蒼樹うめ 「ひだまりスケッチ 9巻」 感想

二人の先輩の卒業とゆの&宮子の3年生への進級、という
大きな節目を迎えた『ひだまりスケッチ』の単行本9巻が発売。

ゆのの入学前、ひだまり荘への入居から始まった本作も
いよいよ卒業を意識せざるを得ないところまでやってきた今回の9巻。
というわけで修学旅行や実家に帰省しての進路の話し合い、そして大学見学など
「高校生生活最後の1年」「間近に迫っている進路選択」
を意識させる3年生らしいエピソードが中心となっている印象だなあ、と。

特に修学旅行編は「ひだまり荘を離れての泊まりがけの旅行」であり
クラスメイトの中山さん&真実ちゃんが出ずっぱりという新鮮さ。
ひだまり荘メンバー以外はセミレギュラー的な立ち位置のことが多いから
ここにきてクラスメイトの二人ががっつり前面に出てきたのは
嬉しい不意打ちといった感じ。ああはしたない。

そして大学見学では「ヒロと同じ大学に進学した」というネタを活かして
まさかの夏目が再登場。
何だかんだで彼女にはうめ先生の思い入れの強さを感じるね。
以前には彼女が主役の短編エピソードもあったし。

そんなこんなで進学を意識して変わりつつあるゆのの周りとは対照的に
「変わらない安心さ」があるのが1~2年生の3人。
特に乃莉ちゃんと8巻で登場した茉里のコンビは
2人とも物事をズケズケとはっきり言うタイプだけに
先輩後輩を越えた独特の距離感があるなあ、と。
これまでの『ひだまりスケッチ』には無かった組み合わせで楽しいね。

というわけで今回も安定した面白さの『ひだまりスケッチ』だけど
気になるのはゆのが亜麻美術大学を第一志望にしている理由が
今のところ「ヒロさんもいるし」という消極的な理由でしかないところ。
『ひだまりスケッチ』はゆのの成長物語としての側面も持っているし
次巻以降はオープンキャンパス等を通して
本当の志望理由や自分が何をやりたいのか、といった深い部分に
踏み込んでいくんじゃないかなあ、と。

  

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