6年ぶりの続刊となった「サイボーグ009完結編」の小説第2巻。
止まっていたストーリーがついに動き出すということで否が応でも大興奮。
ついに来た! やっと来た!
3巻の発売も10/25に決定しているし待ちきれないわこれ。
ただ心配なのはちゃんとしたケリがついてくれるのか、というところ。
値段を考えると3巻は350ページくらいになりそうだし
(約300Pの1巻が660円、約440Pの2巻が820円、3巻は700円予定)
ここまでの話が壮大なプロローグであることを考えても
かなりの駆け足になってしまいそうな予感。
ラストのギルモア博士との会話など壮絶な闘いへの期待がどんどん高まっているだけに
あんまり縮こまった話で終わってほしくはないなあ、と。
しかし本当に来月で完結するのか……。
いまだに信じられん。
↓以下、簡単な各章ごとの感想。
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○プロローグ/エピローグ
実は2巻で一番違和感があったのがこのプロローグ/エピローグ。
1巻では三人称で書かれていたのに2巻では石ノ森氏の一人称になっており
1~2巻と続けて読むと文体の違いにちょっと戸惑ってしまう部分も。
石ノ森氏とギルモア博士の会話は多くの構想メモが残っていたという話だし
このあたりは遺稿との兼ね合いなのかな。
○005 ガイアの都
密猟取締官となったジェロニモが南米の遺跡で神々と対峙するエピソード。
「神話・伝説の神々が現れ宣戦布告をする」というのは003や004の章と似ているけど
今回は密猟者たちやインディオ集落などが登場し
「人類VS神々」の構図から更に一歩踏み込んでいる感じ。
特に「地球環境のために人間を殺した」神々を自然の精霊たちが脅威と感じ
005の味方をしてくれていたのが印象的。
最終巻ではここらへんの「神々の独善」に立ち向かう話になるんだろうか。
「人類もまた天然自然の中から生まれたもの。いわば地球の一部!」的な。
○006 天空の食
不老不死の料理を求めて張々湖がチベットの高地を訪れるエピソード。
黒豚との二人三脚でコミカルなロードムービーのような雰囲気があるけど
ダライ・ラマの後継者問題やチベット解放軍(過激派)の登場など
背景設定はかなりシリアス。
立ち位置は違うものの雪男(イエティ)や謎の集落が登場するなど
「天使編」を思い起こさせるような描写もちらほら。
ラストで張々湖が見せた「竜の如くうねる炎」は
平成版アニメにもあった「新しい力」の片鱗なんだろうなあ。
それにしても「さまよえるオランダ人」のフレーズが
ここで出てくるとは思わなかった。
○007 幽霊劇場
「開かずの間」を持つ奇妙な劇場を舞台に007が活躍するエピソード。
この話はタイトル以外は完全に小野寺氏の手によるものらしく
全体的に統一感があるというか丁寧な構成という感じ。
確か小野寺氏は007が一番好きだって前にインタビューで言ってた気がする。
ただ話の展開やオチも含めて妙に和製ホラーっぽさが漂うというか
随所にオペラの演目を入れた文章など雰囲気作りが上手いだけに
イギリスの劇場という舞台にはそぐわないんじゃないか、といった展開がちらほら。
特にオチはわざわざあんなふうにする必要はなかったような。
006編同様に「変身能力ではない幽体離脱」という
後の新しい力の片鱗を見せているのも気になるところ。
○008 深海ピラミッド
「ボーマン船長」「謎の物体の調査のため外惑星へ」
「宇宙船の中で変死していく乗組員」と
SFファンならニヤリとするキーワードが織り込まれたエピソード。
ボーマン船長に「家庭に問題があり地球にさほど未練を持っていない」
というプロフィールを入れているのががまた心憎い設定。
ストーリーは海底のピラミッド群が宇宙に飛んでいったり攻撃を仕掛けてきたりと
後書きにあるように「海底ピラミッド編」の要素が強く入っている感じ。
さすがにサンジェルマン伯爵は出てこないけど。
「ESPを持つ異星人たちが他の異星人に虐げられている」という設定は
「コスモチャイルド編」にも似ているね。
008のエピソードというと人種関連や密猟管理系の話が多かったけど
今回は005編との兼ね合いもあってかそのあたりにあまり触れられず
本来の「深海活動用」「真空活動用」という部分が強調されているのも印象的。
○009 女神の陰謀
翡翠(翡巫女)の出現により混乱する日本、モアイや鳥人との邂逅、
そしてサブタイトルからも分かるように
平成アニメ版の「完結編・序章」でも多くが語られていたエピソード。
断片的だったアニメよりもかなり分かりやすくなっており
特にジョーが新たな力=意識加速の片鱗を見せて翡巫女を戸惑わせるシーンは
カタルシスのある展開になっている感じ。
ただ完結編のジョーは平成アニメ版の優男風(櫻井ボイス)の印象が強いから
一人称が「オレ」なのにちょっと違和感があったり。
それにしてもジョーって髪の毛伸びたり髭生えたりするんだ……。(P389-6行目)