戦闘シーンも入ってくるし
もうちょっとゆっくり話を進めてほしいね。

あと今回の見所というか一番ショッキングなコマは
やっぱり紹介ページのトップにも載ってるフランソワーズ。
妙に大ゴマでインパクト重視というか
精神攻撃というより和製ホラーにしか見えないのがアレだけど。
別にこういうドッキリは求めてないんだけどなあ。まあいいか。

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  アニメ・漫画, サイボーグ009

エルクレスとの決戦が終わり新展開となる「夢喰いメリー」の単行本11巻が発売。

9~10巻がとにかく最終決戦って感じに盛り上がってたから
「このままクライマックスまでノンストップでいくのかなあ」と思っていただけに
ギャグパートを交えながら普通に日常へと戻っていったのがちょっと意外だったり。
喫茶店でのエンギのボケキャラっぷりは某うっかり侍を思い出すね。

そんなわけで今回はアクションシーンは控え目となり
ついにその真意を垣間見せた白儀くんの動向など
新たな謎や次回以降への布石が中心となっている感じ。
特に「自分の力で当てるから楽しい」「勝ち負けじゃない」と言い放つ夢路と
「何も得られなければ苦労は水の泡」と言う白儀くんの相反する主張が印象的。
これまでは「夢を奪うもの」「夢を守るもの」という
ある意味で分かりやすい善悪の対立が描かれていたけれど
今後は一歩踏み込んで過程主義と結果主義というか
「叶わない夢の価値」がメインテーマになっていくんじゃないかな。

またひったくり犯との一連のやり取りや
坂上くんの「何の関係も無い奴に台無しにされた~」あたりのセリフも伏線っぽいし
エルクレスの背後にいた黒幕(?)の言葉「覚めない正夢に包まれる~」が
「全ての夢が叶う世界」を示しているとすれば
「正しい者の夢は(どんな形であっても)叶えられなければいけない」という主張の
極論型の黒幕の姿が見えてきそうな気もするんだけどどうなんだろう。うーん。

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  夢喰いメリー, アニメ・漫画