セイクリッドセブン 第09話 転石するイシ 感想
「大丈夫…君からもらった力は、消えてない!」
今までの物語でアルマや周囲の人たちがどんなふうに変わったのか、
そしてこれまでとは雰囲気の違う圧倒的な強さのアシとの戦いが描かれた
「セイクリッドセブン」の第9話。
今回は何と言っても4話の感想で書いたような
「皆に受け入れられていじられキャラになっていくアルマ」が観られたのが嬉しいね。
特に廊下を部長と歩いてるところで部活の助っ人を頼まれるシーンなんか
こういうのいいなあ、まさに青春してるなあ、という感じ。
照れ臭そう+微妙にまんざらでもなさそうなアルマの
「何だかなあ…」のセリフもいい味を出してるし。
で、アルマとその周囲の人たちのどっちが変わったのかというと
これはやっぱり両方なんだろうなあ。
皆がアルマの本当の性格に気付いたっていうこともあるけれど
それ以上に「みんなを護るために戦う」なんてセリフも
昔のアルマの口からは絶対に出てこなかっただろうし。
そう考えると本話はエヴァンゲリオンで言う「男の戦い」的なエピソードになるのかな。
中盤を過ぎたあたりでの強敵の出現、主人公が戦う理由を改めて口に出す、
という構成上の位置付けとかがそんな感じだし。
とまあいろいろ書いたけどやっぱり今回一番の見所は
「Gダンガイオー」最終話のプロレス三兄弟を彷彿させるような大爆笑ビジュアル。
デザインしたスタッフ誰だよこれ! 圧倒的なセンスに嫉妬するよ!
だって頭に灯籠のせた細マッチョとデブが空中で究極合体だよ!
それを超級覇王電影弾体当たりで撃墜するんだよ!
これで笑わなきゃどこで笑うんだよ! 大真面目バカアニメの本領発揮だよ!
なにこれすげえ!
そんなわけでもうお腹いっぱいの第9話。いやあ面白かった。
ラストの部長とのシーンが最終回でも全然おかしくないね!研美の野望とかもうどうでもいいや!
それにしても「丹童子くんは石っぽい~」という部長の評は
石好きの彼女にしてみれば最高の褒め言葉なんじゃないだろうか。うーん。
セイクリッドセブン 第08話 マゴコロを込めて 感想
「とりあえずじゃなくて……君のイシを受け取る。」
鬼瓦の合わせ目を消したい衝動に駆られる「セイクリッドセブン」の第8話。
今回は鬼瓦の計らいによってデートをすることになった
アルマとルリのすれ違いと和解の話…ということで
アルマの変身もアクションシーンも皆無の完全な人間ドラマ中心のエピソード。
あれだけすれ違いを続けていた二人が
「口で言ってくれないと分からないよ! はっきりせんかい!」(意訳)で
あっさりと和解してしまうのはちょっと違和感があったけど
そういう簡単に解決するようなことをグダグダとやってしまうのが
アルマの不器用さとルリの面倒臭さなんだろうなあ、と思ったり。
個人的には「不良にルリが絡まれてアルマが助ける~」みたいな
苦笑してしまうくらいベッタベタなことをやってくれてもよかったんだけど。
そしてちょっと残念なのは
アルマの「とりあえず~」がこれからは聞けなくなっちゃうんだな、というところ。
全く意識していなかった口癖が持つ無責任さに気付く…
という話の流れとアルマの成長には確かに頷けるんだけど
一つの台詞としては結構好きだったんだけどなあ「とりあえず~」。
ところで今回数カットだけの回想で終わってしまった
「子供時代のアルマとルリ」については今後しっかりと語られることになるのかな。
今までのカットだけでも「子供時代のアルマが力を発揮してルリを助けた」
という簡単な流れだけは掴めるようになっているし
変に回想をダラダラやられるよりはボカしたままのほうがいいなあ、と思っていたり。
1クールだと話の尺的にもそろそろキツそうだしね!
