東北歴史博物館の特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」に行ってきました。(2024年8月)

東北歴史博物館で現在開催中の特別展
「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」に行ってきました。
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こちらの「和食」展は昨年に上野の国立科学博物館で開催された時から
歴史好き、食べ物マンガ好き、食文化好きとして気になっていたので
今回巡回展として地元に来てくれて非常に嬉しいです。
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そんなわけで地元での待望の開催となった今回の「和食」展ですが
最初は水やキノコ、野菜に魚介類といった個々の食材から始まり
後半では日本の食文化の歴史を古代から現代まで追っていく充実した内容。
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水から始まる様々な食材、料理は見ているだけで美味しそうで楽しいですし
魚介類の展示スペースなどはちょっとした水族館気分。
ナガコンブを天井までぐいーーっと伸ばしてその長さを見せてくれるところなどは
非常にインパクトのある形になっています。
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期せずして話題になってしまった「ベニコウジ」なども
日本の発酵文化と合わせてしっかりと紹介されています。

また食文化の歴史を時代ごとに追っていくと
江戸時代になって庶民の文化が一気に発展したのをひしひしと感じますね。
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それまでの「庶民の食事」が本当に質素なものしかなかったのに
江戸時代に入ると現代に繋がるものがどんどん出てくるのは本当に驚きです。
平和な時代で余裕がなきゃ食文化は発達しないってことでしょうか。
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それと江戸時代の出版文化と合わせて展示されていた書物『豆腐百珍』は
漫画『美味しんぼ』の豆腐勝負でキーアイテムとして登場しており
今回の展示で是非見てみたかったものの一つだったりします。

『豆腐百珍』は「現代の豆腐百珍」的な再現本、アレンジレシピ本は多々あれど
当時の本そのものの現代語訳本は70年代~80年代に出た古書扱いのものしかなく
どうしたものか、と思っていたんですが
なんと今年になって待望の現代語訳本が中公文庫から刊行され
新品で簡単に手に入るようになりました。ありがたいことです。

そんなわけで期待通りの楽しさを見せてくれた「和食」展ですが。
予想よりも展示の文章量、情報量は少なめだったというか
販売グッズの多くが食品サンプル系だったことからも分かるように
どちらかというといろいろな食材・食べ物を見て楽しむ展覧会、
という性格も強かった印象でしたね。
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いや別に歴史の展示ってわけではないので情報量は最低限でもいいと思うんですが
食料支給に関するものが多い長屋王木簡の性格や
信長が家康をもてなした饗応膳を担当したのが明智光秀で
この時のトラブルが本能寺の変に繋がった可能性も一つの説としてある……くらいの話は
展示物を面白くするためにもあってもよかったんじゃないかなあ、と思ったり。

というわけで会場のボリュームに反して意外と読むところは少なく
会場を出ると「予想よりもあっさりだったなあ」と思う部分はあるんですが
そのちょっとした物足りなさを解消してくれるのがこちらの公式ガイドブック。
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この本は「図録」ではなく「ガイドブック」と銘打たれているように
展示物の紹介がメインではなく資料やデータの提示、文章、対談などに特化しており
ものすごい情報量でじっくり読ませてくれる本になっているんですよ。
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明治時代のカレーで1ページまるまる、ラーメンで1ページまるまる、
インスタント麺やレトルトについては別の記事で2ページ、と文章びっしりですからね。
これだけじっくり読める本なら2420円はそう高くはないです。
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逆に「ガイドブックには写真が載っていない展示」もたくさんあったんですが
幸いにして会場は写真撮影が可能でしたので
会場で写真をたくさん撮って後でじっくりガイドブックと照らし合わせる……というのが
一番理解が深まる楽しみ方になるんじゃないかと思います。
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そんなわけでガイドブックも購入しじっくり楽しんだ今回の「和食」展。
次回の東北歴史博物館の特別展は「多賀城1300年」でありこちらも非常に楽しみです。
記念の年に加えて多賀城碑の国宝指定が注目されている、という
ちょうどいいタイミングでの開催になるんじゃないでしょうか。
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余談ですが「うま味」には展示のパネルでもガイドブックでも
フリガナが振られてなかったですね……。
「うまみ・うまあじ論争」に決着がつくことはないんですね……。

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