島本和彦 「短編 サイボーグ009」 感想

現在発売中の「ゲッサン12月号」に
島本和彦氏による「サイボーグ009」の短編が掲載。

正直最近の島本氏の漫画は悪ノリが酷くてあんまり好きじゃないんだけど
今回はそういった勢いのあるギャグは完全に鳴りを潜めており
至って真面目な短編という印象。逆に新鮮だわこういうの。

ストーリーは島本氏のコメント通り『天使編』の続きを想定して書かれており
世界各地に現れた天使たちとの戦いが繰り広げられているという設定。
登場するのが009と003、そして001の三人だけというところなど
(この短編だけだと002が死んでるようにすら思えたり……)
単発作品ならではの思い切った部分が多い感じ。
一見さん完全に置いてけぼりなんだけどいいのかこれ。

とは言え「抵抗することによって自分たちの意思を示す」というテーマを
ヨミ編ラストの自己犠牲と結びつけてしっかり描いているのはさすがに上手いなあ、と。
天使たちに加速装置が通用しない以上
残された対抗手段はまさに「あとは勇気だけだ」なわけで
こういう部分は映画『RE:CYBORG』も同じかもしれない。

それにしてもこの短編ですごいのは
コマ割や会話のテンポ、雰囲気が完全に石ノ森氏のものを踏襲していること。
もちろん絵柄は違うんだけど作品全体に漂う石ノ森リスペクトがたまらんね。

 

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