映画 『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』 感想

制作発表から18年の時を経てついに公開となった
映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』を観てきました。
2024-02-10 15.39.48-1s-
いやー本当に感無量ですね。
映画の情報が全然出なくなってしまった一時期なんて
映画化情報が載っている雑誌がまとめサイト等のコメント欄で
コラ画像扱いされるなんてこともありましたからね。
ほんの十数年前でネットが普及した時代の情報でもこれなんだから
歴史なんて全然あてにならないんじゃないの、などと思ったりもしたわけですよ。

そんなこんなでついに公開された『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』ですが
いやーすごい楽しかったですね。
まさかここまではっちゃけてくれるとは思わなかったというか
20年目のお祭り、どんちゃん騒ぎ、という言葉が相応しい
素晴らしいエンターテイメント作品でした。

話としては「新たな敵が現れてボロクソに負けてからの大逆転」とシンプルなものなんですが
思いっきりドン底に叩き落とした上での絶望からの復活をしっかりと描いているので
とにかくそのカタルシスがたまらないんですよ。
特に本作のキラはNTRで脳破壊されて精神汚染されてボロクソに負けて
仲間を頼らずに自分一人で全部抱え込もうとしたにも関わらず
「君たちが弱いから負けた」と責任を転嫁する
クッソ格好悪いところ、心の弱いところをこれでもかと見せつけてくれるわけでして
だからこそそこからの復活は感慨もひとしおなのです。

そしてキラ復活のために発破をかける役割を担ったのが我らがアスラン。
彼は物語前半はほとんど登場せず
それまで単独行動していた理由も明かされないまま唐突に現れてMVP的な活躍を見せるわけで
まさに「ガンダムSEEDで何をしでかすか分からない男No.1」の面目躍如。

シン!!!!!1111!俺がキラを殴るのを邪魔するのなら
お前も殴るぞ!!!111シン!!!!!!111

とどこかの画像掲示板で見たような理不尽さにはもう笑うしかありませんでした。
特に理由のない暴力がシン・アスカを襲う!

そしてまさかのミーティアを駆るイザーク&ディアッカをはじめとして
『DESTINY』後の新たな物語に相応しい新型MSも続々登場し
サイやミリアリア、バルトフェルドの他、一般人と化したカズイもわずかながら登場、と
まさに20年目に送るオールキャストのお祭り状態。
ああまたニコル殿が回想で死んでおられるぞ!!

また戦闘シーンではジャスティス(&アスラン)への鬱憤を吹き飛ばすかのように
大暴れするシン&デスティニーをはじめとし
もはや様式美というか持ちネタと化した不可能を可能にする男など
ガンダムSEEDシリーズの真骨頂とも言える演出をたっぷりと見せつけてくれます。
いやもうレクイエムの射線上にすーっとアカツキが出てきただけで笑えますからね。
あれ観てた人はみんな「あっ(察し)」ってなりますよもう。

というわけで本作の面白かったところ、楽しかったところを挙げていくと
どうしてもネタにしているように思われそうなんですが
細かな演出で「ああなるほど」「おお」と思わせてくれるところもちらほら。

特にネーミングについていろいろ言われているマイティーストライクフリーダムですが
「想いだけでも、力だけでも……」と言い続けてその先のビジョンがなかったキラが
「力」の名を冠するガンダムを駆りラクスへの想いを叫びつつ戦う展開となったことで
無印「SEED」から続いていた彼の心の問題が解決した、と思えば
納得がいくネーミングだと思うんですよ。額ビームには完全に意表を突かれました。

あとは本作の最終決戦は二人乗り同士の戦いになるんですが
キラとラクスが横並びの座席で「共に並び立つ」間柄になっているのに対し
オルフェ&イングリットの二人は前後の座席で
「オルフェの後ろに付き従うイングリット」という形になっているのは
「なるほどこういう見せ方なのかー」と思わず唸ってしまったところ。
二人乗りのロボは数多くあれど前後に座るパターンが多いので
今回横並びにしたのは明らかに「対等に横に並び立つ存在」として描くための
意図的な演出だと思うんですよ。

そんなこんなで大迫力で大暴れの戦闘シーンから細かな演出まで
とにかく楽しかった本作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』。
いやまあぶっちゃけC.E.世界の問題は何も解決していないというか
一歩下がって一歩進んだというか
「新たな敵を倒してラクスたちが改めてデスティニープランを否定した」だけなんですが
これはこれで今後の展開を広げられるいい終わり方だと思うんですよ。

えーとこれは自分の勝手な見解なんですが『ガンダムSEED』シリーズの裏テーマには
いたちごっこ」ってのがあると思っているんですよ。
核に対するニュートロンジャマー→ニュートロンジャマーキャンセラーの関係がそうですし
「実弾兵器が効かないからビームが唯一の対抗策」的な設定で登場していたPS装甲に対し
今回の敵MSが持つフェムテク装甲は逆に「ビームが効かないから実体剣で攻略する」形に
なっているわけですし。

なので今後もC.E.世界ではいたちごっこ的に新たな火種が生まれては
解決していくようなことが続いていくとは思うんですが
キラとラクスをはじめとする各キャラの心の問題が本作で完全に解決したことで
今後何が起こってもどうにかなっていくんじゃないかなあ、みたいな
前向きなことを思える終わり方だと思うんですよ。
何も解決してないけどエンターテイメント的にはスッキリ! というのは
今後の展開や話の広がりを考えると理想的なんじゃないでしょうか。
コズミック・イラ世界ではまだまだ遊べるぞ!

あ、それとどうでもいい部分なんですが観てて気になったことが一つありまして
それはやたらと場面転換の際のテロップが多かったところ。
「会議室」とか「格納庫」とか見れば分かるような所にまで執拗にテロップが出てくるのには
思わず失笑してしまうというか「これいる?」と思ってしまいました。
SNS等でも不必要なテロップの多さに言及している感想をちらほらと見かけましたし
やっぱ気になりますよねあれ……。

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