神山健治/福島直浩 「ノベライズ版 009 RE:CYBORG」 感想

神山監督自らが筆を執った
映画『RE:CYBORG』の公式ノベライズが発売。

ピュンマの発掘シーンが冒頭に入っていたり
「トモエ」の外見は学生時代のフランソワーズに瓜二つだった、など
無意識下でのジョーとフランソワーズの関係を補足する描写もところどころにあるけれど
映画の内容を完全ノベライズ、という触れ込み通り
基本的には良くも悪くもそのまま映画を文章化したという印象。
既に映画を観た身としては
最初から最後までほとんど同じというのはちょっと物足りなく感じたり。

……というところで思い出したのが
かの問題作(あえてこう書く)『機動警察パトレイバー2 THE MOVIE』を
押井監督自らが小説化した時の解説文。

フィルムでのみ表現可能だった世界を、言葉だけの世界に再構築する──
映画のノベライズとは、本来、そういう作業のはずである。
<中略>
これまで彼の映画につきあったことのある者にとって、興味深いのは
押井守が、言葉だけで、その世界をどのように語るかだろう。
もしかしたら、映画監督としての
手の内をさらすことになりかねないのだから…。
監督自身の手によるノベライズを読む──これはめったにない、
すこぶるスリリングな体験なのだ。

※富士見ファンタジア文庫『機動警察パトレイバー TOKYO WAR <前編>』より引用

つまり監督自らがノベライズするからには小説ならではの追加エピソード、
あるいはボツ設定や裏設定を流用し再構成した物語
(『逆襲のシャア』に対する『ベルトーチカ・チルドレン』などのように)
が読みたいわけで
そういう意味でも今回のは映画に忠実すぎて
あくまでファンアイテムだなあ、というのが正直なところ。
映画を未視聴の人がストーリーを理解するには分かりやすくていいんだろうけど。

  

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