奈良一平 「ネコあね。 3巻」 感想

人間に変身出来るようになった猫の杏子と
その飼い主、御堂銀ノ介の日常が描かれる漫画「ネコあね。」の第3巻が発売。

2巻の予告にあったように今回は三年生になった銀ノ介が自らの進路について悩み、
進学を選択するという一つの節目のような展開。
今まで具体的に描かれてこなかった銀ノ介の過去が語られたり
これまでエアコンの話などで顕著だった
「祖母や杏子のために(自分でも意識しないままに)我慢をしていた」銀ノ介が
「自分がやりたいことをやるのが一番家族のためになる」ということに気づいた、
という点でストーリー的にも大きく動いた巻、という感じ。
2巻で思いっきりオニヤンマを追いかけていた恵美ちゃんに
「金輪際トンボは追いかけない」と言わせて「恵美ちゃんらしさ」を出しているところなど
回想シーンならではの小ネタも上手く組み込んであって面白いね。

そして何と言っても印象に残ったのはラストの銀ノ介。
その決意や爽やかな表情なども相まって
もうここが最終回でもいいんじゃないかな、というくらいのすっきりした読後感。
ときおり重い話も入ってくる「ネコあね。」だけにこういう展開には開放感もひとしお。

とは言えここでクライマックスというわけではない本作、
それじゃあ今後はどういう部分をメインテーマに持ってくるんだろう、と考えると
気になってくるのは銀ノ介と早瀬ちゃんとの関係。
2巻までほとんど表に出てくることのなかった早瀬ちゃんの銀ノ介への恋心が
今回かなりあからさまに(2巻から続けて読むと不自然に感じてしまうくらいに)出ていたし
巻末オマケ漫画の雰囲気などを考えると
ラブコメ要素を含んだちょっと軽めなエピソードが多くなっていくのかな。

何はともあれ気が早いながらも次巻以降が楽しみな本作、
・銀ノ介と早瀬ちゃんの出会い
・銀ノ介が杏子に心を許すようになるまで
などの部分は今回の回想でもまだ描かれていないし
まだまだ見せてほしいところはたくさんあるよなあ。うん。

 

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