そんな餌で俺様が釣られクマー!
というわけで先日11/19まで東北歴史博物館で開かれていた特別展
「熊と狼 -人と獣の交渉誌-」に行ってきました。
民俗学好きなので前々から行きたいと思っていたんですが
時間が取れないうちに例によって最終日ギリギリになってしまいました。
まあ土日にもかかわらず空いていたので良しとします。
あ、それと今気づきましたが写真の看板に誤植がありますね。
11/19は土曜日じゃなくて日曜日です。
最終日まで誰も気づかなかったのかお金の問題で直せなかったのか……。
そんなこんなでこちらの「熊と狼 -人と獣の交渉誌-」。
前情報や「交渉誌」の語句からは熊と人間の関わりを
アニミズム的に見ていくような感じなのかなあ、と思っていたんですが
県内各地にある「熊注意」の看板の写真から始まって
記憶に新しい昨年の十和利山の獣害事件にも触れており
どちらかと言えば「現代の問題である熊」の展示なんだなあ、
というのが全体の印象。
・かつて獣害の中心だった狼は人間との関係を維持できず絶滅してしまった
・では、いま獣害問題で世間を騒がせている熊の未来は?
という疑問を提示して展示を締めくくっていたあたりは
非常に考えさせられる部分がありますね。
個人的にはあまりにも現実の問題に寄りすぎていたので
もっと民間伝承・怪異的な部分から見たかった気もします。
キャッチコピーの「神のつかい」という部分には
ほとんど触れられていませんでしたし。
そして中でも目を引いたのは
「本邦初公開」の赤字プレートと共に展示されていた
個人所有の「獣退治のために使った毒瓶(明治時代)」。
こういうちょっと前まで現実に使われていたものがポンと出てくるのは
近~現代ならではの面白さですね。
そんなこんなで自分の期待していたものとは少し違いましたが
しっかりと楽しめた今回の特別展「熊と狼」。
ただやっぱり全体的に地味というか
「行けばこれが見られる!」みたいな分かりやすい見所、
展覧会の目玉となるものがない、という部分はありましたね。
見学料も800円と特別展にしてはかなり低めの値段設定ですし
やっぱり展示物の有名/無名はお金の話に直結してくるのかなあ、と。
以前の特別展「日本人とクジラ」などもそうでしたが
題材が身近な近現代の話になるとどうしても目玉の品目に乏しく
面白さを伝えにくいのがもったいないですね。
東北歴史博物館の特別展「日本人とクジラ」に行ってきたよー。
https://tktkgetter.com/blog-entry-1150.html
「熊と狼」も何だかんだで図録も完売していましたし
実際に見ればしっかりと楽しめるのは間違いないんですが。
見れば分かる! 分かるんだ!
意外に優秀な球磨熊ちゃんを存分に堪能できるクマー!
といった感じです。
そして来年4月に開かれる次回の特別展は「東大寺と東北」。
興味はあるのでまあ行くとは思うんですが
ここ数年いろんな博物館で頻繁に行われている
「震災からの復興を祈念しての仏像の展覧会」というのには
何だか引っかかるというか得体の知れない違和感があるんですよ。
この手の話題は下手に触れると誤解を招いてしまうだけなんでアレなんですが
「復興祈念」というフィルターを通してしまうことで
「有り難がらなくてはいけない、信仰の対象としなければいけない」
と展示の見方を強要させられてしまう気がするんですよ。
そのあたりをどうにも自分の中で咀嚼できないというか。うーん。