永井豪 「新バイオレンスジャック 下巻」 感想

廃墟と化した関東にそびえ立つ髑髏城〝スカルキャッスル〟は、まさに地獄だった。
ディーモンたちに精神を支配されてゆく人間たち。
ジンメン、そしてシレーヌの復活。
体を取り戻し、地獄の番犬ケルベロスを従えた人犬〝ミキ〟。
事態が混迷を増してゆく中、ジャックとスカルキングは再び相見える。

かつての「逆襲ハニー編」を彷彿させる城内潜入作戦。
とにかく事態を混乱させまくって最高潮になったところでブチッと切って完結!
という良くも悪くもダイナミックプロ的な展開。
現在連載中の「激マン!」が
自伝マンガとは名ばかりのデビルマン描き直しになってるのを見ても分かるけど
ずっとデビルマン描きたかったんだろうなあ豪ちゃん。

一つ気になったのが髑髏城〝スカルキャッスル〟のデザイン。
これ石川賢氏の「神州纐纈城」で出てきた纐纈城にすごいそっくりな気がする。
「神州纐纈城」の発行が2004年で
「新バイオレンスジャック」が2005年からの連載だし
恐らく間近で見ていて影響受けたんだろうなあ。と感慨深くなる。
顔が無くて仮面被ってる城主とかそのまんまだし。

そしてラストの「スカルキングの顔=不動明」というまさかの展開。
これいろんな考察出来ると思うけど
単純に
「最初は飛鳥了にしようと思ってたけど読者に言われまくったからやめた」
「何か謎も増えるし格好良いから不動明の顔にしよう」
ってしただけなような気もする。
デビルマンレディーでも「レディーの正体=牧村美樹」を読者に指摘されまくって
「じゃあ絶対にそういうふうにしないぞ」と別の設定にしたことをエッセイで書いてたし
失礼ながらそんなふうに邪推してしまったり。

何はともあれ「新バイオレンスジャック」完結。
これまでの設定と矛盾した部分もあるし時系列的にも繋がらない「新」だったけど
「ネオデビルマン」の「インザダーク編」なんかと同じ方向性だと思うことにしよう。
あっちも本編の流れにはどうしても組み込めない外伝エピソードだったし。

……で「戦国魔人伝」はいつ単行本に収録されるんだよ!
正直今回が最後のチャンスだった気がするんだけど。

上巻の感想はこちら

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