仙台市博物館の特別展「大航海時代へ マルコ・ポーロが開いた世界」に行ってきました。(2024年8月)

仙台市博物館で現在開催中の特別展
「大航海時代へ マルコ・ポーロが開いた世界」に行ってきました。
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いやーすごい良かったですねこれ。
本展は仙台市博物館のリニューアル後初の大規模な特別展、ということで
「仙台市博物館が所蔵する国宝・世界記憶遺産である
『慶長遣欧使節関連資料』を見せたい! それに関連した特別展を開こう!」
みたいな大人の事情が透けて見えるというか
そのあたりに微妙な嫌らしさを感じてしまっていたんですが
実際に蓋を開けてみれば自分の邪推が申し訳なくなるくらいの
ものすごいボリュームで大満足の展覧会でした。

展示の第1章はプロローグ・前史的な感じでシルクロードの物品を紹介し
第2章から本格的に大航海時代へと入っていく構成になっているんですが
第2章からの書物、文書の展示がとにかく充実しており読み応えのあるものが満載。
「東方見聞録」1つをとっても「世界の記述」「驚異の書」「マルコ・ポーロ旅行記」と
様々な書名で刊行されたものがたっぷりと展示されています。
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「名高きヴェネツィア人マルコ・ポーロが東方諸地域で見聞きせる驚嘆すべき事柄」
「マルコ・ポーロの最も壮大で名高き旅行記」
「最も忠実で傑出した歴史家マルコ・ポーロの東方諸地域の書」あたりは
日本語訳の関係もあるんでしょうが何だかすごいアレですね。
くどい!

また展示資料には「コロンブスが余白に書き込みをした東方見聞録」なんてものもあり
理屈では分かっていても生きていた時代の違いなどからなかなかイメージがしにくかった
「東方見聞録がコロンブスに影響を与えた」というのが目に見える形で
実感できるようになっているのも印象的。

また予想外に日本の書物・文書も充実しており
太田牛一の『信長記(信長公記)』では
現在進行形で世間を騒がせている「ヤスケ(弥助)」に関する部分が展示されているなど
戦国期~江戸初期の「日本と世界との関わり」を示す史料を
大量に見ることが出来たのも嬉しいところ。

他にも三浦按針の手紙があったりと
とにかく有名な人物のものがたっぷり出てくるので
1つ1つをついついじっくりと見てしまいます。
このあたりの日本の史料は宣伝のチラシにもあまり掲載されていなかったので
もっと事前にアピールしても良かったんじゃないでしょうか。

そんなわけで「東方見聞録」を中心に
タイトルの「大航海時代」に相応しく世界のあらゆる地域の文物を見ることができた
今回の特別展「大航海時代へ マルコ・ポーロが開いた世界」。

内容的にはもう大満足なんですが1つだけ残念だったのは
会場の写真撮影が不可だったことでしょうか。
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いやまあ国宝などもあるので写真撮影禁止なのは仕方ないとは思うんですが
展示の中心が書物・文書といった「あとでじっくりと見返したい」ものだったこともあり
手元に残しておけないのが本当に残念なのです。
いやまあ図録を買えって話なんですが。
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あ、それと「同時代だしこれは記憶が残っているうちに行っておいたほうがいいな」と思い
地下鉄で2駅のところにある東北大学理学部の自然史標本館で行われている
ミニ企画展「ヨーロッパの古地図にみる紋章」に足を運んでみたんですが
こちらも面白かったですね。
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あくまでもミニ企画展、ということで展示スペースはかなり狭いんですが
大学博物館らしくパネルがびっしり。
大航海時代の古地図の他、紋章についての分析・発表が中心になっており
いかにも大学の研究って感じです。
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特に紋章の分割・統合パターンの分析などは非常に興味深いです。
こういうルールを把握しておけば
紋章から時代や家系を逆算出来るってことにもなるんじゃないでしょうか。

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