故・石ノ森章太郎氏の遺稿と構想ノートを元に小野寺丈氏がまとめ上げた小説
「サイボーグ009 完結編 2012 009 conclusion GOD’S WAR」の
最終巻がついに発売。
ついにサイボーグ戦士たちの最後の戦いがこの手に……!
ところで前はIII(Final)だったのにいつの間にかIII(Third)になってるね。
映画「RE:CYBORG」の公開もあるし
「原作が終了しても作品展開は終わらない」的な意味合いがあるのかな。
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というわけでいよいよ9人が集結し最終決戦となった本作だけど
蹂躙される人々、再改造と進化を繰り返す壮絶な闘い、次々と襲来する神々と
開幕からクライマックスまでまさにノンストップのジェットコースターのような展開。
とにかくいい意味で読んでいて疲れるというか
ここまで体力が削られる、引っ張られる小説は久しぶりな気がする。
また神々との闘いを決意するシーンは「天使編」、
精神攻撃を受けたサイボーグたちの「心の弱さ」の描写は「神々との闘い編」、
邪鬼たちにボロボロにされてからの反撃は「平成アニメ版:序章」と
今まで未完だった各種完結編の要素を全て詰め込んでいる感じ。
神々についてジョーが自問するシーンなんか「神々との闘い編」ほぼそのままだし。
特にサイボーグたちの最後にして最期の闘いが描かれるラスト数十ページは圧巻。
それぞれのキャラに死力を尽くした見せ場を作りつつ
1巻と2巻で鍵となったイエティや精霊たち、<神の神>などもしっかり再登場し
凄惨ながらも盛り上がる展開が目白押し。
現在連載中の漫画版なんかもそうだけど
どうしても今回の完結編は「無難にまとめている」というイメージが強かっただけに
まさかここまで跳梁跋扈、荒唐無稽な大超能力バトルをやってくれるとは思わなかった。
いやあもう大興奮。後書きにもあるけどまさにエンターテイメントだわ。
だってこれ約300Pの本文のほとんどが戦闘シーンだよ!
いくら下巻とは言え一冊の小説として考えるとメチャクチャな構成だよ!(褒め言葉)
そして「動から静」「闇から光」へと移行するエピローグは
本当に行き着くところまで来てしまった感じ。
ああそうか! これはSFなんだ! 救済と浄化の話なんだ!
かつて「天使編」で「人類のための捨て石になる」と宣言し
その言葉通り戦い続けたサイボーグ戦士たちに最後の最後で救いを与える物語なんだ!
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そんなわけで「大満足だよありがとう! これが完結編なら納得だよ!」な気分なんだけど
個人的に小野寺氏の言葉選びに引っかかるというか
「ちょっと自分とは感覚が合わないなあ」という部分がちらほらあったり。
例えば「ジャパンブルーのユニホーム」という語が随所に見られるところ。
10/25付けの朝日新聞の対談記事でも言及していたし
序盤の首都圏の描写が不自然なくらいに細かかったりと
(道路名や地名だけ次々と出されても東京の人以外にはイメージ出来ない……)
小野寺氏はどうしても「震災後の立ち上がれ日本」「都心を襲う災害」的なものを
入れたかったみたいだけど
ワールドワイドなメンバーたちの活躍っていうのが
「サイボーグ009」の魅力の1つでもあるわけで
そのあたりを「ジャパンブルー」みたいな単語で一括りにしてほしくなかったなあ、と。
「完結編のための色違いコスチューム」ってだけで十分盛り上がるんだし。
また「サイボーグ戦士たちの活躍が動画サイトで世界中に」という流れはいいとしても
何かにつけて「YouTube」という語が文中に登場するのには妙な違和感が。
これじゃあまるで世界に動画サイトがYouTubeしか存在しないみたいじゃないか!
震災うんぬんもそうだけどなんかこう変に現実に即しすぎな気がするんだよね。
2012年になっちゃったから仕方ないのかもしれないけど
もっと架空の近未来的世界観を提示してほしかったような気も。
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それにしても2013年という舞台設定や
「終わらせなければ、始まらない」などのキャッチコピーから
映画「RE:CYBORG」は完結編後の世界観なのかと思ったけど全く違うのねこれ。
っていうか続きが作れるとかそういうレベルの話じゃなかった。
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しかし予想以上に潰れたり千切れたり破裂したりしてたな……。
漫画版とかどうなるんだマジで。