永井豪 「新装版 マジンサーガ 第6巻」 感想
大増ページで21世紀に蘇った「新装版マジンサーガ」の最終第6巻がついに発売。
長年待ち望んだ扶桑社版の続きが今ここに……!
というわけで今回は5巻ラストの悪醜羅男爵の宣戦布告に続く形で
扶桑社版の6巻後半部分からスタート。
導入部として20Pほどの描き下ろし戦闘シーンがあり
各地の戦線でマジンガーが戦っているのが分かりやすくなっているのが嬉しいところ。
旧版は駆け足気味で「火星全土を戦場とした戦争」のイメージが
少し掴みづらいところがあったからなあ。
そしてサイコジェニーが「マジンガーZを討つ!」と宣言する
P126(扶桑社版6巻・最終ページ)以降は完全新作のストーリーが展開。
サイコジェニーとの戦いや奪われたマジンガーマスクの奪還が中心に描かれ
合田曹長の再登場やアニメ「真マジンガー」を彷彿させるガミュラQ3との共闘など
最終巻に相応しい大規模で緊張感のある戦闘シーンが目白押し。
潜入作戦の中で仲間たちが次々と倒れていく流れは
『バイオレンスジャック』の「逆襲ハニー編」なんかを思い出したり。
天真爛漫なガミュラとそれに翻弄される甲児のペアは
戦いが激しさを増していく中で一種の清涼剤的な感じになってる感じだね。
それだけに「悲しい生物兵器」としての最期が際立つわ。
そしてラスト十数ページで描かれる最終章「新たなる始まり」は
ロボット兵轟神≒ボスボロットの顔見せに始まって
ベガ星連合軍を率いるガンダル司令の登場、
暗黒大将軍、ゴーゴン大公、神皇帝・地獄が一堂に会する見開きページ、
そして不動明が変身するデビルマンXの降臨と
清々しいほどの「本当の戦いはこれからだ!」的展開。
後書きによればデビルマンマスクは単なるZのデッドコピーではないみたいだし
これからは物質を超越した「Z」と未知なる「X」の戦いになっていくんだろうなあ。
マジンガーZ対デビルマンX! 字面だけで燃えるわこれ。
というわけで当初の予定通り無事に完結(?)した「新装版マジンサーガ」。
サイコジェニーやガミュラとも決着が付いたし旧版よりは区切りがいいはずなんだけど
「続きが読みたい!」「この後どうなるんだ?」と気になる終わり方なのは変わらず。
特に後書き「新たなる始まり」では
本編では描かれなかったヘルの過去、悪醜羅やブロッケンが復活する今後の展開、
そして甲児が汚染された地球を救うという最終章(?)にまで言及しており
『バイオレンスジャック』以上の集大成ワールドになっていくような気がするし。
とにもかくにも永井豪氏本人によって「永遠に続く物語」と明言されてしまった本作。
7巻以降が出るにしろ出ないにしろ「終わらない」ことを宿命付けられてしまったわけで
かつて『神州纐纈城(マンガ版)』の解説で永井氏が書いていたように
「未完って面白い!」「結末は読者の手に委ねられた!」と
読者一人一人がそれぞれの「サーガ」を紡いでいけってことなんだろうなあ、うん。
ところで今回の新作部分って絵柄がバラバラというか
明らかに90年代当時のタッチで描かれてるコマが所々にあるような気が。
この十数年間少しずつ描き溜めていた部分もあるんじゃないかな、と感慨深くなったり。
あ、あとグレンダイザーの再登場が無かったのだけは残念。
顔見せくらいしてほしかったわ。