愛する者や仲間たちを喪い、失意と狂気の中で破壊を続けるカムイ。
生と死の狭間で友の幻影と再会し、次なる世代へと全てを委ねる隼人。
そして地球へと帰還した拓馬は、自らの意志で最後の戦いへと赴く。

地球滅亡の叫びが響き、終焉と進化の刻が迫る中、
ゲッターの申し子たちが運命を超えるための新たな戦いへと身を投じる
アニメ『ゲッターロボ アーク』の第13話。

というわけでついに最終回を迎えたアニメ版『アーク』。
原作のストックは前話まででほぼ消化済みということもあり
各キャラクターの結末が完全オリジナルで描かれることとなりましたが
まず始めに展開されたのは早乙女研究所での隼人vsカムイ+ザウルスチームの白兵戦。
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「コウフンすると古キズが浮かび上がってくる」という
漫画『號』での設定がビジュアル的に表現されていたり
ザウルスチームに傷を付ける順番が「目、耳、鼻」だったりと
細かい演出でしっかりと隼人らしいところを見せてくれていたのが嬉しいですね。
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他にも運命に関しての竜馬との問答について言及していたり
エンペラーの存在や名前を知っていたあたり
漫画『真』終盤での出来事は今回のアニメ版でもほぼそのままあったってことでしょうか。

そして恐竜帝国での様相や地球環境を破壊してゆくバグの姿などを挟みつつ
物語はアークとバグの最終決戦へとなだれ込む展開に。
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バグの操縦席が元ネタの『セイテン大戦フリーダーバグ』でのデザインを踏襲していたりと
細かな再現度の高さも印象的でしたが
ここでの一番の驚きはカムイの母やシュヴァイツァ博士、そして隼人など
原作でどうなったか分からなかったキャラたちの最期が明確に描かれていたところ。
「原作で死んでないキャラクターを死なせる」というのは
普通の原作付きアニメでは間違いなくタブーなんですが
最終話にして多くのキャラにその禁じ手を使っていったあたり
「ここで自分たちの手で物語を終わらせる」という
アニメスタッフの決意と覚悟を感じる部分でもあります。

中でも隼人の最期はもはや涙なしには語れないというか
漫画『號』での「友よまた会おう」の台詞を踏まえての竜馬との再会は
単に13話続いてきたアニメ版『アーク』の終わりというだけではなく
無印『ゲッターロボ』から続いてきた隼人の物語、地球での物語、サーガの終わりを
否応なしに感じさせられて
ああここで終わってしまうんだ……本当に終わりが近づいているんだ……という
言葉では言い表せない寂しさがありますね。
最後の最後で竜馬と再会できてよかったね……。
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そして漫画で唯一残されていた「でたなゲッタードラゴン」のシーンで物語は一旦幕を閉じ
(漫画と違ってドラゴンの姿が聖ドラゴンに近い姿になっていましたね)
スタッフロール、石川先生へのメッセージを経て
物語は「明日のために戦うのなら今がその時だ」とばかりに
誰も知らないCパート、火星を舞台にゲッター左上(仮)との新たな戦いへと突入。

いやーすごかったですねこのCパート。
まさかここまで綺麗に終わらせてくれるとは思ってませんでしたよマジで。
『虚無戦史MIROKU』『魔界転生』『神州纐纈城』などが顕著ですが
「普通に物語を終わらせることも出来るのにラスト数ページでもう一度ぶん投げる」
というのが永遠に戦いが続くビジョンの石川作品の特徴であり
漫画『ゲッターロボアーク』もその例に漏れず
未来の宇宙での戦いで当初の目的、拓馬の物語にはきちんとケリをつけつつ
最後のアーク対バグで新たな戦いにぶん投げる、というラストになっていたんですが
今回のアニメ版ではそのアーク対バグをクライマックスにしつつ
Cパートで更に新たな戦いへとぶん投げる、という構図をやってのけているんですね。

