永井豪 / 衣谷遊 「バイオレンスジャック20XX」 3巻 感想

逞馬竜、天馬三郎に続く三人目の男、海堂猛志が参戦し
打倒スラムキングに向けて一大勢力を築き上げる『バイオレンスジャック20XX』の第3巻。
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というわけで今回のメインは逞馬と天馬を助ける形で登場した海堂猛志の存在感。
原作ではどんどんキャラクターが増えていったこともあり
海堂については描写が少なく「いつの間にか軍に加わっていた」
「逞馬と天馬からは一歩引いた部下」みたいな印象もありましたが
『20XX』ではしっかりと「逞馬・天馬と並び立つ対等の存在」と描かれている感じですね。

その流れで幼少時代の彼がジャックに助けられるエピソード「関東鬼相撲編」も
細かなやり取りを含めて忠実に再現されています。
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ダーツの的にされるルミちゃんや自ら死を選んだ彼女の最期など過激なシチュエーション、
ジャックの「心正しく生きよ」などのセリフもそのままですが
「相撲部屋の力士たちがならず者に」というのは現代で描くにはさすがにマズいと思ったのか
敵役についてはただのヒャッハー軍団にされてましたね。
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またスラムキングの過去が明かされる「黒の森」編も原作通りに再現されていたり
キングとクイーンとの出会いが語られたりと
敵側の過去話ががっつりと入ってきたのも今回の特徴。
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「黒の森」編でキングの家庭教師として登場した優子先生は
原作ではかなり勝ち気な女性で目付きも鋭く
自分の体や命ですらも道具として使うような覚悟を持った魔性の女、
みたいな描かれ方をしていましたが
『20XX』ではキングのために涙を流す清楚な女性、悲劇のヒロイン的な
ある意味王道のキャラクターになっていた感じですね。
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っていうか原作を読み返したら記憶よりも優子先生がアグレッシブでびっくりしました。

その他、本巻では物語の序盤からライバル的な立ち位置だった田島の最期、
自分自身の弱さに向き合って成長するゴロ、そして新たな命を宿すジュンコなどの描写があり
決戦に向けて逞馬の周りのキャラたちにケリをつける、みたいな雰囲気を感じましたね。
田島に引導を渡す汚れ役をブンタが引き受けたのは
原作の「陽炎編」(反抗期のブンタが逞馬の暗殺を目論むスパイの女性に唆されるも、
逞馬の本心を知って成長するエピソード)を意識してるのかもしれないなあ、と思ったり。

そんなこんなで次回はドラゴン部隊との激突となりそうな『バイオレンスジャック20XX』。
原作と比べてキャラを絞ったことでスケールが小さくなってしまっている、
小競り合いを続けているだけになってしまっているのが
原作と比較しての『20XX』の弱点だと思うので
次回の激突には期待したいです。はい。

しかし今回もジャックの出番はほとんどなかったですね……。
「黒の森編」と「関東鬼相撲編」の数ページだけでしょうか。

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