■■■第3話「オレは撮ったんだ!」■■■
サブタイトルからも分かるように『crybaby』オリジナルのキャラである
長崎を中心としたストーリーが展開する第3話。
デビルマンをカメラに収めた彼を明と了が追う……というのが話のメインであり
第2話に続いて今回もオリジナル要素が強い感じですね。

また後半の盛り上がりとしてゲルマー戦が描かれているんですが
入浴中にゲルマーに襲われ操られる美樹ちゃんや
ゲルマーが熱で小さくなったところを倒す流れなど
原作の要素はしっかりと押さえつつも
長崎が入ることで戦いの舞台やシチュエーションが
全く異なるものになっているのが面白いところ。
ゲルマーの水を口移しで吸い取って美樹ちゃんを助ける、というのは
『crybaby』では珍しく原作よりもヒロイックな部分が強調されたシーンですね。
個人的には格好いいので非常に好みです。

そしてミーコの本名が「ミキ」であるという
大きなアレンジが明らかになったのも第3話のポイント。
彼女のコンプレックスを刺激する上でこれは巧い設定だなあ、と。
「おーなるほどそうきたか」と思わず膝を叩きたくなります。

ところで『デビルマン』のアニメが存在する世界観なのに
「不動明」でネット検索しても0件なんですね。
あくまで『crybaby』の世界に存在するアニメなので
明も了も出てこない話になってるってことでしょうか。

それにしてもこのアニメは毎話必ずラップが入りますね。
大人の事情というか何かノルマでもあるんでしょうか。

■■■第4話「明、来て」■■■
第4話は明の家族愛を軸にしてジンメンとの戦いが描かれる展開……
というわけで1話まるまるジンメン編。
ジンメンに吸収されるのがサッちゃんではなく明の両親となっているという
OVA版『妖鳥死麗濡編』同様のアレンジがされており
それに合わせて海外で働いている両親の心情などを
ガッツリと描いているのが非常に新鮮なところ。
このあたりは尺の関係もあってOVAではあまり掘り下げられなかったので
牧村家の団欒エピソードなども踏まえてしっかり家族の絆を描いてくれたのは
全10話の長編シリーズならではの強みですね。
ここまであまり意味を感じられなかった明の陸上部設定もようやく活きてきた感じ。

そしてジンメン戦も舞台が飛行場になったことで多国籍感を出していたり
覚悟を決めた両親の姿が本当にカッコよかったり
明が「泣き虫」であることがここでも強調されていたりと
本作ならではのアレンジを加えつつも
原作のツボはしっかりと押さえているのが嬉しいところ。
甲羅を殴ったあとに指でそっと瞼を閉じるシーンはやはり外せないですね。
アレはもう誰がアニメ化しても同じにしか出来ない、
と言っても過言ではないくらいの名演出だと思います。

ただ「デスマスク」のセリフを了に言わせてしまったのは
わざとらしさが強くてどうかなあ、と思ったり。
原作のジンメン編はラストのあのナレーションが
恐ろしいほどの余韻を持たせているんですが
わざわざ了に言わせたせいで「え、ここでそれ?」的に
ちょっと拍子抜けしちゃったんですね。
もともとジンメン編は了が絡んでこないエピソードですし
彼の存在を持て余しちゃってるようなところもあるなあ、と。

ところで3話~4話は携帯のGPS機能が小道具として妙に活躍していましたね。
このあたりにはちょっと違和感を覚えてしまったんですが
家族の居場所とかそんないちいちGPSでチェックするものなんでしょうか。

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  アニメ・漫画, DEVILMAN crybaby, ダイナミック系

敵の再来による世界の破滅、
そしてもう一つの世界の早乙女たちの目的が明らかとなる
『ゲッターロボ DEVOLUTION ~宇宙最後の3秒間~』の第23話。

というわけで久々の掲載となった『DEVOLUTION』は
世界の崩壊に巻き込まれていく竜馬クンたちと
それを淡々と見守る別世界の早乙女博士たち……という両者を描く展開。
アクション的な見せ場はないものの独特の虚無感があり
世界が崩壊する中でも自分の本名にこだわる武蔵の描写などは
単なる対比としても面白いし伏線としても使えそうで興味深いところ。

そして「別世界をゲッターの進化のために利用、礎にする」という
別の世界の早乙女たちの目的がついに明らかに。
これまでも「向こうの世界」の竜馬がランドウを殺したりと
彼らはまるで世界を自分たちに都合良くするようにあちこちに干渉していたけれど
そのあたりの理由がようやく整理されたなあ、と。
ケンイシカワ的な表現をすれば「収穫の時が来た」みたいな感じでしょうか。

