永井豪 「デビルマンサーガ 第111話」 感想
国軍省へと降った亀井教授と
アスカのメッセンジャーとして来訪したジェニーによって
世界の現状が明らかになる『デビルマンサーガ』の第111話。
というわけで今回は亀井教授とジェニーの話で
混迷を続ける二つの世界の様相が明らかになる重要なエピソード。
亀井教授が語った「半透明のモノによる取り憑き」の描写は
無印『デビルマン』のデーモンによる無差別合体そのものですね。
ただあちらが明確な敵意を持った「デーモンによる人間への捨て身の攻撃」だったのに対し
こちらは「人間には恨みはないけどこの世界で生き延びたいだけ」なのが
デーモンたちもまた神々との戦いによる被害者、という悲劇性を強調している気がします。
そしてジェニーが語ったアスカからの伝言も衝撃的。
無印『デビルマン』では「不動明を死なせたくなかったがゆえに
勇者アモンを犠牲にしてデビルマンを誕生させた」アスカが
本作では「勇者アモンの復活のために不動勇希には犠牲になってもらうしかない」と
真逆の姿勢を取っているのが非常に興味深いところ。
本作ではアスカと勇希の友情(もしくは愛情)の描写があまりありませんでしたが
二人の関係がドライだとこういう流れになってしまうんだなあ、という残酷さを感じますね。
そうしたジェニーの伝言を勇希がかたくなに拒絶したところで次回に続く。
人間・不動勇希としては当然の主張なのですが
もはや状況がそれを許してはくれないんだろうなあ、と。
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