この構成は正しく石川賢リスペクトですし
EDが「スタッフロール→石川先生へのメッセージ→Cパート」という順番になっていたのは
あのメッセージまでが「石川先生が遺してくれた『アーク』のアニメ化」、
Cパートは残された人たちによる新たなゲッターの物語、
みたいな意味合いもあるんじゃないでしょうか。
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石川先生は未完の伝奇小説『神州纐纈城』のコミカライズを手掛けた際に
原作者にゴメンナサイしながらも開き直るしかない、と
自分流に物語の決着をつけることを決意したようですが
全4巻の描き下ろし作品として発表された『神州纐纈城』は
原作部分は3巻までで消化しており最終巻は完全オリジナル展開になっています)
今回『アーク』のアニメ化に挑戦したアニメスタッフたちも
同じ気持ちだったんじゃないでしょうか。

特に川越監督は『サイボーグ009』『ゲッターロボ』『アンパンマン』と
原作者が亡くなってしまった大作を背負いすぎているので
もうそのプレッシャーはとんでもないことになってると思いますね。
一視聴者としては「『サイボーグ009完結編』を小説に忠実に
グロ描写マシマシでやってくれないかなー」みたいな
絶対にクッソ叩かれるような無責任なことを言ってしまうわけなんですが。

というわけで全13話をしっかりガッツリと楽しんでラストにも納得はしているんですが
OVA『新ゲッターロボ』同様にゲッターの未来を否定して
それに反逆する形で終わってしまっているのにはちょっと不満があるというか
OVA『新』以降の「未来のゲッターと人類は間違った進化をしてしまった悪者!」
みたいな風潮が自分としては正直モヤモヤするところもあるんですね。

傍目には侵略者っぽくなってしまったゲッター軍団ですが
それを上手い具合に肯定する流れに持っていって
ゲッター軍団と並び立ち全てを押しのけながら更なる敵に挑む主人公たち、
という構図も見てみたいんですよ。
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個人的には侵略者となった未来のゲッター軍団に対する回答は
『ゲッターロボアンソロジー~進化の意志~』で環望氏が描いていた作品
「クォ・ヴァディス 巴武蔵最期の一秒間」が一番納得出来る解釈なんですよね。
単なる好奇心というか知識欲というか
「そこに山があるから」みたいな素直な理由で宇宙の果てまで突き進んでいって
結果的に侵略者みたいになっちまっても別にいいんだよ、的な。

何はともあれ「石川先生の原作を忠実な絵柄でアニメ化!」という興奮のままに
原作漫画やその他作品からの引用や比較をしつつ全13話の感想を書きなぐってきた
アニメ版『アーク』のブログ記事も今回で一区切りという感じですが
来月から順次発売予定のBlu-rayでの修正要素やオーディオコメンタリー、
制作スタッフの公式同人誌とも言える「お疲れさま本」の発売などもありますし
また新展開や新事実があったら書きたいと思っています。

原作漫画とは時系列がズレている『真』と『號』の関係や
意図的にボカされていた感じのある「19年前の戦いでの敵」などなど
気になること、考察出来るところはたくさんありますし
今後そのあたりが明かされてくれれば嬉しいなあ、と。

何はともあれここでひとまず一区切り!
ありがとうゲッターアーク! さようならゲッターアーク!
アニメスタッフの皆さんお疲れさま! さあ旅立ちだ!


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あ、それと自分は「ヒャアTV放送が待ちきれねえ!」とばかりに
ニコニコ動画での先行配信をレンタル購入(通称ゲッター課金)していたんですが
ポイントが500P単位でしか購入出来ないので余ってしまったのをどうしようか思案中です。
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1話は無料だったので220円×12話で2640円ぶん、
3000ポイント買って余りが360Pの計算ですね。
どこの動画サービス、ポイントサービスもそうなんですが
「ピッタリ使い切らせてたまるか! さあ延々と貢ぎ続けるがいい!」
な数値設定をしているのがどうにもアレですね。はい。

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