ただ本作の主人公が『流竜馬』である以上このまま大人しく終わるわけはないし
今後は本作の竜馬クンが自分の意志で「主人公」となって
世界に反逆していくような話になっていくんだろうなあ。

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ゲッターロボ 1

ゲッターロボ 1

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  アニメ・漫画, ダイナミック系, ゲッターロボDEVOLUTION

敵デーモン、ビビカの精神攻撃によって危機に陥る勇希、
そして帰国したシレーヌが戦いの場へと突入する
『デビルマンサーガ』の第65回。

というわけで今回の見所は何と言っても
見開きページで描かれたビビカによる精神攻撃の描写。
「地獄」のようなイメージが勇希の罪悪感を掘り起こす流れは非常に迫力があり
ビビカが一気に強敵っぽくなりましたね。
正直ビビカはジンメンの前座で
モブキャラに毛の生えたような立ち位置だと思っていたんですが
ここで見事に中ボスに昇格した感じです。こいつやるじゃん!

そんな中で美樹ちゃんに白縫さんとの不倫(?)を疑われる……というイメージは
ちょっと情けないところがありますが
勇希の後ろめたさ、優柔不断な部分を突いているという意味では
かなり効果のある攻撃なのかなあ、と。

そしてシレーヌの乱入により逆転の予感を感じさせつつ次回に続く。
個人的には勇希≒勇者アモンの強さをもっと見せてほしかったんですが
軍人として海外で揉まれてきたシレーヌとの比較も必要だし
もうしばらくは勇希の詰めの甘さを強調するような展開が続くのかなあ、と。

そして単行本の7巻は今月末に発売。
今回収録されるエピソードはバトル描写がメインだと思うので
まとめて読むのが非常に楽しみです。
近年の永井豪作品は長くても5~6巻で区切りがつくことが多かったので
「7巻」と聞くと一気に長編っぽく感じるなあ。

いやーそれにしてもここ数ヶ月の永井本ラッシュはすごいですね。
先月~今月だけでも20冊近く出てるんじゃないでしょうか。
高価な復刻作品などもありなかなか網羅はできませんが
気になるところは押さえていきたいと思います。

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  デビルマンサーガ, アニメ・漫画, ダイナミック系

45年ぶりに劇場作品として復活した
「劇場版 マジンガーZ / INFINITY」が先日1/13よりついに上映開始。
全世界待望の超期待作ということで
さっそく初日の通常版初回上映、4DX版初回上映を連続で観てきました。

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ちなみに売店では各種グッズの他「劇場版マジンガーZ新聞」や
「改訂版マジンガーZ」の単行本が売っていました。
先日発売したばかりの徳間書店版じゃなかったのがちょっと意外です。

そして映画本編ですが控え目に言って最高でした。最高でした。
大事なことなので2回言いました。
そこには観たかったものが全てありました。

いやー本当凄いです。2回連続で観たのに既にもう一度観たくなってます。
予告編ムービーが格好良く試写会等での評価も高かったため
自分の中でのハードルはかなり高くなっていたんですが
そのハードルを軽々と越えていっちゃいました。
生きてて良かったレベルでとんでもないものを観てしまった、と感じます。

可能性によって生まれる多次元世界、AIによる自動運転や3Dプリンタなど
現代的ガジェットを数多く組み込んだ世界観、
そして宇宙の存亡を賭けた観念的な超インフレバトルに昇華しつつも
物語はあくまでもTVアニメ版の延長線上。
で、そのマクロな設定と「家族」を中心としたミクロなテーマを
仲立ちしているのが新キャラのリサ。
アンドロイドらしい合理性と「子供」らしい純粋さで大人の事情に反発する彼女は
敵も味方もいつものメンバーが大集合する中で明らかに「異分子的」に描かれており
前情報からは反発する声もそれなりにありましたが
彼女のような新キャラが必要だった理由は映画を最後まで観ると分かってきます。
TVシリーズの10年後、そして更なる未来を描いた『INFINITY』において
彼女は「未来」の象徴として存在しないといけなかったんですね。

とまあそんな細かい部分はとりあえず置いておいて
本作のメインは何と言ってもマジンガーの戦闘シーン。
ドッタンバッタン大騒ぎのお祭りムードあふれる
ボスボロットのコメディアクションももちろん魅力ですが
機械獣軍団~あしゅら&ブロッケン~地獄大元帥まで
ノンストップで送られるZの戦いっぷりはまさに圧巻。
パンフレットに載っている機械獣リストを見るだけで圧倒されます。
ここまでの長い尺でロボットアクションを見せてくれたアニメは
少なくとも自分の知る限り過去10年~20年レベルでありませんよ。

