というわけで観てきました
夢のコラボレーション作品『サイボーグ009vsデビルマン』。
いやあ予想以上に凄かったわ。もう大満足。
まず驚かされたのがオープニング前のアバンタイトル。
ミュートス編とジンメン編の戦いを交互に描いて
両作品のキャラクターを見せていく……という王道の内容なんだけど
とにかくデビルマン側のこだわり、再現度がとんでもないことになっており
黒を基調とした画面作り、モーション・コミック的な演出など
原作漫画がそのままアニメになったかのような素晴らしさでもう鳥肌モノ。
『デビルマン』は90年代に作られたOVAの評価が非常に高いけれど
あちらとは別の形でのデビルマンアニメの極致を見せてもらった感じ。
オープニング前にこんなにお腹いっぱいになった映画は初めてです。マジで。
そして本編は両者の不意の遭遇からの衝突、
共通の敵を知って共闘、という正統派の流れ。
飛鳥了がジョーを「機械と融合したデーモン」と誤解し
ジョーが了を「化け物を使って実験をしているブラックゴーストの科学者」と
誤解する、というのはお互いの設定を巧く繋げた展開だね。
また学園パートにかなりの尺が割かれており
面倒見が良くクラスでも友人が多い美樹ちゃん、という
原作では描かれることのなかった一面が見られたのも嬉しいところ。
そんなこんなで前半はどちらかと言えばデビルマン側が中心だったのに対して
中盤以降は009側がメインとなるストーリーが展開。
時系列がミュートス編以後ということもあって
敵サイボーグが全員が加速装置を搭載しているため
まさに加速装置のバーゲンセールとなる超高速戦闘は迫力満点。
またちょっと意外だったのが008の出番がかなり多く
初登場シーンでタブレットを使っていたり高速ブラインドタッチを披露したり
003と並んで情報面での活躍が目立っていたところ。
逆に毎回コメディリリーフとして出番の多い006の出番が控え目だったりと
意識して9人全員を満遍なく活躍させようとした感じもあるね。
そして個人的に巧いと思ったのがサイボーグ戦士たちのデザイン。
本作の009たちのコスチュームは太いラインが入っていたり
肩や腕の部分が別パーツっぽく強調されていたりと
ちょっと違和感のあるアレンジになっているんだけど
「能力を使う時にラインが光る」という演出がされ、
「腕を破壊された009が誘爆を防ぐために腕をパージする」という展開があるなど
オリジナルのコスチュームと違う部分が作中で機能的に使われており
一風変わったデザインにしっかりと説得力を持たせているのが凄いなあ、と。
そんなわけでストーリーもバトルも思いっきり楽しめたんだけど
導入部が凄すぎた、ということもあり
終盤は駆け足で尻すぼみ的になってしまったのがちょっと残念なところ。
特にハイティーンナンバーはあっという間に片付けられてしまい
0016などは台詞らしい台詞もなくかなり不憫な感じ。
まあ彼らについてはパンフレットのインタビューで言われているように
かなり細かい裏設定が存在するというか
脚本家、早川正氏による前日談小説
『サイボーグ009 VS デビルマン トゥレチェリイズ』に
詳しく描かれているので
そっちを副読本、設定資料として読めばいいのかなあ、と。
実際小説を読んでいると
「0016の武器はオーロラ作戦のMMM-1の系譜なのかな」
みたいな細かいことも想像出来るし。
そして最後に気になったのがパンフレットの対談で
「デビルマンも009も多分このあとそれぞれ新作を作ることになる」
と更なるアニメ化についてかなり直接的な表現で明言していること。
どういうエピソードになるのかは不明だけど
009完結編のアニメ化、デビルマン最終戦争編のアニメ化などは
いろんなメディアの情報から企画が存在していることだけはほぼ間違いないだろうし
是非ともその流れで実現させて欲しいところ。
もしこの二つが両方とも実現したらとんでもないことになりますよ!