宇河弘樹 「朝霧の巫女 8巻」 感想
全9巻で刊行予定の「朝霧の巫女」の8巻が発売。
正直7巻は肝心な部分を引っ張ったり説明不足だった部分が多くて
振り回されながら何とか読んでいった感じだったけど
今回は「第三十話 倖臣」などでしっかりとした説明があり
・世界を再構築して神代復古を目論む神々(スサノオ)
・穢れを流し人の世を維持しようとする人間たち
・境界線上に立ち、人のために穢れを引き受ける覚悟を持つ陛下(神々の子孫=天皇家)
という図式が明らかになり7巻に比べればかなり分かりやすくなった印象。
ノリとしては「この世界は人間のものなんだよチクショー!」
的な感じでいいのかな? いいんだよね?
個人的には伝奇モノで悪玉になりがちな八岐大蛇が
人類側の道具? っぽくなってるのが新鮮だったり。
特に神器を戻して制御するという設定には「うめえ! すげえ!」と思わず平身低頭。
また日瑠子陛下と巫女委員会が対面するところなんかは
今まで別個のストーリーだった
ミクロな世界観(学園ラブコメ)とマクロな世界観(国家窮乏の危機)が
ようやく繋がったような感じがして胸が熱くなったり。いやあここまで長かったわ。
中盤は存在意義がよく分からなかった巫女委員会だけど
彼女たちは読者にとって日常⇔非日常の橋渡し的存在なんだよなあ、と。
審神者の役割とその力なども明かされて
長らく蚊帳の外だった忠尋もようやく主人公らしくなってきた感じだし
「世界の命運は忠尋に委ねられた~」的な部分もちらほら。
そんなこんなでまさに総力戦に相応しい混迷した状況の中、
非常に気になるところで次巻に続く。
全9巻予定ということでついに次で完結…なのか? 収拾つくのかこれ?
ところで黄泉醜女ってワラワラ出てくるイメージがあったから
いきなり中ボスっぽくなっててびっくりだよ!