丸川トモヒロ 「成恵の世界 12巻」 感想

価格据え置きで260Pという大ボリュームで「成恵の世界」の12巻が発売。
今回出るペース早いよ! すごいよ! なんて一瞬思ったけど
よくよく振り返ってみると11巻が出たのってもう一年以上も前なんだよね。
確かに10巻~11巻なんかと比べると十分早いペースなんだけど
なんかもういろいろ麻痺してる気がする。うーん。

そんなわけで11巻にも増して圧倒的な情報量を誇る本巻は
地球と銀連世界との関係や
知性の衝突により進化を促す蛇の目的など数々の謎が明らかになり
更にはあらゆる平行世界を巻き込んでの「アルマゲスト」との一大決戦と
クライマックス(もうちょっと続くみたいだけど)な雰囲気。
成恵の「もういないことも含めてお母さん~」から始まる台詞に集約されているように
今まで築き上げてきた世界と絆によって「幸せな世界」を掴み取ろうとする展開は
帯のアオリ文にあるようにまさにオールスターキャスト。
ページ数も合わせてすごい密度だわ本当に。

特に巻末コラムで既知臨界点:地球を基盤とした平行世界マップが示されたことで
作中の大きな設定はほとんど明かされたことになるんじゃないだろうか。
既刊を読み返すと2005年~2006年ころからの伏線もあったし
本当にここまで長かったなあ、という印象。埴輪とか最後に出てきたのいつだよ。

ただ今回のいろいろな共闘も共通の目的があったからこそであって
互いの遺恨が簡単に解決することはないだろうし
このあたりの「異文明の衝突」の結末が気になるところ。
「地球にこれ以上干渉していいのか」という名越大佐たちの苦悩も残っているし
やっぱりそのあたりの解決が最終エピソードになっていくんだろうか。

というわけでそろそろラストが見え始めた感じもする「成恵の世界」だけれど
個人的には2巻のぴーとさんとの会話などで提示された
「過去が現在に従う」という言葉なんかがいまだに気になっているところ。
今回明かされた平行世界設定と合わせるとぴーとさんの言葉にはかなり納得出来るし
「さよならダイノサウルス」的な結果が原因を作る逆説展開、
そして平行世界の融合or決別のようなラストに持っていくのかなあ、
と思ったり思わなかったり。

 

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以下、本編とは関係無い話。

どうでもいいけど8~9巻あたりから作者コメントなどで
「読者はこんなSF展開望んでないだろうけどやってやるぞ!」みたいな
「自嘲+自意識過剰+愚痴」な部分が見え隠れするようになったのが
すごい嫌な感じ……というか引っかかるんだよなあ。
一読者としては正直そっちの事情なんてどうでもいいし聞きたくもないし
何も言わずに面白いマンガ読ませてくれよ、と。

っていうか「誰もそんなの望んじゃいない」なんて言い方は
一巻から十年以上リアルタイムで読んできた人たちに対して
すごい失礼なことだと思うんだけどなあ。うん。

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