石ノ森章太郎/村枝賢一 「新仮面ライダーSPIRITS 5巻」 感想

4巻に引き続いてスーパー1を中心とした東北編が展開する
「新仮面ライダーSPIRITS」の5巻。
前回から続いている東北編がまだ終わらないということで
今回もちょっとテンポが悪いように感じてしまうなあ。
特に主人公のはずのZXが完全に「大勢のライダーのうちの一人」になっちゃってたり
「ねぶた製作部」関連が現状ではあまり存在意義が分からなかったりするのも
冗長さに拍車をかけてしまっているところ。
学生たちが大人たちに代わって頑張るという話は北海道編で既にやっちゃってるし。

ただ単行本でまとめて読むとやっぱり面白いねこれ。
スーパー1のみが「自ら望み、人に望まれてなったライダー」だということが
重要な部分になっていたりするのは思わず感心してしまうところ。
タックルが仮面ライダーに含まれていない理由に触れていたり
ライダー4号でありながらただ一人改造手術を受けていないライダーマンを
イレギュラーな存在として扱っていたりと
「仮面ライダーSPIRITS」はそのあたりの設定の使い方が上手いよなあ、としみじみ。
本作での日本という国の特殊性なんかを考えると
ねぶたの竜が最終的にアンチ・バダンシンドローム的な切り札になりそうな気もするし
スーパー1の復活と絡めて大逆転を見せてくれそうな次巻に期待、という感じ。

また八重歯が魅力の雛乃やとにかく強くてかっこいい義経姐さんなど
本作オリジナルの女性キャラが物語を引っ張っていたのも印象的なところ。
村枝先生の描く「強い女性キャラ」はみんな魅力的だね。

そして今回一番のお気に入りページは第18話「黒き赤心」の扉絵で
一人だけ微妙な高さで飛んでいるスカイライダー…ではなく
後ろをついてきている「誰か」を見るように振り返っているZX。
ライダーシリーズが今も続いている=魂が受け継がれていることを考えると胸が熱くなるね。

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