どうでもいいけど砂浜のシーンのアルマがあまりにも悟りを開ききったような表情で
ルリ「洗脳完了!」みたいに思えてしまった。
ああ面倒臭い女ってそういう……。
蒼樹うめ 「ひだまりスケッチ 6巻」 感想
いつの間にやらかなりの長寿連載になっていた「ひだまりスケッチ」の6巻が発売。
当初は「新キャラ」というイメージの強かった後輩たちもすっかり溶け込んで
絵柄も3~4巻あたりからは大きく変わらずに安定している気がするし
良い意味で「いつものひだまり~だなあ」と安心して読める最新巻、という感じ。
個人的には「夏休み終わ朗」のようなシュールなネタが微妙にツボに入ったり。
ただ乃莉ちゃんの数少ない見せ場でもあるPCネタがほとんど無かったのはちょっと残念。
そしてゆっくりながらも作中の時間は確実に進んでおり
今まであまり認められることのなかったゆのの画がパンフレットに採用されたり
吉野家先生が先生らしいところを見せるヒロさんの進路の話など
各キャラが少しずつ確実に成長しているなあ、と感じられるところもちらほら。
特に修学旅行や夏期講習、ひだまり荘での勉強会など、5巻あたりから
先輩たち二人の卒業を見据えたエピソードが少しずつ増えているのが気になるところ。
連載初期の頃は先輩たちの卒業で一区切りだし最終回になるのかな……と思ってたけど
後輩キャラも増えた今の流れを見るとそこで終わりそうにはない
(身も蓋もない言い方をしてしまえば編集部が終わらせない)し、
そのあたりはどんなふうに描いていくんだろうか。
こういう4コマ漫画での先輩たちの卒業というと
「ひだまりスケッチ」と同誌で連載している「CIRCLEさーくる」なんかが
かなり早期から卒業後の進路の話なんかに踏み込んでいるけれど
あっちはある程度自由に動ける大学が舞台だし
「ひだまり~」はまた違った印象になるんだろうなあ、と思ったり。
そう言えば帯の「アニメ第4期製作決定!」のアオリ文で思ったけど
「ひだまりスケッチ」はアニメが長く続いても
あくまでも原作は原作の雰囲気のまま続けてくれるのが嬉しいね。
アニメは映像メディアで尺の違いなどもあり
それに合わせてモブキャラたちにもかなりスポットが当たっているみたいだけど
アニメ版には興味がなく一話も観てない身としては
そういう「アニメだけの設定」を必要以上に持ってこられると戸惑ったりするわけで。
正直「らき☆すた」なんかはアニメやゲーム版設定の逆輸入が多すぎて
途中からわけが分かんなく(ry
何の説明もなく無駄にキャラ増えすぎなんだよ!
丸川トモヒロ 「成恵の世界 12巻」 感想
価格据え置きで260Pという大ボリュームで「成恵の世界」の12巻が発売。
今回出るペース早いよ! すごいよ! なんて一瞬思ったけど
よくよく振り返ってみると11巻が出たのってもう一年以上も前なんだよね。
確かに10巻~11巻なんかと比べると十分早いペースなんだけど
なんかもういろいろ麻痺してる気がする。うーん。
そんなわけで11巻にも増して圧倒的な情報量を誇る本巻は
地球と銀連世界との関係や
知性の衝突により進化を促す蛇の目的など数々の謎が明らかになり
更にはあらゆる平行世界を巻き込んでの「アルマゲスト」との一大決戦と
クライマックス(もうちょっと続くみたいだけど)な雰囲気。
成恵の「もういないことも含めてお母さん~」から始まる台詞に集約されているように
今まで築き上げてきた世界と絆によって「幸せな世界」を掴み取ろうとする展開は
帯のアオリ文にあるようにまさにオールスターキャスト。
ページ数も合わせてすごい密度だわ本当に。
特に巻末コラムで既知臨界点:地球を基盤とした平行世界マップが示されたことで
作中の大きな設定はほとんど明かされたことになるんじゃないだろうか。
既刊を読み返すと2005年~2006年ころからの伏線もあったし
本当にここまで長かったなあ、という印象。埴輪とか最後に出てきたのいつだよ。
ただ今回のいろいろな共闘も共通の目的があったからこそであって
互いの遺恨が簡単に解決することはないだろうし
このあたりの「異文明の衝突」の結末が気になるところ。
「地球にこれ以上干渉していいのか」という名越大佐たちの苦悩も残っているし
やっぱりそのあたりの解決が最終エピソードになっていくんだろうか。
というわけでそろそろラストが見え始めた感じもする「成恵の世界」だけれど
個人的には2巻のぴーとさんとの会話などで提示された
「過去が現在に従う」という言葉なんかがいまだに気になっているところ。
今回明かされた平行世界設定と合わせるとぴーとさんの言葉にはかなり納得出来るし
「さよならダイノサウルス」的な結果が原因を作る逆説展開、
そして平行世界の融合or決別のようなラストに持っていくのかなあ、
と思ったり思わなかったり。
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以下、本編とは関係無い話。
どうでもいいけど8~9巻あたりから作者コメントなどで
「読者はこんなSF展開望んでないだろうけどやってやるぞ!」みたいな
「自嘲+自意識過剰+愚痴」な部分が見え隠れするようになったのが
すごい嫌な感じ……というか引っかかるんだよなあ。
一読者としては正直そっちの事情なんてどうでもいいし聞きたくもないし
何も言わずに面白いマンガ読ませてくれよ、と。
っていうか「誰もそんなの望んじゃいない」なんて言い方は
一巻から十年以上リアルタイムで読んできた人たちに対して
すごい失礼なことだと思うんだけどなあ。うん。