長谷川裕一 「機動戦士クロスボーンガンダム ゴースト 10巻」 感想

「エンジェル・コール」を巡る戦いもそろそろ大詰めとなる
『機動戦士クロスボーンガンダム ゴースト』の単行本第10巻が発売。

ついに10冊目の大台に乗ってストーリーも最終局面な感じの今回は
それぞれの思惑が渦巻く三つ巴の戦場に
文字通り「全部乗せ」のサーカス最終機体グレゴの登場、と
まさに決戦らしい盛り上がり。

またその中で各キャラの本音がちらほらと垣間見られる展開になっており
特にフォントを叱咤するジャックとのやり取りの中で
「死者はどこにも行かない」「消えていなくなってしまう」と
フォントが独白しているのは注目すべきところ。
・死者は何も出来ない
・死んでしまったらおしまい
・だから今生きている人の命が大切なんだ
というのは『逆襲のギガンティス』から続く長谷川ガンダムのテーマの一つだし
ジュドーやトビアとは違う理屈っぽさがあったフォントが
ここでついに長谷川ガンダムの主人公に相応しいキャラに成長した、
みたいな感慨深さもあるなあ、と。

そして敵側ではクォ・グレーがキゾ中将の戦略を
「子供っぽい感傷に引きずられている」と看過しているのが興味深いところ。
無印クロスボーンのドゥガチも「自分の手で地球を破壊したい」
という個人の感傷のために戦略を見誤っていたけれど
今回のキゾ中将もそのあたりが弱点というかアキレス腱になってるんだなあ。
親子の業は深いわー。

そんなこんなでMSミダスの謎解きやカーティスの切り札など
ちょうど美味しいところを残したまま次回に続く。
いやー11巻が楽しみだわ。

それにしてもカラス先生は要所要所で名前が挙がってくるね。
歴代ラスボス全てに深く関わっていて
死後20年を経ても強い影響力を持っているなんてまさに影の存在。

   

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