いやーほんと本作のバトルシーンはアニメ史に残るレベルだと思います。
異形の機械獣軍団をマジンガーが全身のギミックを余すところなく使って突破する
アクロバティックな戦闘シーンには
ロボットアクションの要素が全部入っていると言っても過言ではないと思います。
問答無用のスーパーロボットです。
自分はCGで描かれたロボはあんまり好きじゃないというか
3DCGのロボットアクションはスピード感やカメラワークに優れていても
なかなか重量感を出すのが難しい、というのが不満なところだったんですが
そんな鑑賞前の不安は重厚なSEと劇場クオリティの作画の前に吹っ飛びました。
最新3DCGの凄さを見せつけられました。クルクル掌返しです。

そしてマジンガーのキャッチコピーとして有名な
「神にも悪魔にもなれる」という部分を更に突き詰めていたのも印象的。
このあたりは過去作品では
「神にも悪魔にもならず、1人の人間として正義のために使う」的な感じで
兜甲児をあくまでも等身大のヒーローとして描いていたんですが
本作では更に一歩踏み込んで
「人間が正しいと考えることなんてそれぞれだぞ」という多様化を突きつけられた上で
「神にならざるを得なくなった時、この世界をどうするか?」が描かれているんですね。

これは2回目の上映で気づいたんですが
映画のクライマックス、巨大マジンガーがインフィニティに最後の一撃を放つ際の
光子力エネルギーの最高出力が「56億7000万」って言われてるんですよ。
56億7000万ですよ。弥勒菩薩ですよ。偶然の一致の数字とは思えませんし
古代神であるインフィニティに代わる存在として
マジンガーZが新たに人々を救済する存在となった、的な意味合いが
込められているんじゃないかなあ、と。

また劇場作品ならではの画面の情報量、細かい小ネタの多さも本作の魅力。
OPで愉快に登場する冷奴先生+K君ロボに始まって
車のナンバープレートが「永井50」だったり
上に挙げた「56億7000万」の数字だったりと
背景キャラの演技とか看板の文字とか作中で登場した数字とか
恐らくかなりの部分に何らかの意図が込められているんじゃないかと思います。
上映時間の短さやあまりにも王道すぎるストーリーとは裏腹に
何度映画館に足を運んでも新しい発見があるような気がします。
スポンサーの宣伝のようにわざとらしく挿入される
VAIOやNISSANももはや微笑ましいレベルです。

そして通常版に続いて4DX版も鑑賞しましたがこっちも大満足。
4DXを体験するのは『ガールズ&パンツァー』『艦これ』に続いて3回目ですが
ぶっちゃけ今までで一番動いていたと思います。
後半はほとんど戦闘シーンなのでガッシャンガッシャン大興奮です。
あしゅら&ブロッケン戦でのパイルダー分離~再合体のシークエンスとか
もう気分は「おれはふたたびマジンガーZになったのだ!」てなもんですよ。
ボロットのお尻ペンペンに合わせてフラッシュ焚くような遊び心もバッチリです。

 IMG_20180113_091805s-.jpg

それとなぜか4DXのほうが上映時間が短く表記されていました。謎です。

というわけであまりの興奮に
ネタバレなんて知るか! とばかりにかなりの長文を書き殴ってしまいましたが
もう本当に2回観ただけじゃ語りきれません。
マジンガーの壊れかたが「対暗黒大将軍」のものと似ていたり
インフィニティのシチュエーションがマジンガーZERO(地獄モード)っぽかったり
人類を見限ったら宇宙を破壊してしまうのは
完全にゴッドマジンガー(漫画版)の設定だよなあ、とか
ダイナミック作品好きとして触れていきたい部分はあるんですが
映画館で劇場クオリティのスーパーロボットアニメが観られるという
興奮の前には全てが吹き飛びます。
こまけぇことはいいんだよ!

いやーほんと新年早々こんな凄いものを見せられてしまったら
今後のロボットアニメはどうなってしまうんですかね。
マジンガーZは「原点」にして「頂点」と評されることが多いですが
2018年に復活した本作によって「最先端」にまでなってしまったんですよ。
ああもう全てがマジンガーだよ!(喜)

というわけで最高でした(大事なことなので3回ry)。
ありがとう本当にありがとう。

あ、それと改めて見直すと予告編の作り方が非常に巧みですね。
融解するマジンガーZの描写などが顕著ですが
「あのシーンここかよ!」的なフェイクやミスリードを
多重に練り込んでいるので本編でも常に驚きがありました。

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  アニメ映画, アニメ・漫画, ダイナミック系, 映画

