「屋上の百合霊さん SIDE A もうひとつのユリトピア」 感想

PCゲーム『屋上の百合霊さん』のコミカライズ作品
伊藤ハチ氏の『もうひとつのユリトピア』と
文尾文氏の『仲良しクイズ』が描き下ろし単行本として二冊同時に刊行。

2012年のゲーム本編の発売以来、非公式同人誌「○○レシピ」シリーズや
Twitterによる設定公開、全四巻のドラマCD+サントラの発売と
コンスタントに世界観を広げてきた百合霊さんワールドに
新たな歴史がまた1ページ、といった感じだね。

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そんな一冊目のコミカライズ『もうひとつのユリトピア』は
ゲーム本編の一年後を舞台に
新キャラとなる主人公、椎名栞が各キャラに助けられながら成長していく
正統派の青春物語といった展開。
ドラマCDでは大学生になった後のエピソードがあったりと
現実の暦と連動してリアルタイムに綴られていく群像劇が
『屋上の百合霊さん』の魅力の一つだけど
このコミカライズでも結奈ねえを始めとして
ちょっと成長した彼女たちの顔が見られるのが嬉しいところ。

中でも例のアレが既に伝説となっている牧ちゃんさんと
本編同様に絶妙な距離感で接してくれる比奈の二人は
栞のクラスメイトという立ち位置もあって準主役級の活躍。
彼女たちの所属クラスが2-Bというのも
・牧ちゃんは総合クラス志望だからA組かB組
・生徒会長を輩出しているのはB組とD組が多い
という「はるレシピ」で語られた設定を踏襲したものだし
こういう細かい所のこだわりがファンには嬉しいなあ、と。

そしてクライマックスは舞台が学園祭ということもあり
卒業した上級生組も登場しまさにオールキャストの劇場版的な雰囲気。
美紀さんの私服が「はるレシピ」の挿絵と同デザインだったり
本編終盤でギターに興味を持っていた愛来が陽香と二人で学祭ライブを行い
固定ファンがつくまでになっていたりと
こちらも細かいところで「おお」と思わせてくれる演出が上手いところ。
たった一コマで妙な存在感を醸し出すちゅるぎいねさんは
ヨゴレ役がしっかり板についちゃってるなあ。

そんなこんなで新キャラの主人公、栞を中心に据えつつも
ゲーム本編のキャラも全員登場してしっかりと存在感をアピールしている
非常に構成力の高いコミカライズ一冊目『もうひとつのユリトピア』。
『屋上の百合霊さん』を知っている人も知らない人も楽しめるし
まさに理想的なコミカライズだね。うん。

コミカライズ第二弾『仲良しクイズ』の感想はこちら

   

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