今年9月にサービス終了となったスマートフォンアプリ『ロックマンX DiVE』の
公式イラスト集となる「ロックマンX DiVE イラスト集」が発売。
というわけで帯のキャッチコピーにもあるように
「思い出の記憶を刻むデザイン画集」という形で刊行された本書ですが
サービス終了後の発売だけあって主人公のエックスやゼロから
最後の最後にゲームバランスを完全にぶっ壊したネクストダイヴアーマーまで
全てのプレイアブルキャラを収録した充実の内容。
ボスイラストや武器イラスト、アーマーアイコンなどもたっぷり載っているんですが
それ以上にとにかくキャラのイラストが非常に大きく収録されており
「キャラクターを大きく見せたい」というコンセプトがはっきりしている
紙面作りになっているのが好印象なところです。
また現在発売中のオフライン版ではオミットされてしまった
コラボイベント限定のキャラクターたちももちろん収録されており
リュウや春麗、豪鬼など別ゲーからの出演キャラも
しっかりと大きな画像が載っているのが嬉しいところ。
コラボキャラだと個人的にはゴア・アイコが使いやすくて
持続ダメージマシマシでレイドバトル等で愛用していたので
いつでも彼女のイラストが見られるようになったのが有り難いですね。
ただ載っているのはストリートファイターやモンハンなどの自社コラボ系のみとなっており
真の完全収録、とはいかなかったのには大人の事情があったのかなあ、と思ってしまったり。
いやまあ「そんなにホシオくんのイラストが見たいのか……?」と言われるとアレなんですが
ROGバスターやベビースター剣は入れてくれても良かったんじゃないかなあ、と思います。
特にROGバスターは持ってる人はかなり少なかったでしょうし。
それと細かいところだとキャラ名に読み仮名が振られていたのには「おお」と思いましたね。
『ロックマンX DiVE』は台湾カプコンが中心で運営されていたこともあってか
イベント名や一部の季節キャラの名前は当て字、造語っぽくなっており
日本語の感覚だと「意味は分かるけど読み方にちょっと困る」ものがあったんですが
そこらへんは今回初めて公式の読み方が提示されたことになるんじゃないでしょうか。
また本書の見所の一つとして挙げられるのが初期デザイン案や別ポーズ、未実装ボスなど
実際のゲームでは使用されなかったイラストが多数収録されているという点。
別ポーズは新鮮さも相まって「こっちのほうをゲームに実装してほしかった」と
思ってしまうほどのクオリティのものが多々ありましたし
中でも「金髪でくっころ女騎士のイメージが強い渾然アイリスの初期案(P17)」や
「未実装で終わったシグマのダイヴアーマー(P219)」は
恐らく本書の最大のアピールポイントと言えるんじゃないでしょうか。
隊長自らがアーマーを……?
そんなわけでイラストの大きさや収録点数は申し分ないものなんですが
スタッフコメントがついているのは一部のキャラのみ、
巻末のインタビューも全6ページとボリュームはあるものの
イラスト、キャラクターデザインの話に終始してしまっており
自分が読みたかった「XoverからXDiVEへの系譜」「サービス展開時の運営、開発側の話」
「今後のロックマンシリーズ」などの話はほぼ皆無だったのが残念だったところ。
本書はあくまでもイラスト集であって設定資料集ではない、ということなんでしょうが
「『ロックマンXDiVE』全体を総括した本」として文字資料的な期待をしていると
読みごたえという点ではちょっと不満はあるなあ、と思ってしまいますね。
というわけでイラスト集としては満点ですが本としての文章量はちょっと抑え目、
といった感じの本書「ロックマンX DiVE イラスト集」ですが
本書の一番の特色は「スマホアプリのサービス終了後に全キャラを収録した本が出た」
ことだと思うんですね。
近年は人気があるソーシャルゲームは精力的にイラスト集や設定集を出していますが
そのほとんどがゲームの勢いがある時期に現在進行形で刊行されるので
「本が出たあとにすごい好みのキャラが出た! ちくしょう載ってねえ!」
みたいな悲しい状況に陥ってしまうことが多々あるんですよ。
なのでロックマンブランドだからこそ出来たことだとは思うんですが
サービス終了後にオフライン版としてゲームが続いて
更にこうして全キャラを網羅した本を出してくれたのは珍しくて嬉しいことですし
「サービス終了したらそれで終わり」だったソシャゲ界隈も
最近は少しずつ変わっていっているなあ、とは思うのです。
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