漫画『デビルマン』のラストまでを完全映像化、という触れ込みで制作された
湯浅政明監督による全10話のアニメ『DEVILMAN crybaby』が
動画配信サイト「Netflix」にて1/5より一挙配信開始。

人物の影を極力なくした独特のタッチ、サイケデリックな色調、
そして有名バンド、ラッパーを招いての音楽など
ぶっちゃけ前情報からは正直サブカル系に寄りすぎというか
リア充すぎる雰囲気がきつい部分もあったんですが
あの『デビルマン』の待望の完全アニメ化、ということで
観てみないと始まらない、とばかりにNetflixに加入した次第です。
現代にアニメ化するからにはそれなりのアレンジは必要だと思いますし。

そんなわけで感想を何回かに分けて書いていこうと思います。

■■■第1話「おまえが必要なんだ」■■■
というわけでついに始まった『DEVILMAN crybaby』の第1話は
「豪華愛蔵版」の巻頭カラーを彷彿させる天使と悪魔のイメージから始まり
明の合体、デビルマンの誕生までを一気に描く展開。
明が了にいざなわれてサバトに参加、そこでデビルマンになるという
基本的なストーリーラインは同じであるものの
美樹ちゃんが「魔女」と呼ばれ(デビルマンG?)陸上選手となっていたり
ミーコが同級生として重要ポジションに収まっていたり(実写映画版?)
原作では帰宅部だった明も陸上部に所属していたりと
細かいところでいろいろな関連作を意識させる設定の変更がなされており
全体の印象はかなり異なっている感じ。

ただ了の父親が登場せずオリキャラのフィキラ教授になっているのは
明と了の当事者としての決意、覚悟が薄れてしまっているという点で
不満なアレンジであるところ。
テンポの速さもあってどうにも悪魔による人類存亡の危機、
悪魔に支配されずにデビルマンになる理由、などなどの部分が視聴者に伝わりにくく
「悪魔見たさにサバトに参加したら偶然デビルマンになれたでござる」
的な話になってしまっているんですね。
単行本1冊分のボリュームを1話に収めるのは無理がありますし
2話かけてでもいいからここまでの話はじっくり描いて欲しかったなあ、と。

とはいえサイケデリックなサバトシーンの狂気は原作さながらですし
明の「泣き虫」という部分を単なる気の弱さではなく
「他者に共感し、見知らぬ人の死に泣くことが出来る」とした部分は
「crybaby」というタイトルからして今後の伏線になっていきそうな雰囲気で
こちらも非常に気になるところ。

そんなわけで明と了の覚悟、決意が描かれなったのは残念だったものの
独特の作風に慣れてしまえばあとはジェットコースター的な物語を楽しめる
『DEVILMAN crybaby』。第1話としてのつかみはOK、的な感じです。

あ、それと「コップでもかじりやがれガキ~~!」のシーンが
カットされてしまったのはちょっと残念でした。
あのシーン大好きなんですよ。痛さがダイレクトに伝わってくる感じで。

■■■第2話「片手で十分だ」■■■
悪魔の力を手に入れた明の変化と戸惑い、
そして人間社会に潜むデーモンを狩り出す、という決意が描かれた第2回。

というわけで第2話は明の学校生活や牧村家での生活にスポットを当てて
オリジナル要素の強いストーリーが展開。
第1話での合体が突発的、偶然による印象が強かったために
ここでワンクッション置いて
今後の指針をはっきりさせる必要が出てきた感じですね。
サブタイトルにもなっている「片手で十分」の後に
自分の力に戸惑うシーンが入るのは
明の決意がまだ固まっていない本作ならではの描写だと思います。

またミーコの立ち位置が変わったことで
学校生活のシーンに大きく尺が取られているあたりは
実写映画版にも通じるところがありますね。
彼女の自慰シーンはもしかして
江川達也氏の『ネオデビルマン』を意識しての描写なのかなあ、と。

そして牧村夫妻が敬虔なクリスチャンになっていたり
アニメ「デビルマン」が存在する世界観が明らかになったりと
細かいアレンジもちらほら。
本作のためにリミックスされた「デビルマンのうた」は
ちょっと音が軽すぎる、という意見もあるみたいですが
個人的にはリズム感を重視したアレンジで非常に好みです。
原盤よりも歌いやすい気もします。

そしてオリジナルキャラ、長崎によって
デビルマンの戦いがカメラに収められたところで次回に続く。
美樹ちゃんに取材を執拗に求める描写など
いわゆる「お邪魔キャラ」的な立ち位置になっている彼が
今後どんな風に物語をかき回していくのかが気になるところです。

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