エドモンド・ハミルトン 「反対進化」 感想

「キャプテン・フューチャー」などのスペースオペラで有名なハミルトンの短編集。
印象に残ったのは
・反対進化
・審判の日
・審判のあとで
の三作品。

【反対進化】
表題作。いわゆる「価値観の逆転」の話。
ゼリー状をした地球外知的生命体、というのは
さすがに今の時代から見るとちょっと古いなあと感じるけど
起承転結がしっかりしてて読みやすい短編。
異形の者との接触の中で淡々と登場人物が死んでいったり
人間の進化が否定されて主人公が絶望するラストの展開が
妙に達観というかあっさりとしてるところは「クトゥルフ神話」的だなあと思ったり。
そういえばハミルトン氏はラブクラフトとも交流があったみたいだね。

【審判の日】
異文化の接触と交流を「破滅モノ」と絡めた一作。
解説文に「手塚作品や石ノ森作品を彷彿させる~」
といったことが書かれていたけどまさにそんな感じ。
どちらかと言えば手塚作品に近いかな。
石ノ森マンガだったら最後にもう一度ひっくり返して後味悪くしそうな気がする。
ビジュアル的には火の鳥太陽編のハリマとかが近そう。

【審判のあとで】
これも手塚作品を思い浮かべてしまった一作。
地球上の人類が滅亡してしまい、
宇宙船に残されたたった二人の人間の話ということで
手塚短編集「空気の底」みたいなやるせなさが作品全体に漂っている。
「2001年~」のような登場人物の息遣いが感じられる圧迫感もあり、
そうした全てのしがらみから解放されるラストは
ものすごく綺麗で空虚な感じ。
息を潜めながら一気に読むのがオススメ…かもしれない。

 

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